情報化社会を生き抜く技術 (前編)
人間を含む動物、そして生物の生きる目的は何でしょう。まずは「生きること」次に「自分の遺伝子、子孫を残すこと」ではないでしょうか。ですが「考える葦」である人間は昔から「資産」を子孫に残そうとして偉い人も政治家も庶民もいろいろな手段を考え、職業を継いで欲しい場合は子供に帝王学や職業のポイントを教え込んだり、自分に保険をかけて資産を引き継がせようとしたり、会社を継がせたり、様々な方法を試行錯誤してきました。残す資産は多くの場合、土地や会社など金銭に替えられるものとして、それが難しい場合は知的財産として受け継ぐ努力をしてきました。
1990年代からコンピュータが誰でも買える価格まで急速に値下がりし、インターネットが普及し、携帯電話が普及し、スマートフォンが普及し、「ググる」(Googleで検索する)ことで誰でも知りたいことを即座に調べることができる世の中(≒情報化社会または高度情報化社会)になりました。
その一方、情報化社会のデメリットも身近に感じられる世の中になったのも事実です。有名人がSNSなどで何気なくつぶやいた一言が顔の見えない他人にディスられ炎上してしまう事が頻繁にありますし、個人や企業の持つ情報量の格差がそのまま金銭的な格差に繋がるデジタル・ディバイドが現実的な社会問題となっています。
僕は一人のビジネスマンとしてプロジェクトマネージャー(プロマネ)の業務を10年以上続けてきましたが、約2年前にこの業務を地方工場のメンバーに引き継ぐことを命じられました。プロマネの仕事は経営資産である「人」「モノ」「お金」「時間」「情報」などを管理しながらプロジェクトを立ち上げ、計画し、進捗を管理し、終結させることにあります。どの資産も管理するのは難しいですが、個人的には最も難しいと考えている「情報」の扱い方についてこのドキュメントでは解説しようと思います。
あなたが身の回りに溢れる情報の中から、役に立つ情報や普遍的な情報を選び出す技術を身につけ、今より少しでも幸せな生活を送ることの手助けになれば幸いです。
2017年11月 世界平和を願って 鰯 十三
【前編】
もくじ
1.情報とは、ITリテラシーとは、情報弱者とは何か
2.情報をインプットする技術
3.情報の価値を量る技術
【後編】
4.フェイクニュースの見破り方
5.情報をアウトプットする技術
6.情報を伝える技術
7.情報化社会を生き抜く技術
1.情報とは、ITリテラシーとは、情報弱者とは何か
■情報とは何か
この写真はある「100均」で買ったストラップを少しだけ加工したものです。なぜこのストラップを手にしたのかと言うと書かれている”Information is not knowledge” ~情報は知識(良識)ではない~ という言葉がシンプルだけど結構本質を突いた言葉だと感じたから、そして社員証を首からさげるストラップが必要だったから、色が良かったからです。ですが恐らくこの加工した写真を見て、書かれている文言を気にする人はそれほど多くないのではないでしょうか。1枚の(加工された)写真を見た時に得られる情報は人によって異なります。まずは国語辞典で情報の意味を確認してみましょう。
1) ある物事の内容や事情についての知らせ。インフォメーション。「事件についての情報を得る」「情報を流す」「情報を交換する」「情報がもれる」「極秘情報」
2) 文字・数字などの記号やシンボルの媒体によって伝達され、受け手に状況に対する知識や適切な判断を生じさせるもの。「情報時代」
3)生体系が働くための指令や信号。神経系の神経情報、内分泌系のホルモン情報、遺伝情報など。
~デジタル大辞泉(小学館)より
真剣に考えると結構難しいですね。このドキュメントの中では1)”インフォメーション”の意味で情報という言葉を使っています。どんな事柄について考えたりまとめたりするにも前提や定義、自分の立ち位置ということがとても重要ですので、はじめに書いてみました。
■ITリテラシーとは何か
また言葉の定義から始めます。
情報 (information)と識字 (literacy) を合わせた言葉で、情報を自己の目的に適合するように使用できる能力のことである。「情報活用能力」や「情報活用力」、「情報を使いこなす力」とも表現する。~Wikipediaより
よく、「私はITリテラシー高くないので」みたいな言い訳をしながら、スマートフォンやパソコンの使い方を若い人ににこっそり聞く方が居ます。(僕の職場には結構たくさん居ます。)これは「ITリテラシー」をインターネットで検索することとか、パソコンのアプリケーションをうまく使う能力と勘違いしているためではないかと思います。情報を活用するのにパソコンやスマートフォンを使おうと、手帳やノートを使おうと、それは個人の自由です。6章で詳しく述べますが、情報活用力を向上させるために自分に合った”考具”(考えるための道具)はパソコン以外の物で何が良いか、少し考えてみてください。
紙に情報を書くときに、人は考えながら手を動かします。平仮名あるいはカタカナで書くべきかとか、漢字で書くべきかとか、書いてみたものの漢字が間違っている気がするとか、本当にいろいろなことを瞬間的に考えているはずです。一方、スマートフォンやパソコンに情報を入力するには、フリック入力やキーボードを使って入力する方が多いとは思いますが、慣れてくると無意識的に、手元を見なくても入力できてしまうようになります。スピードは手書きよりも速くなるかもしれませんが、手書きで書くよりも脳に対する刺激が少ないため記憶に残らない可能性があります。「ITリテラシー」を高めるために、メモ帳や手帳に気になることやちょっとした情報を書き留める習慣を是非、身につけてください。
■情報弱者とは何か
情報弱者とはある事柄に関して情報を持ち合わせていない人、または情報の入力を妨げられている人のことで、略して情弱なんて呼ぶ場合もあります。
人間はこの世に生まれた瞬間から(厳密には胎児の頃から)聴覚、嗅覚、触覚、味覚、視覚を通して様々な情報に触れ、成長します。子供は好奇心のかたまりなので、楽しいこと、面白そうなこと、興味が惹かれることをどんどん吸収し脳に蓄積していきます。しかし、肉体の成長が止まり大人になるにつれ、過去の記憶は次第に薄れ、直近の記憶も意識しないとすぐ忘れてしまうようになってしまいます。逆に大人になっても好きなこと、興味があることについてはすぐに覚えたり、いつまでも忘れなかったりします。つまり人はいつまでたっても自分の興味のある分野以外に関しては「情報弱者」であるのだと僕は考えます。自分が知らないことを多く知っている人のことを羨ましがったり、天才だとか、神ってる、なんて大げさに表現する必要はありません。それは「隣の芝生は青い」だけのこと。
SNSやIoT技術などの発達で、これからの社会はなんでもシェアしていく時代です。レンタルサイクルとかカーシェアリングを利用されている方もおそらくたくさんいらっしゃると思います。みんなにとって有益な情報を独り占めしようとか、高く売りつけようとか、情報弱者をバカにしようとするような心の狭い人間にはならないで、良い情報はどんどんシェアして欲しいと僕は思います。
2.情報をインプットする技術
■瞑想のススメ
現代人の多く、特に日本人の多くは”闇”の恐さも、メリットも忘れているように思います。夜でも明るすぎる街、いつまでも終わらないテレビやラジオ、見はじめたら止まらなくなる撮り溜めしたテレビ番組、Youtube。
情報をインプットする前にお薦めしたいのは「瞑想」すること、目を閉じることです。近頃GoogleやApple、MicrosoftなどのIT企業が率先してビジネスに取り入れている「マインドフルネス」でも瞑想は欠かせない行為です。
いきなり瞑想なんて、と思われる方もいらっしゃるとは思いますが、それほど難しく考える必要はありません。雨の日でなければ窓を開け、胡座を組み、呼吸を整え、身体の力を抜き、目を閉じる。最初のうちは3分でもOK、慣れてきたら10~20分とかもう少しずつ時間を長くしてみてください。それも嫌なんて方は寝る前とか朝にベッドの中で目を閉じて暫くじっとしているだけでも構いません。目を閉じ、頭をからっぽにしてみようとすると恐らく、日ごろあなたがどれだけ視覚から入ってくる情報に頼っていたかが理解できるはずです。外から漂ってくる近所で朝食を作っている匂いや、草花の香りなどの鼻が捉える情報。車や自転車が通る音、人が歩く足音、電気機器が発する高周波ノイズなどの耳が捉える情報。肌が捉える気温や湿度、風向きなどの情報。あなたが目を閉じて捉えた情報から季節の移り変わりを感じたり、家族への愛情が芽生えてきたり、普段では味わえない感情が湧いてくるのではないかと思います。
何事も原点に戻り、「初心」を確認すると今まで悩んでいたことがすごくちっぽけなことに感じられたり、穏やかな気持ちになれたりします。感情を整えるための瞑想、やり方についてはいろいろな本やサイトがありますので、週に一度で良いので生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
■入ってくる情報と採りに行く情報
あなたは1日に何時間スクリーンを見ていますか。スクリーンにはテレビ、パソコン、タブレットPC、スマートフォン、車のナビゲーション、映画館のスクリーン、デジタルサイネージなど数えはじめたらキリがない位いろいろなスクリーンが身の回りにはあるはずです。人口密集地であればあるほど無意識に入ってくる情報が多くなるのが現代社会です。
それに加え、日本人は無意識的に入ってくる情報を簡単に信じ込んでしまう特性があります。詳細は4章(後編)で述べますが、新聞とかテレビ、有名なニュースサイトは「フェイクニュース」で溢れています。僕は2年ほど前からテレビのニュースも新聞も有名なニュースサイトもあまり見ないようにしています。確かに最新の情報には若干疎くなりますが、有名タレントが誰と不倫したとか、どこの会社が不正会計をしたとか、首相が漢字を読めなかったとか、株価が暴落したとか、どうでもいいニュースに惑わされなくなりました。無意識で入ってくる情報は、時々意図的にブロックしてみることをお勧めします。
一方、自分が情熱や意図を持って何かをしたいときには自分から情報を採りに行く必要があります。職場で上司から何かを依頼された場合、業務上の問題が発生した場合、学生なら課題を与えられたときや宿題が出されたとき、「調査」して情報収集を行う必要があります。冒頭にも述べましたが、情報収集はとても簡単な時代になりました。スマートフォンやパソコンをお持ちの方は、疑問やよく判らない事があったらすぐにググる習慣を身につけましょう。Googleの検索バーに複数の単語を空白(スペース)区切りで入力すると、AND検索つまり単語1と単語2を含む結果を探してきてくれます。OR検索、単語1または単語2を含む情報が欲しいときは単語と単語の間に「OR」と入れればOKです。
一つ例を挙げましょうか。「事実」と「真実」、一つしかないのはどちらかご存知ですか。この場合は「事実 真実 一つ」と入力して検索すると複数の検索結果が画面上に現れます。正解は一つしかないのが「事実」で、人それぞれが本当だと信じていることが「真実」です。納得いかない方は早速自分で検索してみてください。いろいろな事柄について集めた「まとめサイト」やIT用語を集めた「ウェブ○○辞典」などは結構参考になると思います。もっと深く知りたい場合はやはり書籍を探したり、図書館に行くなどしてしっかりと「調べもの」をした方が良いでしょう。書籍になっているということは作者が伝えたいことを書き上げ、編集者が確認・編集を行ったという事です。信憑性の高さを求める場合は紙でも電子版でも良いので「書籍」を探すことをお勧めします。
また、僕と同じように子供がいる方にお勧めしたいのは、子供にしっかりと紙の辞書を引く訓練をさせておくことです。日本語の場合、同音異句(「聞く」「聴く」「訊く」など)が多数あり、微妙な差を理解しておく必要がある言語だからです。子供たちには英語やその他の外国語を身に付ける前に、国語や辞書の引き方はしっかりと身に付けて欲しいものです。
■インプット過多に気を付ける
調べものや何かの分析・解析などを行っていると調べることに夢中になり過ぎて、本来の目的を忘れてしまうことが僕の場合、結構な頻度であります。このような状況に陥らないよう、調査をする場合には目的・目標をしっかりと意識し、インプットする情報量をあらかじめ決めておくとか、欲しい情報がある程度集まった時点で自分なりに要点をまとめてみる、メモをとる、図にしてみる、などするように気をつけています。参考までに、僕が普段持ち歩いている「トラベラーズノート」の1ページの写真を載せておきます。
前項でも述べましたが、いろいろな種類のスクリーンや新聞から殺人事件の情報、海外でテロがあったこと、個人の購買意欲を刺激する広告、富裕層の自慢話などのどうでもいいニュースや情報が垂れ流されている世の中です。時にはテレビを消して、パートナーや家族、気の置けない仲間とおしゃべりをして、身近な情報の交換する時間を持ってみてはいかがでしょうか。
3.情報の価値を量る技術
■デジタルとアナログの違いを理解する
数値、量、電気的データなどを数値化すること、多くの場合0と1との組み合わせで表わすことをデジタル化といいます。コンピュータは基本的に情報を0と1の集合体として扱うため、例えば「9」を2進数で表すと「1001」となります。デジタル化≒単純化(コンピュータが理解できるようにすること)と考えても大抵の場合差し支えありません。
人間が感じる情報は大抵アナログです。アナログ情報は数値化できないほど多くの情報を含み、人の感情に訴えかけることもあります。10年ほど前からオーディオの世界では「ハイレゾ」がキーワードとなっています。CDの場合、音楽情報を記憶容量700MBというハード的な上限に合わせるために、一般的に可聴領域とされている0~20kHzの情報を44.1kHzの周波数でサンプリングし、16bitで量子化しています。つまりCDでは20kHzよりも高い音はカットされ、なめらかな連続した音はギザギザに加工されてCDに記録されている訳です。従来は捨てられていた高音も含め、アナログの音楽情報を従来より細かくサンプリングを行い(サンプリングレートを上げ)、量子化レートを上げて保存されたハイレゾ音源を専用の機器で再生してみると、おそらく音の豊かさに驚かされると思います。つまりアナログはデジタルが目指す対象であり、憧れである訳です。古いことが「アナログ」ではないので「デジタル」な情報に振り回されないように注意していただきたいと思います。
■物事には二面性または多面性がある
「長短同根」という言葉をご存知でしょうか。人は長所にしろ短所にしろ同じ特性が出どころであることが多いと言った意味です。似たような言葉に「表裏一体」という言葉もあり、こちらはご存知の方が多いと思います。何かにつけて調べる際に気をつけていただきたいのは、物事には少なくとも二面性、時には多面性があるということです。良いところやメリットだけを抽出しようとするとデメリットやリスクに関する考察がおろそかになり、結果として苦労して調べたけどそれほど意味がなかった、なんて虚しい事態に陥りがちです。
特に少し怪しい情報や、すんなり理解できない情報や概念に直面した場合には複数の情報源を比較、検証することが大切になってきます。
先日、Jアラートなる何の役にも立たないシステムで、「北朝鮮からミサイルが発射され、北海道または北日本の上空を通過しそうだ」との情報が流されました。本当にミサイルが飛んだのであれば確かに由々しき事態ですが、事実だったのでしょうか。
僕が個人的に調べたところ、「北朝鮮がミサイルを撃ちそうだ」との情報が日本政府に入ったのは発射よりもずっと前で、その証拠に首相は前日から官邸に入りテレビでコメントする用意をしていました。発射の直後に韓国から連絡が入りJアラートで国民に知らせた、というのが政府の発表内容でしたが、僕は全く信用していません。仮にミサイルが飛んだとしても北海道の上空数百kmの高さを通過する弾道であれば、発射直後に日本国内に落下する可能性はほほとんどないことが掴めたはずですし、警報を鳴らしたところで殺傷能力の高いミサイルに対して「頭を隠す」対応では何の意味もないと思いませんか。飛んだ事実があるのであれば海上自衛隊などを動員して、どのようなミサイルが飛んだのか調査を行うのが当然だと思うのですが、そのような報道もありませんでした。一連の騒動の目的は恐怖心を庶民に与えることと、アメリカから武器や兵器を買う行為を正当化することにあったのだと僕は考えます。
フェイクニュースに関する詳しい解説は後編で行いますが、報道メディアは大手であるほど事実を報じないものだということを覚えておいてください。
本題に戻りましょう。インターネット上で何か目的があって情報収集をする場合、時間に余裕がある方は必ず良い面と悪い面、メリットとデメリット、そして相対する言葉や事象の両方について調べるようにすることをお勧めします。
最後に例題をひとつ出しましょう。世の中で最も判断に困るのは意外に思うかもしれませんが「善と悪」の違いです。スマートフォンでもパソコンでも良いので「善と悪 違い」と検索してみてください。なぜ善と悪の判断を行うことが難しいのかご理解いただけたら嬉しいです。
■情報の価値の量り方
手にした情報に価値があるかどうかについては、以下の3つの質問をしてみると判断できると思います。
1)普遍的な情報か
2)グローバルな視点で通用する情報か
3)誰に役立つ情報なのか
まずは普遍性についてです。ニュースの場合、情報の鮮度が重要に思えますが意外とそうではありません。僕が単身赴任生活を送っている期間中に、博多駅前の道路が大きく陥没するという事件がありました。その頃、テレビを全く見ていなかったのでこのニュースを知ったのは職場に行き、同僚から聞いた時でした。テレビを見ていれば2時間くらい早く知ることができたのですが、幸いけが人もいなかったし、車以外の交通機関にも影響が出なかったので、衝撃的ではありましたが一般人にとってはそれほど大きなニュースではなかったと言えます。そんなことよりもアメリカの大統領選挙や国内の衆院選など、その後何年も間違いなく影響があるニュース、情報を重要視しましょうと言うのが1つ目です。
次の観点はグローバルな視点で通用するかどうか、です。子供の教育において「宿題」は多い方が良いかない方が良いかという命題について考えてみましょうか。日本や韓国、中国などではゆとり教育よりも詰込み型の教育の方が良いとされています。しかし、学力が高い北欧諸国では「宿題」なんていらないと考える方の方が多いようです。日本は島国であるためどうしても国内の情報が正と考えがちですが、常に海外ではどうだろう、と考えることを忘れないようにしてください。
最後の観点は誰に役立つ情報か、ということです。上に書いた教育の話、僕のような年代にとっては今更な情報ではありますが、小さな子供を持つ親としてはかなり重要な情報です。
常に情報の価値を量ることばかり考えているのは疲れますが、レポートや企画書を作る場合などには3つの質問を思い出してみてください。
■スノーデンに学ぶ情報のノードとは何か
エドワード・スノーデン氏をご存知でしょうか。CIA(中央情報局)と緊密な関係にあるNSA(アメリカ国家安全保障局)の職員であった彼は、アメリカ国内だけではなく世界中の情報を収集、盗聴、監視する闇の組織NSAに籍を置くことに耐えられなくなり、アメリカから逃げ出して世界中を転々とし、最終的にロシアに亡命しました。彼はアメリカの闇の部分をいくつもカミングアウトしているのですが、僕が最も注目したのは、NSAほどの組織であっても全ての情報を監視するには時間と労力が掛かるため、「情報のノード」に注目していた、ということです。ノード(node)とは結び目とか交点と言った意味で図にするとこのようになります。
小規模なネットワークで考えるとAはサーバーやルーター、Bはハブ、CはクライアントPCなどにあたります。情報がAからBを経由してCに伝わる場合、情報が分岐しつつ伝播していく状況がイメージできると思います。逆に情報を集める場合、情報はCからBを経由してAに集められます。
次にもっと大きい規模で考えてみましょう。Aは各国を代表する大規模サーバーとすると、アメリカで例えるならばアマゾン、アップル、グーグルあたりの超有名企業のサーバーがこれに該当することになります。そしてBはそれらの大規模ネットワークに接続されているサーバー群、CはAの企業と契約している法人などになります。NSAが注目しているのはノードであり、どこの企業とどこの企業が繋がっているのか、とかどこの国とどこの国の間で情報交換がなされているのかということであり、日本の情報はNTTドコモが意図的に情報を流出させているそうです。
まぁ私たち一般人は機密情報を握っている訳ではないので、情報を出すことに対して臆病になる必要はありませんが、個人情報を躊躇なく出し過ぎることはおすすめできません。ここでは、情報は集められたり分散したりするもので、「ノード」を意識すると価値の高い情報がどこにあるか理解しやすいとだけ覚えておいていただければと思います。
【前編】はここまで。続きは【後編】でお伝えしようと思います。のんびり屋さんな僕ではありますが、2017年内にはリリースするつもりです。
ご意見、ご感想など聞かせていただければ幸いです。
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