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おじいちゃん(通称:たん)の親族にヤバい奴がいる、金髪ネグリジェ(当時70代ぐらい)色白の通称「荒れ地の魔女」だ。土地争いで、よく、たんばばの庭に勝手にバリケードを張ってみたり、除草剤巻いたり、飼い犬に噛ませようとしたり…とにかくヤバい。

ちなみに、飼い犬の名前は「亀」。
以前、祖父を咬ませようとしたときの荒れ地の魔女の掛け声、
「亀ー!咬めー!(カメーカメ―!)」は、爆笑した。

ドラゴンボールかよ。とにかく、カメハメ波は打ってこないにしろ、とりあえずヤバいババアだ。

最近は一族の高齢化も進みおとなしくなったが、8歳の頃見かけた喧嘩はすごかった。大人の喧嘩には地域差があることを学んだ事件だった。

まず私の生まれ育った場所は関西で大人の喧嘩でも怒鳴りあいをよく見る地域だった。「しばきまわすぞ!ダボが!!」と怒鳴る。今考えると、しばくだけではなく、しばき回すのだ、もう、すごい。「しばく」も「ダボ」も日常的に聞いていた時代が懐かしいを越えて、(悪)夢に思える。

地元がそんな感じの私だが、一番恐かった大人の喧嘩は、信州の田舎のたんばば家で見たものだ。

その日は、NHKでラジオ体操が流れていた。朝の早い時間だったと思う。朝食を食べていた。すると突然、荒れ地の魔女がやってきて、窓からリビングめがけて、植木鉢を投げ込んできた。その植木鉢は叔父さんの足に当たり出血大けが。そこから、たん・たんばば・ママが庭に出て荒れ地の魔女との喧嘩がはじまった。

荒れ地の魔女がたんに噛みつき、
たんをたんばばが引っ張り、
足から血を流した叔父が荒れ地の魔女を引っ張り、
ママが荒れ地の魔女の鼻をつまむ、
息ができなくて白目になる荒れ地の魔女、
しかしまだ噛みついている。

家の中から瞬きもせず見守る私。
大きなカブってこんな感じだったっけ?(絶対違う)

大人5名が取っ組み合いをしているが、うちの家系、みんなチビだから150cmが5人なので迫力がない。

まだ観てないけど、映画のホビットってこんなかんじの戦闘なのかな(絶対違う)。

そして、この5人、誰も声を出していない。無言で闘っているのだ。
家の中からBGMのように流れるラジオ体操。私はいまだにラジオ体操の音楽を聴くと、この静かなる乱闘を思い出す。

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