ある日のデートin ロサンゼルス(2)

私たちのお気に入りの町、パシフィックパリセーズ。マリブとサンタモニカの間にあるこの明るいこじんまりしたカリフォルニアらしい町は、ベルエアやビバリーヒルズなどに比べてあまり知られていないけれど、海に近く、きっぱり明るくて、セレブリティがカジュアルにその辺りにいるような高級住宅地。小さな個人商店が並ぶ町の中心は、軽いリゾートな雰囲気で、私は好き。

ある夏の午後、すぽっと時間が空いたので、ビーチに行くことにした。まずはパリセーズにあるゲルソンズで買い出し。ここは惣菜が美味しくて好き。わたし用の飲み物とフルーツの盛り合わせとを買って、車に乗り込み、ウィルロジャースへ。ビーチへ向かう坂道に車を停めて、紺色の海に向かって歩く。彼の持ってたジムの名前入りの水筒を見て、すれ違った人が彼に声をかけた。ジムのお客さんみたい。彼と歩いているといろんな人が声をかけて来たり話し込んだりして、それはいつもなんか楽しい。人懐こい笑顔が話しかけやすそうに思うのかな。

いつも海で使うバスタオルはもうすっかり海の匂い。キャップにサングラス、ビーチサンダル、水着の上にはシースルーの上着とホットパンツを履いて、歩く。隣に歩く彼の、日焼けした胸元にクラクラする。彼との時間が嬉しくて嬉しくてハッピーが広がる。

海にはすでにたくさんの人とパラソル。少し人が少なそうに見えるサンタモニカ寄りに土手を歩く。浜辺の砂は半端なく暑くて火傷しそうになるから、ビーチサンダルをペタペタさせながら歩く。

バスタオルを敷いて、荷物を置いたら、サンダルを脱いで、波打ち際へ。暑くて待ちきれない彼はどんどん奥にいってしまうから、私は波打ち際でひんやりした水を楽しむ。彼はアイスバスというのによく入るから、冷たい水もあんまり気にしてないみたい。おいで、と言うけど、胸を浸すのには勇気がいるから、少しずつ進んでいたら、大きめの波が来て、すっかりずぶ濡れになってしまった。気合を入れて、彼の元へと漕ぎ出した。

このビーチは結構すぐ深くなって足がつかなくなるから、結構こわいんだな。波も高いし。彼は楽しそうに私を抱き寄せる。可愛くて仕方ないという感じで、まるっと私を包み込む。触られるとお腹の奥がキュンとするけど、外では私はその感情は見せないようにツンデレする。彼はたまにくる大きい波で髪がぐちゃぐちゃになっても、メイクが落ちても、愛おしそうに私を見る。スタイルだって全然だけどあんまり気にしていないみたい。自然のままのエリーが好きなんだ、と私をすっぽり愛情で包み込む。体のなかにじんわり暖かさが広がってゆく。

ビーチを上がったら喉が渇いたので、水を飲んで、それからフルーツを食べた。最高、すいか!
そうこうするうちに彼の友人たちに出逢った。後で聞いたらコーチ仲間だそうで、どおりでみんないい体してたわけだ。

おもむろに彼が二人の写真を撮った。あまり2人だけの写真は撮ってないから、これは特別な写真。カリフォルニアの太陽と青い空と白いビーチとが印象的な、2人の写真。

夕方を待たずに帰ることにして、道に落ちてた電動スクーターで車まで戻ることにした。海で遊ぶと結構つかれるんだな。なのでスクーター、ありがたい。

車に乗り込むと、前を向いたまま彼が、シャワー浴びよっか、と言った。それはいい考えね、とわたしは返す。あ、時間計算してたな。仕事柄時間感覚の鋭い彼だから、残り時間を計算して海を上がったんだと今更気づいた。いつもながらスムーズなエスコート。悪戯そうな目と口元がこちらを見た。胸の先が敏感になって、お腹の下がきゅんとして、早く触って、と私に囁く。彼はわたしの左手をこうから包み込んで、肘置きにとんと置いて、車を出した。夕方の海がキラキラと輝いていた。

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