見出し画像

【Day32】自己理解が深まる「インサイドヘッド2」(ネタバレ有)

購入したパンフレットをこんなに何度も見返して眺めた
映画作品は、
今までなかった。

シンプルに言えば、
この映画は

【もっと自分のことが好きになる作品】

である。


★ゾーンはネタバレ要素が本格的に入ってくるので閲覧注意です。

どんな感情も自分のためには必要

今回、ライリーの思春期突入とともに暴走し始める
ある「感情」は、
決して自分が司令室を征服しよう、
ライリーを征服しよう、
とは決して思っていない。
その行動の理由は、
全て「ライリーのため」に終結する。
その感情の主であるライリーが、幸せに生きてほしいから。
だから、感情みんなが“ライリーが大好き”。
感情たち一人ひとりが、自分の感情としてのパワーを活かして彼女を幸せに導くために、
彼女を守ろうとするのだ。
ネガティブな感情は一見いやなイメージや、向き合いたくないイメージがある。
でも、どんな感情も自分のために重要な役割を果たしていることを、
一作目に続きこの作品で再認識した。

最後にはどの感情も「大好き!!」となって
映画館を出ることができると
思うし、
これが「どんな自分もいい」と少しでも思えるきっかけの一つになったら、
自己理解大好きな人間として、とても嬉しい。
新しい感情たちのことも最後には大好きになれるだろうし、
古株の感情たちの魅力もめちゃくちゃパワーアップしていて、きっとたまらないはずだ。


★「その人らしさ」を決めるのは

その人らしさ。
セルフイメージ。
アイデンティティ。
様々な言葉が使われるが、
この作品では、「信念」という概念で呼ばれているらしい。
(映画作品の中では言葉としては出てこないが、
「ジブンラシサの花」というものが登場し、
その根っことなる泉がある。)
シンパイはライリーの幸せな未来(高校でホッケーの有力選手として在ることで、孤独にならないこと)をつくるために、
その立場を勝ち取っていく記憶を泉に送り込むことで「ライリーらしさ」をつくろうとする。
でも、結局はうまくいかず、
「私は全然だめ」という思春期ならではの混沌とした信念をつくり出してしまう。
ヨロコビも、記憶の外れに捨てられてしまった、親友たちとの大切な思い出を取り戻し、
再び花を咲かせようとするが、結局それを取り止める。
感情たちは気づいたのだ。
「その人らしさ」<信念>を決めるのは、
「感情」ではなく「その人自身」である 
と。

これはアドラー心理学に通じる考え方だと思った。
アドラー心理学では「〜な性格」を
「〜という感情をよく使う人」と捉える。
例えば、「怒りっぽい(性格の)人」を
「怒りの感情をよく使う人」と考えるのだ。
つまり、「使う」か「使わない」かはその人自身の
“選択”
にかかっている ということだ。
実際、終盤でヨロコビがほのかな光たちによって操作台に導かれ、
「ヨロコビ、ライリーが呼んでいるよ」と声をかけらるシーンがある。
これはまさに
「感情の選択は本人ができる」
「信念は本人が決める」
ことに通じるシーンだと感じた。


★不安になったときは

終盤、司令室に平和が戻ったあと
司令室でシンパイが心配でプチパニックになったシーンで、
ヨロコビがシンパイをソファへと促し、座らせる。
温かい飲み物を飲んだシンパイは落ち着きを取り戻し、
建設的な考えに行き着くことができる。
これも、自分を落ち着かせるイメージを持たせるときにとても有効なワンシーンだと感じた。
自分の中の不安に、ちゃんと居場所を与えてあげて、
リラックスさせるためにもてなしてみる。
すると、抑圧ではなく自然に心が楽になるときがやってくる。


★自己受容と自己肯定

ライリーが最終日のホッケーの練習試合でパニック状態になったとき、
彼女のジブンラシサの花を
全ての感情で抱きしめるシーンがある。
私はこのシーンが一番好きだ。
こうやって、感情たちは自分のことを大切に思ってくれて、守ってくれて、
幸せを願ってくれているのだと。
この作品そのものが、思春期真っ只中のティーンエイジャーであるライリーの自己受容を促したり、
自己肯定感を高める過程が描かれていると感じた。

追放された古株感情ヨロコビたちが
司令室に再び戻るまでの過程が、
結果的に自己受容【どんな感情も、どんな自分も、私を作っている大切な要素である】と一致している展開も
(「記憶の外れ」のネガティブな感情達が流れ込んでくる→「信念の泉」へ→「ジブンラシサの花」を形成する要素となる)
もう言語化不可能なレベルで感銘を受けた。
この感動を表現する語彙が欲しい。


★感情による様々な現象の、再現度の高さ!

名前が曖昧なものは(?)をつけています

信念の泉、
記憶の「保管庫」、
意識の川、
皮肉の裂け目、
イマジネーションランドの布団の城(?)と、そこで試合の悪い予感ばかり考えさせるために画家がイメージを次々と描いて投影させる(色々考えて眠れないときには、彼らが活動しているのだ!)、
なりたい職業パレード(?)、
アイデアの嵐、
記憶の外れ。

あと、練習後にキャプテン達の集まりに同行するライリーのドギマギした様子。
歩き方のぎこちなさや、試行錯誤。
頭の中ではあんなに色んな感情が働いていたのだという様子が、見ていてとても面白かった。
そして困ったら最後は、ダリィで解決。

色んな思考、感情の現象が
頭の中に在るものや司令室でのやりとり、
感情たちの冒険で明確にされていて
とてもわかりやすかった。
天才としか言いようがない。
これをゼロから作り出した人たちがいるなんて。
人間の為せる業ということに、深い感動をおぼえずにはいられない。


自己理解の始まりは自己受容

まずは、
自分がどんなことにポジティブな感情を抱き、ネガティブな感情を抱くのか。
そして、
その「感情」で自分が本当に守りたいもの【価値観】は、何なのか。

「感情」には、自分を知るためのヒントが膨大に詰まっている。
その「感情」がやってくる理由を考えることが、
自分をもっと知り、
どんな自分も好きになることに、少しずつ、つながる。

自己理解に興味がある人にも、もちろんない人にも。
“自分”を前向きに受け止められるようになるきっかけを与えてくれる素敵な作品だ。


もう一回見に行きたい!!
まだまだ感じられることがたくさんありそうな作品。

今回も最後までお読みいただき、
ありがとうございました!

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?