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学校は、マンチェスター・ユナイテッドではない!

「うちの学校の先生たちは、仕事に対する意欲が低いんですよ」
「教職員をまとめるリーダー的な存在がいなくて困っています」

 ・・・最近、何人かの校長先生から、それぞれの学校の教職員に関する悩みを伺いました。
 気持ちはわかります。
 仕事がバリバリできる上に人柄がよく、子どもたちや保護者からの信頼も厚い。
 そんな教職員ばかりだったら、校長の仕事はさぞかし楽でしょう。
 
 しかし、断言してもいいですが、そんな学校はありません。なぜなら、「学校は、マンチェスター・ユナイテッドではない!」からです。
(蛇足ですが、レアル・マドリードでも、FCバルセロナでも、パリ・サンジェルマンでもありません。)

 莫大な資金を使って世界中のスーパースターを集めるサッカーのビッグ・クラブと違って、一般的な公立学校の場合、教職員はたまたま縁があってその学校に配属されただけです。
 もちろん、その中には前述したような「仕事がバリバリできる上に人柄がよく云々」という「スター」のような先生もいることでしょう。けれども、その一方で仕事に自信を失っていたり、育児や介護などとの両立に悩んでいたりなど、様々な教職員がいるのが職員室というものです。サッカーのチームにたとえるならば、マンチェスター・ユナイテッドでないのはもちろんのこと、Jリーグのレベルにもほど遠く、せいぜい地域のクラブチームといったところでしょう。

 ところで、校長の仕事はクラスの担任と似たところがあると思います。クラスの中には優等生もいればヤンチャな子もいます。家庭環境や学力、得意なことや苦手なことも様々。多様な生徒が集まっているなかで、一人一人の個性を尊重しながら、個としても学級集団としても力を発揮できるようにしていく。そんな担任の仕事と同じようなことが校長には求められているのだと思うのです。

 日本のプロ野球のことを思い浮かべてみましょう。潤沢な資金で他球団のエースや4番バッターを集めたチームが必ず優勝をするかといえば、けっしてそんなことはありません。逆に、安易な補強には頼らずに生え抜きの選手を育成し、監督の巧みな采配のもとに好成績を維持しているチームもあります。

 ということで、校長の皆さんには、今の職員室のメンバーとともに最善を尽くしてもらいたいと願っています。
 ただし、産育休や病気休暇を取得している教職員の欠員が埋まらず、試合開始時に11人の選手が揃わないため、最初から9人や10人で戦わなければならないような状況があるとしたら、どんな名監督であっても「それだけは勘弁してもらいたい」と思うことでしょう。

※ヘッダーの画像は、https://min-chi.material.jp/ より

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