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最新のmacOSがIntel Macをサポートしなくなる日

かつて、PowerPCからIntelにCPU切り替えが行われたときには、すぐPowerPCをサポートしなくなりました。Apple Siliconへの切り替えが行われた今回はどうなんでしょう?


切り替え後の旧式CPUのサポート維持期間

かつて、PowerPCからIntelにCPU切り替えが行われたときには、Mac OS X 10.4と10.5のあとにすぐPowerPCをサポートしなくなりました。2つのOSのメジャーアップデート後に、すぐPowerPC Macにインストールすることすらできなくなりました。

ノート型のMacBookシリーズではIntel CPU採用のメリットが出まくっていたため、早めにPowerPC機が打ち切られても、「そんなもんかな」という印象でした。

もうひとつのCPU切り替え Intel 32→64

Intel CPUに切り替えた後にも、1つの世代の切り替えがありました。32bitのIntel CPUのサポート打ち切りです。

Intel 32のCPUのOS起動打ち切りは、OS X 10.8で行われました。その一方で、Intel 32の32ビットアプリの起動については、macOS 10.14までサポートされ続けました。

その後、もしもmacOS 11でApple Siliconへの切り替えが行われなかったとしたら、もう少し後までサポートを維持していたかもしれません。

Intel 64→Apple Silicon

ようやく本題です。Intel 64搭載機がいつまでサポートされるのか? というお話です。

これは、CEOの考え次第です。Steve Jobsは「もう、別れた彼女のことなんか考えたくないんだ」とか言って、さっさとPowerPCサポートを打ち切ってしまったことでしょう。

こーれーを、Tim Cookがどう判断するか。

まず、Intelサポートをやめるのか、やめないのかという問題があります。サポートを「OS起動」と「アプリ起動」の2つの段階に分けて考えましょう。時期については次章で考察し、ここでは「する」か「しない」かについて述べます。

OSの起動については確実に、どこかのタイミングでやめると考えます。毎年、足切りモデルを増やしていけば、いつの日か「もうIntel Macはなくなった」という状態になります。

販売終了したマシン向けにOSを作り続けるのは、ソフトウェア(OS)開発現場に大きな負担がかかることでしょう。

一方で、Intel 64のアプリ実行をやめるかどうか……Intel 32についても、OS起動はやめたものの、10.8/10.9/10.10/10.11/10.12/10.13/10.14と7年間もサポートを続けたという経緯があります。

さらに、Windows PCのゲーム移植を行う「Game Porting Toolkit」(以下、GPT)の登場が、本件の行方を予想しにくくしています。

GPTは、Windows PC向けの(Intel 64の)ゲームアプリを、Rosetta 2を用いて強力にエミュレーション実行するためのものです。これをサポートし続けるとしたら、Rosetta 2の廃止はWindowsがIntel PC上で動き続けるかぎりはない、ということを意味するのかもしれません(ただ、そんなにGPTの評判がいいとは聞かないし、そんなにAppleが我慢強いとも思いません)。

Intel Mac上でのmacOS起動打ち切り見込み

現在、macOS 14がサポートしているIntel Macは以下のようになります。

MacBook Air:2018年以降
MacBook Pro:2018年以降
iMac:2019年以降
Mac Pro:2019年以降
Mac Mini:2018年以降
iMac Pro 2017

2021年を基準に考えれば、あと2・3年もすれば主要機種は足切り可能です。

一方で、高価な機種(MacProやiMac Pro)については長期間、維持されることが期待されることでしょう。

一番最後になってApple Siliconに移行したMac Proについては、2023年まで販売が行われていました。この2023年の時点でIntel Mac Proを購入してApple Careを契約した場合に、このマシンは2028年まで動き続けます

Apple Careの内容について検討してみると、別にApple Careの最中はmacOSのアップデートを必ず行わなくてはならない、という条項はないようです。あくまでハードウェアの故障に対する有料保証です。

macOS 16(2026年)あたりでIntel Macの新OSにおける起動サポートを切ってしまっても、おかしくはありません。場合によっては、もっと早いタイミングで。

その一方で、Intel 64のアプリ実行については、当分継続されそうだ……といえます。

逆に、「Apple Silicon」という名前から「途中でARMからRISC-Vにでも切り替える気なのでは?」と疑っている人もいるぐらいで、もし仮にそうなってもIntel バイナリの実行は維持されるのかもしれません。

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