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「官僚離れ」のニュースに思うこと

 今月上旬に国会公務員総合職試験の合格者数が発表されたが、受験者数は1万4300人余りに留まり、ピーク時の約6割にまで減少している。
 また、合格者に占める東京大学出身者の割合は9.5%で過去最低だった。それに加えて、現役官僚が早期退職して民間にいく例も相次いでいるという。

 NHKニュースによれば、「官僚離れ」の大きな要因はその長時間労働の常態化にあるそうだ。そうした実態の一端については、先日の記事に書いたばかりである。

 日本の舵取りを担うはずの官僚が、大学生や現職にとって魅力の薄い仕事になってしまっていることは、残念であると同時に大きな損失である。
 人事院は中途採用にその活路を求めているようだが、それでは本当の解決にはならないだろう。


 この「官僚離れ」のニュースで思い出したのは、現職教員を対象にした意識調査の結果のことである。2017年に横浜市教育委員会と立教大学中原淳研究室が行った調査によれば、「これから教員を志す若い人に教員の仕事を勧めたいと思う?」という問いに対して、66%の教員が「そう思わない」と答えている。その理由が長時間労働にあることは、他の調査項目からも明らかだ。

 官僚といい教員といい、国の今と未来を支えるはずの仕事から人が離れていき、その原因が長時間労働にあることはわかっている。それにもかかわらず、抜本的な手立てが講じられないことが残念でならない。

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