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「革鞄」の中身

 予算のことを英語でバジェット(budget)というが、これは予算書を入れる「革鞄」が語源となっているそうだ。

 一般的に予算書とは、政府が策定する強制力に裏打ちされた拘束力のある文書のことだ。それほど重要な文書だからこそ、革鞄に入れて厳重に管理されていたのだろう。

 したがって、予算は予算書のとおりに執行されるのが大原則である。仮に計画を変更するとしても、全体の予算額が決まっている以上、基本的にはその枠の中でやりくりされるべきものなのだ。

 これは小学生でもわかる理屈である。たとえば、私が小学生だった昭和の時代には、遠足に持っていく「おやつ」の予算にシーリング(上限)が設けられていた。

 だから、上限額を超えそうな場合には、たとえば「都こんぶ」か「ベビースターラーメン」のどちらかを諦めなければならなかった。あるいは、友人と買うものを分担して、当日に半分ずつ交換するという「交渉術」を発揮する場合もあったのだ。

 また、バナナが「おやつ」と見なされるのか、それとも「果物」と判断されるのかによって、執行計画全体の見直しを迫られることも生じる。

 昭和の時代の小学校で、遠足の前になると、
「バナナは『おやつ』ですか、それとも『果物』ですか?」
 という質問が出たのはそのためである。

 ・・・小学生でも、
・大前提として、予算内に収めることを考える。
・そのため、予算の執行には優先順位を設け、順位の低いものは諦める。
・または、5個入りを3個入りに変更するなど、計画自体の縮小をする。
 ということを理解し、実践していたものだ。

 だが、子ども時代にそういう経験をしていたはずなのに、大人になってからそれを実践できていない人たちもいるようだ。

 東京五輪の「失敗」で懲りずに、大阪万博でも「予算オーバー」を繰り返そうとしているのだ。

 しかし、これは妙である。本来、役人の方たちは予算額に合わせて事業を遂行することには長けているはずなのだ。

 年度末に予算が余りそうになると、不要とも思える道路工事を繰り返してピッタリ使い切る・・・。

 あの職人芸を、オーバーしそうな場合にも発揮していただきたいものだ。

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