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【続】超重GIGA

 前回の記事『超重GIGA』では、インターネットの回線が「重い」ため、せっかく配当された「1人1台端末」がなかなか活用されない学校がある、ということについて書いた。

 記事を読んだ方からいただいたコメントや、改めて考えたことを踏まえて、いくつか補足をしておきたいと思う。

「見通し」と「予算の獲得」

「GIGAスクール構想」では、
・「1人1台端末」の整備については定額(1台当たり4.5万円)を国から補助
・校内ネットワークの整備については半額を国から補助(残りの半額は各自治体の負担)
 ということになっていた。

 そのため、後者のネットワーク整備に関しては、予算の権限を握る首長部局の判断によって、自治体ごとの整備状況に大きな差がつくことになってしまった。
 また、たとえ校内の無線LAN等が整備されても、そこから自治体全体の教育用ネットワーク等を介してインターネットにつながる場合、その回線の高速大容量化が図られていなければ、接続をする際に「大渋滞」が起きることになってしまう。

 結局のところ、
・教育委員会の担当者が、「1人1台端末」が実現した際のネットワーク環境について、具体的にどのような見通しをもっていたのか。
・その上で、必要な予算を獲得するために首長や関係部局にどのような「はたらきかけ」をしたのか。
 という部分で差が生じてしまったのだと思われる。

「活用するイメージ」の不足

 前回の記事で紹介した学校も、「1人1台端末」の導入当初には積極的に活用をしようとしていたらしい。しかし、

・回線が重たくてインターネットにつながらない。
・そのうちに子どもたちが飽きはじめる。
・私語や立ち歩きをする子どもが増え、教室内が騒然となる。
 という状況が頻発した。

 その後に苦肉の策として、
「時間帯によって使用できるクラスを割り当てる」
 ということにしたが、それだと端末を使いたいときに使えなくなってしまい、そのうちに使われなくなった。

 ・・・ということで「文鎮化」してしまった。

 しかし、たとえインターネットにはつながらないとしても、端末の「カメラ機能」を使って、体育の授業でお互いの動きを撮影してアドバイスをし合ったり、生活科・社会科の見学や理科の観察で映像の記録を残したりするなど、いくらでも活用方法はあるはずだ。
 また、オフラインで利用できるアプリもたくさんある。

 ・・・「インターネットにつながらないから『1人1台端末』は使えない」と考えてしまった背景には、教師自身が具体的な活用のイメージをもてなかったということもあるのだろう。

 逆に、「1人1台端末」を使いこなしている自治体や学校の場合には、端末が「1校40台程度」だったころから、実践やノウハウを積み重ねてきたところが多いように思う。

 つけ加えるならば、そうした地道な積み重ねが、「GIGAスクール構想」のスタート時に、予算獲得のために首長や関係部局と折衝する際の「説得材料」になったのではないだろうか。

端末が重い?

 もう一つ気になったのは、この学校の場合、
「回線が『重い』のではなく、端末の動作が『重い』と誤解している教職員が少なくないらしい」
 ということだ。

 ちなみに、その学校で教育実習を行った学生に聞いたところ、配当されたタブレット端末をオフラインで操作してみたら「サクサク」動いたそうだ。

「インターネットにつながらないのは、タブレット端末のスペックに問題があるからだ」
 と考え、タブレット端末そのものを「使い物にならない安物」だと誤解していることが、オフラインでも活用しない要因になっている可能性がある。コンピュータなどに関する教職員のリテラシーの問題だといえそうだ。


 この学校の場合、すでに「1人1台端末」を使いこなしている学校との差は開くばかりだ。言うまでもなく、割を食っているのはこの学校の子どもたちである。

 ・・・当該の教育実習生は、今後も週に1回程度、この学校でボランティアをするということだ。
「1・2年生の生活科で校外に行くときの付き添いを頼まれることがよくあるので、今度、担任の先生たちに『カメラ機能』を使うことを提案してみます」
 と言ってくれている。ぜひ、バックアップをしていきたい。

※「本家」の「鳥獣戯画」をイメージしたイラストです。

「ダ鳥獣戯画」より

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