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『後染め(反染め、製品染め)』〜染色のタイミング❸〜

アパレル製品には大きく分けて染色のタイミングが4つあります。

1、原料染め(トップ、バラケ、トウ)
2、糸染め (チーズ、コーン、カセ)
3、反染め (浸染め、捺染)
4、製品染め

今回は3、4です。分類上、後染めになります。

3、反染め(分類上後染め)

布帛なら生地が織りあがってから、ニット・カットなら編んで生地状にしてから染めます。

“浸染め”と“捺染”とよばれる染め方があります。

うまく解説されてるものを探したのですが見つからず、内容前回までと少し重複しますがこちらをどうぞ

先染めと比較して量が染められるので

・コストが安い
・量産できる
・時間がかからない
・トレンドカラー対応など融通がきく

がメリットのようです。
デメリットは

・比較的色移りの心配がある
・色の深みがでづらい

=侵染め=

生地を染色液に浸して染めます。

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(サーキュラー染色機)浸染めの代表的な機械なのでのせてみましたがこれでは何にもわかりません。かなり大型の機械です。高圧で染液を循環させて生地に色を固着させるという仕組みらしいです。時間はかかりますが生地の中までムラも少なく染まります。
こういう感じなので、反染め(生地染め)は単色無地むきになります。

この辺のシャツとかパンツは生地染めだと思うのですが単色無地だと正直、製品をみても先染めとの区別が難しいです。

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(拡大図)生地染めっぽいですが確証はないです。

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グレー無地パンツですがこちらも反染めだと思われますが、画像ではなんだかわかりません。

=捺染=

プリント全般です。
オーソドックスなのは染料とノリを混ぜたものを熱で生地に固着させるという方法です。
やり方は幅広すぎて私では説明無理なのでこちらどうぞ


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こういう織柄では表現できない柄だしはプリントするしかないです。
柄の自由度はほぼなんでもありなのでは。

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拡大図です。織りのタテ糸ヨコ糸の組織に関係なく染料がのっかってるのがわかります。

補足:捺染の定義・範囲が私もよくわからないのですが大昔からの型染めから最近のインクジェットまでやり方も多種多様です
teeシャツやスウェット等の製品染めのプリント技術もいれてしまうとホントに無限です(発泡とかフロッキーとか箔プリントとか)

4、製品染め(分類上後染め) 

名前の通り製品(服の形)になってから染めます。 ガーメントダイともいいます。
メリットとしては

・小ロット生産できる
・独特の発色や柄だし

デメリットは

・コストが高くなりがち
・個体差がでがち
・色落ち、色移りしがち(洗濯時は特に)

個人的な印象ですが製品染めは染色段階としては他の段階とはちがう感じがします。
たぶん、後染めteesシャツとかタイダイ染めとかプリントteeとか、独特の発色とデザインでキッャチーさを狙った企画の製品が多いからだと思います。
製品染めは見た目での見分けもつきやすいです。

製品染めについてはこちらをみてみてください。


こちらはタイダイの上からプリントです。

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1、製品のロングスリーブteeをつくって、
2、それをタイダイ染め(絞り染め)してから
3、プリントするという段取り(この色数と鮮やかさはインクジェットなんでしょうか?ちょっとプリントの知識が足りてません)

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こんな感じです。どちらにしろ製品染めだからこその企画デザインです。
でも段取り多いとコストはあがりますよね。
さらにタイダイ染めとプリントで工場が移動してる可能性もあります。
もしそうなら輸送費とか人件費でさらにコストはあがります。

補足:メンズの方はご存じですがインコテックスのパンツには毎シーズン製品染めの定番パンツがあります。

製品染めした後、さらに洗いがかけてあり、発色、色落ち、パッカリングなどで独特の風合いをねらったものです。
製品染めを染色というより加工という感覚でとらえてる感じです。

ほぼ完全に製品に仕上がってから染めて洗うため個体差もでます。(縫製の具合とか、釜やドラムのなかでのポジションとか状態で)
もともとそれを風合いとしてよしとする製品企画でないといけません。
デニムの製品加工品なんかと同様です。
製品染めにはこういう目的のモノも多いです。

ちなみにこのパンツあるあるですがウェスト・ヒップだしができません。
製品染めしてるのでお尻のセンターシームをあけて広げると縫製の影響で染まってない部分が表にでてきちゃうことになるからです。
タイダイ染め(絞り染め)と同じ理屈です。


<まとめ>です。

・反染め(生地染め)と製品染めは後染めに分類される

・反染めには“浸染め”と“捺染”がある

・先染めよりだいたいの場合生産効率がよく、コストがおさえられる

・浸染めは単色無地むき、捺染はプリントで多種多様なやり方があり色、柄の自由度高い

・製品染めの仕上がりは独特な風合い

・製品になってから染めるので個体差でがち・製品になってから染めるので色落ち、色移り注意

次回、補足です。

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