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「ハブ」としての教職大学院

 東京学芸大学教職大学院の総合教育実践プログラムが開設した「X(旧Twitter)」に、修了生である「にじまろ@司書教諭」さんのnoteの記事が紹介されていた。タイトルは、「教職大学院を卒業後、1年経って今思うこと」である。

「にじまろ@司書教諭」は、小学校の教諭を10年以上勤めてから教職大学院に進学し、1年間の短期履修を終えて再び小学校の教壇に立っている。

「にじまろ@司書教諭」によると、教職大学院で学ぶ前と後で、自分自身が変わったと思えるのは次の3点だそうだ。

① 視野が広がり冷静になった
② 学び手側の視点から授業を捉えられるようになった
③ 大学院時代のつながりから学びが広がる

 特に③については、学校現場に戻ってからも教職大学院の授業にゲストとして参加をしたり、他県や異校種の「同期生」との読書会を毎月行ったりするなど、大学院時代のつながりが継続しているそうだ。


 前回の記事で、日本財団が世界海事大学(World Maritime University)に対して助成をしている理由の一つに、世界各国の海事関係者の人脈づくりがあるということを書いた。

 この世界海事大学では、アジア・太平洋、アフリカ、中南米を中心とする国々の海事行政の担当者が学び、その多くが卒業後に各国の政府や教育機関などで要職に就くことになる。世界の海洋をめぐっては、海難救助、密航や密輸の取り締まりなど、国境や領海を超えて複数の国が連携をして解決しなければならないデリケートで難しい問題が山積するが、そんなときに大学時代に培った人脈が役に立つというのだ。

 教職大学院にも、これと似たような役割があるのかもしれない。
 東京学芸大学の教職大学院には、東京だけではなく全国各地から院生たちが集まってくる。現職の院生にかぎっても、それぞれの校種、年齢、経験などは様々だ。
 こうした多様な院生が集まっていることに関して、「にじまろ@司書教諭」さんは次のように述べている。

大学院に行く前は、他県の先生や異校種の先生と話しても、地域の実態や子どもの年齢が違うと共有できるものが少なく、あまり学び合えないのではないかと考えていました。
でも、これは全くの思い違いでした。他県の先生や異校種の先生と話すことにより、より深い概念について話ができるのです。

にじまろ@司書教諭「教職大学院を卒業後、1年経って今思うこと」

 教職大学院を「ハブ」として、人と人とのネットワークは確実に広がっている。おそらく5年後、10年後・・・には、教職大学院の関係者以外の人たちも巻き込んで、このネットワークはさらに広がりをみせていることだろう。

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