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たんばばが読む桃太郎(ホラー)

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生まれて初めて聞いたたんばば音読の桃太郎。本当に恐怖だった。

3歳の時、ママが弟のお産で入院しているとき、たんばばの家に預けられていた。当時のたんばば家は昔ながらの大きい家、築50年以上ぐらいだったと思う。だだっ広くて一階が生活空間、二階はほぼ使ってなかった。

ある日、宴会があり、大人たちが夜どんちゃん騒ぎ、たんばばは私を寝かせようと、いつも使っていない二階に布団を敷いて言った。

「ここで寝な。」

もちろんいきなり置いていくことはなく絵本を読んでくれた。それが桃太郎。寝かされている部屋は、ほの暗く、カサカサ音はするし、なぜここに日本人形、この掛け軸も…とにかく怖い。この空間自体が怖いのだ。
たんばばが読む桃太郎もなんだか怖い。3歳児は悟った「これ寝たら一人にされるよね?」と。絶対寝るもんかと思った。

桃太郎が桃から生まれようが、きび団子がどうのこうのどうでもいい、鬼退治とかも勝手にしてくれ、とりあえず、寝たくない、ここで一人は怖い。この気持ちを言えばいいのに、なぜか目を見開いて抵抗しているような子供だった。

「あら、寝ないわや…」とたんばばがつぶやいたことまで覚えている。多分そのあと、寝たんだと思う。今も鮮明な記憶の30年以上覚えている桃太郎恐怖体験。日本家屋、夜中に1人+桃太郎朗読付きは大人でも怖い。

この話をするとママは言った

「え?なんであんな怖い誰も近寄らない二階の部屋で寝かそうとしたのかな…」と。

…たんばばめ~。

約30年後…

桃太郎と言えば、倉敷に「桃太郎記念館」があった。入口や切符売り場に「お化け屋敷ではありません」と書いていた。「怪しいものではありません」は怪しい人しか使えないセリフ論から言えば、「お化け屋敷ではありません」の桃太郎記念館はお化け屋敷だ。

たんばばの演出(恐怖の部屋で寝かせる)も大きいが、幼少期に感じた桃太郎=ホラーの印象は間違っていなかったかもしれない。

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怖いよ。桃太郎。

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