ドライブ

環八、時速70km
彼の背中に掴まり、街が過ぎ去っていく

春なのに彼の背中はしっとりと汗を含み
狭い空からはギラギラと日差しが照りつける

スカートの裾がはためく
渋滞の隙間をすり抜けてゆく


帰る頃には太陽は雲に隠れ、
徐々に薄暗くなってゆく

『大丈夫かな…?』

そう思った途端

ポツリ ポツリ

気づいた頃には、土砂降りになっていた。

ザーザーと雨とタイヤの音

急いで近くのファミレスに逃げ込む

ずぶ濡れのまま、空調のきいた店内で
凍えながらホットココアを飲む

『散々だったね』

二人は見つめあって笑った

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?