クリスマスの朝
子どものころ、クリスマスが好きではなかった。
わたしはサンタさんにプレゼントをもらったことがない。クリスマスプレゼントを親からもらったこともない。
絵本やテレビでは、「子どもはプレゼントをもらえる」ようなのに。よい子じゃないから、もらえないのかな?
母にきいたら、
「うちには煙突がないから、サンタさん入れないものねぇ。」
それならばと物心ついたころ、サンタさんにきてもらえるよう、策をねったことがある。
クリスマスイブの夜中、自分の部屋の窓をサンタさんが入れるように、少し開けておいたのだ。幼いわたしは、「これでよし」とワクワクしながら布団に入った。
よく朝のクリスマスの日。
枕元をみたが、何もない。もしかしてと、うちじゅうを探したが、プレゼントはなかった。
かわりに、昨日の寒さがこたえたのか、わたしはばっちり風邪をひいてしまった。がっかりしたし、つらかった。
念のため、父にサンタさんはなぜこなかったのかをたずねると、
「うちはブッキョート(仏教徒)だからなぁ。」
わたしには、その答えの意味がよくわからなかったけれど、もうこれからもサンタさんはうちにやってこないんだと、なんとなくわかって、さみしくなった。
クリスマス。
何かの事情があって、サンタさんからプレゼントをもらえない子もいるだろう。
どうかどうか、その子たちにもすてきなことがありますように。
そう希う、ちょっとせつないクリスマスの朝。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?