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【感想】シン:ヱヴァンゲリヲンを見てきた

新劇『序』が公開された当時はなかなか良い感じだと聞いて、映画館へ見に行き、ラミエル戦凄いとなった。

『破』の時は上映が始まるまでの待ち時間の際に、前の上映の時にドア付近から音楽が流れだしてそれを聴いて「何が起こってるんです?」となり、実際に見て演出に少し感動した。
あと「今日の日はさようなら」がトラウマになった。

『Q』を公開初日に見に行った当時、見終えた観客さんたちが一緒に観た人に向けて「また3年後か~」と呟いたのを強く覚えている。
内容に関しては戸惑うしかなかった。
『巨神兵東京に現る』は後の『シン・ゴジラ』のルーツだろうな…と今は思う。

それからパンデミックの影響による延期も経て、まさか3倍の9年も待たされるとは思わなかった。
旧劇場版から新劇場版までの間くらい時間が空いてるってどういう事だよ。


で、ネタバレくらうのも嫌だし公開初日に観に行きましたよ。

ネタバレしない範囲で感想を言うと、
9年待たされた甲斐はあったかなぁと。

ネタバレ全開で語っていきます。

















いいですか?ネタバレ全開ですよ。






















なんでマリとくっつくエンドなんですかね。

いや、元々エヴァにはカップルがどうのこうのという主張は特に無いけど、
流石に新劇場版から出てきたキャラといい仲になって終わりというのは予想外だったよ…。
満足か不満かのどちらかといえば満足ではありましたが。いや、カップリングの話じゃないですよ。

話としては『Q』の続きではあるんですが、全体的にTV版と旧劇場版など過去作のセルフオマージュや再構成した要素がかなり多く、十分に纏め上げたというような印象でした。

冒頭のパリを舞台にしたエヴァ8号機の大立ち回りは流石に圧巻。
ヤマトやっぱり好きなんですね…そういえばあっちもぴっちりスーツだった。リメイクの続きいつになるんだろうね?

序盤の第3村の生活や農業などは見ていて「庵野監督は田舎で隠居したい願望でも出来たのかな?」なんて思っちゃいました。
早々にトウジやケンスケ、ヒカリが無事だって事が解ったのは素直に良かったです。ジブリ映画的というか、昭和の暮らし感が凄い。
太陽光発電と仮設住宅地が近代的だけども…。
トウジとヒカリは大人になりながらも、昔の面影をだいぶ残していて良い意味で「昔のまま」という感じかも。
大人になったケンスケは見た目も内面も加地さんっぽくなってて、アスカと妙に仲良くなってたりシンジを預かって一緒に行動するようになったりと、やってる事も加地さんっぽくなったと思いましたが、同時にTVシリーズのシャムシェル戦の後にシンジが家出した際に諭した描写を大きく再構成したって事でもあるんですよね。
こういう形でTV版のセルフオマージュが見られたのと、『序』ではカットされていた部分をここにきて持ち出した事に驚きました。

アヤナミレイ(仮称)改めそっくりさんはただひたすらに天使だった。
綾波以上に純朴で、触れるもののほぼ全てが新鮮で、人形ではなく人間として扱われ、そうして過ごしているうちにタイムリミットが来てしまい、最後に自分を人間として扱ってくれた第3村の人たちとシンジにお礼と別れを言い、自分の死を受け入れた。
この一連の流れには心を打たれますよ。

ヴィレの人たちは『Q』の段階だとあまり掘り下げられなかった事もあってか、全体的に閉塞的な感じが強かったんですが、今回下部組織のクレディトと第3村の人達との交流が示唆されていたり、過去に何をしてたかとキャラの掘り下げ(ほとんどミドリとサクラだったが)も行われたおかげで、『Q』の時よりはとっつきやすくなった印象ですね。
本当、第3村の描写はもやっとした気持ちを全部吹き飛ばしてくれたし、あそこは絶対に抜かしちゃいけないものだと思います。

道中のヴィレ対ネルフの戦いも十分満足な出来。
しかし冬月先生が戦艦に乗って戦うとは思わなかったし、もしかして『ナディア』のオマージュも入ってんのかなぁと;
声がね。
アスカは新劇場版になってから身体張り過ぎて見てるこっちが心配になる。

ラストバトルの初号機対13号機でシンジ対ゲンドウの直接親子対決はスパロボが先にやってた展開の逆輸入とも思えなくはないし、本家が大きくやってくれたって事には感無量ですね。
ゲンドウの過去や性格といった大きな掘り下げもやってくれたし、似た者親子という点もよく解った。ゲンドウ関連についての描写に関しては大満足です。

気になった点としては、
・未だにアスカが使徒化した経緯がよくわからない。第9の使徒の影響?
・ほぼ台詞であっさり死んだと言われた加地さん。
・そして最終盤でカヲル君と妙にいい仲だった加地さん。
・というか重要な情報を次々と台詞だけで済ませるのはちょっとどうなの。
・でもなんだかんだで伏線回収できてはいるんだよなぁ。
・息子の方のリョウジくんもっと活躍が見たかった。
・ペンペンはどうやって繁殖した。

う~ん、相変わらず説明不足かつ抽象的で難解に感じるのでもう1回見てみたくなった…。
でも2時間半は長いぞ。思ったよりも長く感じなかったけど。

終わり方はかなり纏まってて良いと思いましたが、
漫画版(通称:貞本エヴァ)とほぼ同じかなぁとも思いました。
精神世界でいろいろな事をやって、最終的に少年が神話となり世界を再構成すると言う俗にいう「セカイ系」みたいな纏め方です。

なので、良く言えば「これまでのエヴァンゲリオンシリーズの集大成」
悪く言えば「一番纏まった終わり方をしている漫画版の焼き直し的なオチ」
という感じかなと。
ただ、上述の通りTV版や旧劇場版を彷彿とさせる要素が多く、それでいてそれらを上手い具合に再構成し、纏め上げて後腐れもなく終わらせた所は素直に凄いし「こういうのでいいんだよこういうので!」とも思いました。
漫画版もそうですが、シンジとゲンドウの一騎打ちって先にスパロボ(『第3次α』)がやってるので、そういった派生作品含めた全てのエヴァ関連に「さらば」するつもりで、こういう話にしたのかなとも思います。

キャラクター関連

・アスカ
そっくりさん「貴方は働かないの?」
アスカ「ここは私のいる場所じゃない。私が守る場所よ」
サイヤ人かお前は。

『Q』から性格がスレたのもそうだけど、それ以上にどんどん人外化していく感じでした。
最後の最後でデザイナーベイビーであった事が発覚し、ある意味惣流とは本当に別人だった事に。
でも根っこの部分では孤独を感じててエヴァパイロットである点以外に存在を見出せないという点ではやはりアスカだなぁと。

・そっくりさん
序盤は彼女が実質的な主役。
おばちゃん達に優しくされたり、ヒカリに色々教えてもらったりと完全にでっかい子供。
本に興味を示した辺り、『Q』でシンジが本を薦めたのは決して無駄じゃなかった。

・マリ
結局、最後まで説明不足気味だったような…。
ゲンドウとユイの旧友という点は確定したみたいだけどね。
あと8+9+10+11+12号機という投げやり感すき。

・鈴原サクラ
新劇の中で一番好きなキャラにまで上り詰めた。
シンジのおかげで負傷して、シンジのおかげで助かり、
シンジのおかげで親を失い、シンジのおかげで兄が結婚し子供も生まれて、
シンジのおかげで今、ここにいる。
シンジの頑張りと苦悩を知っているからこそ、恩人であり親の仇である彼をいつまでも心配していた。
ヴィレの面々の中で一番のシンジの理解者だよ。
『破』で詳細な設定がやっと生まれたわけだけど、こんなに美味しいキャラになるなんて思わないよなぁ…。

・ミドリ
シンジの事を「ニアサー起こした奴」程度の認識で、よく知らない人代表に描かれていた印象。
サクラや第3村の人たちへのアンチテーゼ的な存在だけど、家族を失った身ならそう考えるのが当たり前で、むしろそれこそシンジの言うように第3村の人たちがみんな優しいのが異例なのかなぁと。

・ミサトさん
いつ仕込まれた。
組織の指導者だからこそ、子供たちに冷淡な態度を取らざるを得なかった。
そして決して無理解というわけではなかった。
ある意味、TV版のミサトさんとは対照的かつ、大きく進歩したような印象もあった。
あと、お父さんが全ての黒幕みたいに触れられてたけどこれは一体。

・ゲンドウ
実質的に『シン』の影の主役。ラストバトルに親子喧嘩はロマン。
これまでも多く示唆されてはいたけど、終盤の対面と精神世界の描写のおかげで、シンジの鏡合わせの存在なのがより強調されている。
マジでユイの事が大好きなおっさんなんだなって、見てて思いました。
そこは昔から一貫してて良かった。

・カヲル君
リョウちゃんって呼ぶと派出所勤務の警官か某冴羽さんの方が出るからやめろ。
実際、山ちゃんも冴羽さん演じたから声優ネタに聞こえてしまう。

・シンジ
最後の最後で、やっと少年は神話になった。
心の底から本当におめでとう。


総評

「エヴァの癖に生意気に後腐れもなく完結しやがった」
今までが今までだったからしょうがないね;

『Q』を見た時の困惑はもうだいぶスッキリしたかなぁって。
9年も待たされりゃ当然かもしれませんが…。
何はともあれ、この一言で〆ます。


「庵野にありがとう。エヴァにさようなら。そしてすべてのエヴァファンに

 おめでとう」








                                終劇

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