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データで知る日本の教育 〜女性校長の割合③〜

 前回の記事では、女性教員の割合に比してその校長の割合が低い理由として、次のようなことが考えられると書いた。

〇出産や育児によってキャリアが中断するケースが多いこと。
〇男性よりも家事や介護などの負担が大きいこと。
〇依然として「男性優位」の考え方が根強い地域や学校があること。
〇上記のことが重なり合って、管理職になることを諦めたり遠慮したりする女性教員が少なくないと思われること。 

 校長に占める割合の男女の不均衡は、ジェンダー・ギャップの問題であるとともに、教員の長時間労働のこととも無縁ではないだろう。
 一般的に、校長になるためには、教務主任などのスクール・リーダーを何年間か経験した後に、昇任試験に合格して教頭(副校長)を務める必要があるが、これらは学校内で最も時間外労働をすることが求められる職種でもある。育児や家事、介護などと両立させることは簡単ではない。
 管理職やその候補者の働き方を間近で見ることによって、そうした道を断念したり回避したりする女性教員は少なくないと思われる。

本記事で使用したイラストは、このサイトからダウンロードしました。

 そして、この「校長に占める割合の男女の不均衡」は、教員の世界だけの問題ではないのかもしれない。
 冒頭の表で示したように、中学校や高等学校における女性校長の割合は全体の1割未満である。こうした状態が、そこで学ぶ生徒たちに「大人の世界では男性が優先される」ということを、知らず知らずのうちに「学習」させてしまっているのではないだろうか。

 学校が「ガラスの天井」を築くことに一役買っているのだとしたら、その責任は小さくないはずだ。

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