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「ワイルド・スピード SKY MISSION」-今世紀で最も感動を呼ぶラストシーン-

公開延期となった映画の新たな日程が続々と決まり、今月から徐々に上映も始まりました。しかし中には、来年の2021年まで公開が延期されてしまい、自分を含めて映画ファンがションボリした作品も数多く存在します。

「名探偵コナン 緋色の弾丸」や「るろうに剣心 The Final/The Beginning」など、特に若者に人気のあるコンテンツが来年に延期になってしまいましたが、個人的に公開延期になって一番悲しかったのは「ワイルド・スピード/ジェットブレイク」です。
シリーズの人気キャラだったハンがまさかの復活!!という熱狂が、延期で一気に消沈へと変わってしまいました(笑) 。このモヤモヤを背負ったまま、一年間も人生という名の高速道路を運転しなくてはならないのかと。絶対に辿り着く前に綾瀬バス停付近で渋滞に巻き込まれてヤラれそうだと感じてしまいました。

なので今回は、このワイスピに対する行き場のない感情を少しでも解消するために、シリーズ最高傑作との呼び声も高く、ワイスピを語る上では絶対に外せない名作「ワイルド・スピード  SKY MISSION」について紹介したいと思います。2015年に公開されたシリーズ第7作である本作は、アメリカではこの年最高の興行収入を記録する超特大ヒットとなり、世界興行収入でも「アナと雪の女王」や「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」を凌ぐ、当時歴代4位をマークしました。勿論日本でも前作の「EURO MISSION」を10億円以上上回る、興行収入35億円を記録した大ヒット作となっています。

ということで、今回はそんな「ワイルド・スピード  SKY MISSION」について、頭皮の状態と毛髪の量が徐々にドムへ近づいている疑惑のある自分が、鑑賞して思ったことを色々と感想としてまとめていきます。

ならぶ

巨大な犯罪組織を率いていたオーウェン・ショウ(ルーク・エヴァンス)一味を撃破し、彼から恋人レティ(ミシェル・ロドリゲス)を取り戻したドミニク(ヴィン・ディーゼル)。
ロサンゼルスへと戻った彼は、相棒のブライアン(ポール・ウォーカー)や妹のミア(ジョーダナ・ブリュースター)らと平穏な毎日を過ごしていた。しかし、オーウェンの兄である特殊部隊出身の暗殺者デッカード(ジェイソン・ステイサム)が復讐を開始し……。

メインキャスト~ハゲと坊主と、時々オンナ~

まずは例によって、本作に携わった方々の紹介からしていきましょう。

シリーズでお馴染みのメインキャストは本作でも多くが続投しています。
最強のリーダーハゲ、ドム役のヴィン・ディーゼル
(他の代表作に「トリプルX」シリーズなど。)
元FBIで現在はオシャレ短髪坊主、ブライアン役のポール・ウォーカー
(他の代表作に「イントゥ・ザ・ブルー」など。)
ドムの恋人の武闘派レディー、レティ役のミシェル・ロドリゲス
(他の代表作に「バイオハザード」など。)
バカで陽気な黒人ハゲ、ローマン役のタイリース・ギブソン
ITに精通する元アフロの現坊主、テズ役のリュダクリス
(この2人、本業はそれぞれ歌手とヒップホップMCです。)
凄腕運転を魅せるブライアンの嫁、ミア役のジョーダナ・ブリュースター
(私生活ではマーク・ウォールバーグの恋人だったこともあります。)
絶対に死なない超絶筋肉ハゲ刑事、ホブス役のドウェイン・ジョンソン
(他の代表作に「ジュマンジ」シリーズなど。)

これらのハゲと坊主と筋肉とオンナたちが今回も大暴れしてくれています。
ホブスなんていつもより出番少ないのに、その少ない出番でいつも以上に、インパクト抜群のアクションを見せてくれています。流石はザ・ロック。

この「ファミリー」と共に、監督として本作を担当したのが、あの「SAW」をデビュー作として手掛け、一躍その名を業界に轟かせたジェームズ・ワン監督です。
彼は他にも「インシディアス」シリーズや「死霊館」シリーズに監督・製作として関わるなど、ホラー映画との関係性が強い監督としても知られていますが、大作アクション映画にホラー映画経験者を起用するケースはよくあるパターンですね。「スパイダーマン」のサム・ライミ監督や「ドクター・ストレンジ」のスコット・デリクソン監督とか。
彼も後に、DCユニバースの作品である「アクアマン」の監督を務めていますし、ホラーとヒーローは紙一重っていうことなんですかね?

そして、本作から登場する新しいキャストも複数います。

まずは本作のラスボスである暗殺者ハゲ、デッカード・ショウを演じたのはジェイソン・ステイサム
「トランスポーター」シリーズや「エクスペンダブルズ」シリーズなどで既にアクション俳優としての地位を確立していた中での出演でしたが、まさにラスボスに相応しいオーラと実力、戦闘能力とハゲっぷりの持ち主でした。
この作品以降も登場し、ショウはファミリー入りとなるのですが、彼によって一旦シリーズから退場させられたハンが好きな自分はかなり複雑な気分でした。ジェイソンと山路ボイスはカッコいいんでまあいいんですが…

凄腕の女性ハッカー、ラムジーを演じたのはナタリー・エマニュエル
ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のミッサンデイ役で知名度を上げ、この作品で映画デビューを果たしました。「メイズ・ランナー」シリーズへの出演もこの映画と同年に果たしており、今後も更なる活躍が期待される女優さんです。
本作の彼女はかなりの巻き込まれ体質であり、素人なのに爆走する車から車へと移動させられる様子には、観ていて切ない笑いがこみ上げてきました。
ワイスピの醍醐味の一つである「スタイル抜群の美女」としての役割もしっかり果たしており、眩しい水着姿も披露しています。最高っす。坂本真綾さんの吹き替えも含めて最高っす。

アメリカ政府直属の工作組織のボス、ミスター・ノーバディを演じたのは、名優カート・ラッセルです。
「遊星からの物体X」「バックドラフト」など、数々の名作で主演を務めてきた彼が今回からワイスピに新しい味を加えています。ちょっと食えない好々爺でありながらも銃火器を多彩に使いこなす様はかなり魅力的です。
吹き替えだけ聞くとジャン=クロード・ヴァン・ダムかジェフ・ゴールドブラムだと勘違いしそうになりましたが。

THE MOVIE FOR PAUL

先述したように、本作はシリーズを語る上では絶対に外せない作品であり、一つのターニングポイントともなった作品でもあります。

というのも、この映画の撮影期間中にブライアン役のポール・ウォーカーがプライベートで自動車事故に巻き込まれ、亡くなってしまうというあまりに痛ましいニュースが報じられたのです。
そんな悲しみを、スタッフやキャストは何とか乗り越えてこの「ワイルド・スピード  SKY MISSION」を完成させました。映画の最後に、「FOR PAUL(ポールに捧ぐ)」というメッセージを添え、製作陣だけでなく、ファンの方々全員が彼の死を悼み、彼とお別れできるように取り計らいました。

ポール

ストーリーの流れを考えると、今回でブライアンの「ファミリー」としての戦いは一段落するのは最初から確定事項だった気もします。ミアと結婚して子供を儲け、いつもは爆走させていた自動車で慣れない息子の送り迎えをするなど、彼に「家庭」という新しい居場所が生まれたという流れが本作では序盤からしっかり作られていますからね。友達グループの中の誰かが環境が変わったことで会合に顔を出す頻度が減ってしまう、なんていうのも非常に共感性が高いテーマですし、それだけでも十分なストーリーが作れていたと思います。
しかし本作においては不運な事故により、ワイスピに携わる全ての人間が、ブライアンと今生のお別れをしなくてはならない状況に陥りました。
製作陣の中でも色々な想いがあったでしょうが、最終的に本作はブライアンが家庭に入るという序盤からの流れを崩さないまま、ラストシーンでは巧みな演出によって疑似的な告別式を行う事で、ワイスピファン全員がブライアンとの別れを惜しむことができるという構成になっています。

物語の最終盤、浜辺でブライアン一家が戯れる様子を、他のファミリーが「のび太の恐竜」のドラえもん並みに温かい目で見守っているシーンがありますが、実はここを撮影している時点でポールは亡くなっており、合成技術などを駆使してこのシーンは完成しています。
物語上は、ブライアンが「ファミリー」とは違う居場所、「安住の場所」を見つけたことをドムたちが悟り、ハゲと爆走車と鉄拳と銃火器が入り乱れる自分たちの日常とは違う方向に進みつつあることにも気付くことで、暫しの別れをするという流れになっています。しかし、このシーンでみんながブライアンを見つめる眼差しとドムの「また会える」というセリフには、確実に「ポール・ウォーカー」との別れという意味が強く組み込まれているように見えます。というかそれにしか見えません。いつもふざけているローマンが真剣なこと言って優しく視線を向けているだけでも目頭が熱くなってきます。レティの目の演技に関しては次元が違いますね。最高です。

レティ

そして最後、この映画のためだけに作られたと言っても過言ではない大名曲「See You Again」をバックに、ドムとブライアンが車で並走するシーンがありますが、もうね…名状しがたい感動がこみ上げてきますよ。
ブライアンの「別れの言葉は無しか?」というセリフには「君がそれ言っちゃダメでしょ…」と切なくなりますし、彼の車はプライベートでも愛用していたとされるトヨタのスープラですし、走馬灯のように流れるシリーズ過去作の名場面もサイコーにエモーショナルですし、ラストのラスト、ニ叉路で二人の車が別々の道を進んでいく場面には、言い方悪いですけどまるで生と死で分かれたかのような気分にさせられ、これで本当にポール・ウォーカーとお別れなんだなというのを改めて思い知ることができました。

このシーンの後、徐々に小さくなっていくブライアンの車から大空の彼方へカメラが向いていき、「FOR PAUL」でこの映画は締められています。
あの空の何処かにいるはずのポール・ウォーカーに、ワイスピファミリーの想いはきっと届いているでしょう。それが本当の「SKY MISSION」なのかもしれませんね。

車は三度空を飛ぶ

4作目の「MAX」辺りから本格的にアクション大作となってきたワイルド・スピードですが、もちろん本作もアクション映画として幾つもの見所があります。
アクション面で見ると本作には3つの山場で構成されており、

①アゼルバイジャン山中でのラムジー奪還作戦
②ドバイでの監視AI「ゴッド・アイ」確保作戦
③ロサンゼルスでの最終決戦

この3つどれもが映像的迫力とキャラの生き生きとした動きが発揮された、素晴らしいシーンとなっています。

①に関してはもう最初っからクライマックスと言わんばかりの、飛行機からの自動車スカイダイビングが拝めます。頑丈すぎる車やこれを平然とやってのけるドムたちの精神力、パラシュートを開いて着地した後何事も無かったかのように爆走を始める強心臓にも驚きましたが、重要なのはこのシーンで実際に車を落として撮影しているという最も驚きの事実があるという事です。やっぱりハリウッドの大作を完成されるには正気の沙汰じゃないやり方をするしかないんですね(笑)。

空飛ぶ

無事に着陸して以降も、ドムたちの車を使った積極的な攻めのアクションや突然出てきたトニー・ジャーの圧倒的な身体能力による格闘シーン、そしてブライアンの最大の見せ場である「崖から落ちゆくバスからの脱出劇」と、本当に息をつく間もない超絶アクションが続きます。感覚的にはここのアクションシーンが一番今までのワイスピっぽいなと感じました。

②のシーンはワイスピというより完全に「ミッション:インポッシブル」でしたね。メンバーそれぞれが別々の役割を持って一つのミッションに挑むところが最近のミッションインポッシブルっぽいですし、ドバイの高層ビルが舞台だという設定、監視カメラのハッキング、女性同士によるキャットファイト的アクションなど、主に4作目の「ゴースト・プロトコル」と重なる点がいくつも見られました。
なのでワイスピという点では目新しくても、アクション映画として見るとちょっと既視感があったのは少し残念でした。まあそれでもキャラそれぞれの特性を生かした分業ミッションは観ていて面白いですし、テズの意外な格闘能力と最後の爆走自動車ビル飛び移りミッションは特に印象に残りました。まあ、最後のやつは最後のやつで「名探偵コナン 天国へのカウントダウン」見たような感じのものでしたが、流石にコナンくんも二回はやってないので良しとしましょう。(笑)

③は街中でのミッションということもあり、一般車両や警察車両の爆発が最も派手に炸裂しているシーンでもあります。夜間の撮影という事もあり爆発の映像的迫力は断トツでそれだけでも見応え抜群ですが、個人的には車同士の対決だけではなく軍事ドローンやヘリコプターが最大の敵として立ちはだかっているなど、新しいワイスピアクションへの挑戦がしっかりなされている点を高く評価したいと思います。①では飛行機から降下していったドムが今回は立体駐車場からヘリに突撃していくという真逆の作業でミッションを締めくくるというのも面白いですね。
相変わらず大暴れのトニー・ジャーやドムとデッカードのスパナアクション、無駄に手際の良いラムジーの車から車への飛び移り、そして満を持して登場したホブスの騎兵隊をも上回る最強っぷりが見られるシーンでもあり、本当に大大大満足のバカアクションシーンでした。
このシリーズ結構人が死んでますがホブスだけは絶対に死なないと思うわ、マジで。

これらメインのアクション以外でも、デッカードの初登場となる開幕シーンのインパクトや、序盤のホブスVSデッカードのWWE味の詰まったバトルシーンも個人的にはかなり好きですね。ホブスがプロレス的アクションやるというだけで胸が躍りますよ。

逃げも隠れもしない男:デッカード・ショウ

このように基本的には大大大大満足の本作でしたが、個人的にちょっと気になったのはデッカードがどの現場にも軽いフットワークで現れすぎっていうところですね。
①と②のシーンって世界中のどこにいるか分からないデッカードを探すために、ゴッド・アイやラムジーを確保するっていうミッションのはずなのに、その現場にデッカードが来ちゃ本末転倒な気がするんですが… デッカードはデッカードで弟の復讐に燃えていてドムたち全員倒すマンになっているからある程度納得はできるんですけど、にしては都合良くミッションの場に現れすぎなんですよね。(笑)
まあ、頭髪が軽いからフットワークも軽いってことなんでしょ(適当)

もう一つ、レティの記憶喪失に関する描かれ方が中途半端に感じるっていうのも気になりました。
彼女の記憶が戻っていく経緯を描くシーンは用意されているんですが、もう少し丁寧に展開していいテーマだと思いましたし、ドムとの結婚式の記憶も取って付けたような見せ方になっていたのが惜しいですね。ドムがその事を黙っていたのもちょっと解せなかったです。最近、レティ役のミシェル・ロドリゲスが「ワイスピの女性キャラは扱いが雑にされていないか?」的なコメントを出したことがニュースになっていましたが、このシーンや次作でのエレナの描かれ方を見るとこの意見も妥当だと思いますね。
まあ、そもそもレティを生き返らせた事で色々と問題が出てきたのは明らかなので、来年公開の最新作でハンが帰って来るのも、うれしい反面ちょっと心配だったりします。ワイスピにストーリーを求めている自分が野暮という説もありますが…(笑)

ハン

しかし、このような「ワイスピらしい雑な箇所」をカバーできるくらいの、素晴らしいアクションや感動をこの映画が提供してくれているのは今までの章で述べてきた通りです。大ヒットするのも納得の特大エンターテイメント作品なのは間違いありません。
まだこの映画を観ていない方には是非とも観て頂きたいですし、観ている方にはラストシーンの挿入歌である「See You Again」のPVの鑑賞をオススメします!こちらもワイスピへの愛が随所で感じられる良作となっておりますので、良ければどうぞ!

今回も長文となってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございます。また次の記事でお会いしましょう。

トモロー

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まだまだ修行中の映画ファン
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