『ONE PIECE』のルフィに学ぶ「校長としての資質能力」
校長に必要な資質能力
去る10月5日、中央教育審議会の「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会が、今後の教師の養成・採用・研修等の在り方についての「中間まとめ」を公表しました。
《「新たな教師の学びの姿」の実現と、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の構築》という副題がつけられた「中間まとめ」の37・38ページには、「校長等の管理職の育成及び求められる資質能力の明確化」として、次の内容が示されています。
判断力、決断力、交渉力、マネジメント能力に加えて、アセスメントやファシリテーションの能力…。
もちろん、予測困難なこの時代に、課題が山積する学校経営を担っていく校長には、こうした力が必要なのでしょう。
しかし、こんな疑問も浮かんできます。
「こんなに一人で何でもこなせる万能の校長が、本当に実在するのだろうか?」と。
校長にリーダーシップが求められるのは当然ですが、あまりにも多くのことが求められすぎているようにも思えます。
ルフィの「リーダーシップ」
漫画『ONE PIECE』の主人公・ルフィには、こんな名場面と名台詞があります。
…仲間のナミを魚人海賊たちから解放するため、アーロンパークに乗り込んだルフィは、船長であるアーロンとの一騎打ちになります。
ルフィの自信満々な態度に苛立ったアーロンは、
「一人で海から上がることもできないお前に一体何ができる!!」
と怒鳴りますが、ルフィは、
「何もできねェから助けてもらうんだ!!!」
と言い返します。
そして剣を手に取り、不格好に振り回しながらこう叫ぶのです。
ルフィは船長ですが、ゾロのように剣を使うことはできず、ナミのような航海術も持ち合わせていません。
そればかりか、サンジのように料理をすることもできなければ、ウソップのようにウソもつけません。けれども、それぞれに得意なことがある仲間が一緒にいるから、海賊として冒険をすることができているのです。
不甲斐ない自分自身を否定しないルフィに対し、アーロンは、
と詰め寄ります。しかし、ルフィは自信に満ちた表情でこう答えます。
…新型コロナウイルス感染症への対応をはじめ、今の学校教育には簡単には正解が見つからない問題が目白押しです。そうしたなかで最適解や納得解を見つけ出していくためには、「わからないものは、わからない」「できないものは、できない」と素直に認め、教職員や専門家などの声に耳を傾けること、そして、「上から目線」のファシリテーションではなく、謙虚な気持ちで周囲に助けを求めていく、ルフィのような「リーダーシップ」「資質能力」が必要であると思うのです。
もちろん、これからの校長にとって、前述したような様々な力を身につけるための努力は必要でしょう。
しかし少なくとも、ルフィとは真逆に「おれは何でも知っている」「私は何でもできる」と勘違いした「自称・カリスマ校長」を生まないようにしていきたいものです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?