【トップリーグ観戦記】バレットとTJペレナラ

2021年2月21日 
サントリー三菱重工相模原

バレット三兄弟の一人のボーデンがサントリーへ。現役で世界最高峰のBKプレイヤーと言っていい人で、サントリーではSOをやるよう。ハーフ団に一流どころが加わるとチームが変わることが多いので、楽しみなところ。

南半球の選手で、かつ昨秋のトライネーションズを戦ってきている人たちは体が絞れている印象があります。バレットも身体のキレがありました。

試合は開始早々にサントリーが中村とケレビ、両センターの突破であっさりトライ。その後の再開のフェイズではバレットが、キックでしっかりゲームメイクもするし、ラインも動かすし、自分でランもすればオフロードでしっかり繋ぐ、流石のプレーを見せてくれる。5分で2トライ目。


10分過ぎに三菱もキーマンと言えるセンターのリトルの強引な突破でトライ。ここは、タックルに行ったサントリーの中野の女の子のようなしがみつきタックルがみっともなかった。まだ世界レベルでは戦えないよな、、という印象。
リトルがこのトライを取った後に、ケレビにインゴールデ頭蹴られて退場。残念。ケレビは本当にわざとじゃないのか?

試合としてはこの後も一方的にサントリーが攻め続け、三菱はディフェンスが対応できていなところが目立つ。バレットの動きもとても目立っていて、プレッシャーがさしてかかっていないこともあるけれど、今後が楽しみな初戦。


試合としては、前半20分頃から5分間程度三菱がサントリーゴール前で攻め立てたところをサントリーが我慢しきって、カウンターから11番のデビタ・リーがトライをしたところで興味がなくなりました。。デビタ・リーはこの試合5トライの荒稼ぎ。

前半で試合としての興味が失せたので、もう1つの注目試合、TJペレナラがやってきたドコモの試合に浮気。

2月21日
NTTドコモ ー キャノン

こちらも現役バリバリのオールブラックス、TJペレナラの加入したドコモ。決して上位チームでないところにこのようなスターが加わっても、さして機能してこなかったのが今までです。リコーに加わったノヌーなんかはその典型ですね。ただ、SHという試合を動かす、コントロールするポジションに入ると、チームが変わる可能性があるかも、と思っています。また、オールブラックスの猛者を引き連れて、ハカをリードするようなペレナラのキャラクターが、ドコモを変えるかもしれない、と。

試合は前半はキャノンが順当にリードをしていますが、14−6ということでいい試合に。
後半のスタートは拮抗していて、どちらが先にスコアするか、で試合の流れが変わりそうですが、なかなか点数は入っていきません。

しかし、ペレナラは明るい。とにかく明るいです。表情が。そして、よく喋る。レフリーと、自分のチームのメンバーと、そして田中と。彼が一人いることで、場がとても明るいムードになっているように見えます。

後半のスタートのキャノンの攻勢を凌いだあと、15分にキャノンのロックがシンビンに。
ここでそれまでアタックに少し手詰まりだったドコモが攻勢に出ます。敵陣に入ってゴールに迫った後、連続攻撃から最後はラックサイドを抜けたFWをペレナラが素早くフォローして中央にトライ。
いいタイミングで、いい人がトライ。自然と盛り上がりを感じる。そして、よく喋る。本当によく喋る。
14−13の1点差。ここで大体残り20分。

キャノンの田村はこの辺りから少し足が痛そう。故障というより、つっている、という感じ。暑いし初戦だし、もう32歳ですしね、彼も。小倉と替えないのかな、と思っていましたが、小倉はこの後FBに入りました..

65分にドコモは相手ゴール正面22m付近でペナルティをもらい、そこからTJが間髪入れずにタップキックから、10mバックを気にしてタックルしないキャノンの良い子を尻目に裏に抜けて、フォローしてきた7番に渡してトライ。ここは、ペナルティをもらう前から、もらったらこうしよう、という意図があったように思います。

ただ、このキックをSOの川向が正面から外してしまう。。オイオイ、です。これは、このレベルの試合ではやってはいけないこと。
17−18でドコモが逆転。本当は17-20になるところ。

70分を過ぎてからのドコモの攻撃は、ペレナラのパスワークが冴える。テンポもいいし、パスの高さやスピードなども絶妙。しかも最後のトライに繋がるロングのパスは、そのスペースがギャップ、ということをきちんと見抜いて、そこに走り込ませるように放っている。んー、唸ります。
ただ、トライ後のコンバージョンは、優しくないとはいえ、再度川向が外してしまう。
これで、17−23。6点差。ここ2つのトライのうちのコンバージョンが1つでも決まっていればここで8点差で勝負あった、なのですが、キャノンからすれば俄然やる気に。

ということで、その後はお互い冴えないキックの応酬でしたが、田村が自陣22m付近から、トイメンとのミスマッチを活かしてラインブレイク。大してスピードもないのですが、全体的に足が止まっていることもあり、無人の荒野を走っていきます。途中出場の安井がフォローして、最後は田村がTJを引きつけてアシスト。
残り3分のところで25−23に。ゴールキックは田村は無理で、小倉が。まあ、ここはどちらも役者なので、しっかり決めてきました。

が、次のキックオフからキックの応酬で、キャノンのは相手陣22mあたりでキッカーへレイトタックルで大きく陣地の挽回を許してしまう。このプレーは絶対にしてはいけないプレーでしたね。。

ラインアウトは10m付近から。徐々にドコモが前に出ながら、ペレナラがみているのは、どうみてもペナルティを得ること、そこに向けて、FW周りに固執して配給しているように見えました。
そんな策にはまってか、キャノンが堪えきれず、密集で反則。ゴール正面30mあたり。

ここ、普通ならば、少し迷うはずです。今日は、キッカーの川向は明らかに調子が悪いです。ゴール真っ正面からも先ほど外しています。不確実性があるならば、タッチに出して勝負をした方が、完全燃焼できる、みんなが納得するのでは、と考えるところだと思うのです。

が、TJはキャプテンではないですが(キャプテンはエラスマス)、ペナルティを得たTJは、すぐにボールを取り、誰に相談することもなく、100%の確信でゴールを指さします。
狙うんだ、と。
そして、にこやかな表情で、顔に皺をいっぱい作って、川向にボールをわたし、ポンとお尻を叩きます。
そこには、TJの彼への、今日外しに外しているチームメイトへの、絶対的な信頼、を感じました。

「たとえ今日が不調であろうと、彼はこのチームのキッカーで、彼がそれに相応しいことは知っている。練習でしっかり見ている。だから、つべこべ考えることはない。今、この試合に勝つには、彼にキックを決めてもらうことが最善だ。だから彼に任す。それだけだ」

とでも言っているように見えました。

任された川向は、せっかくの場面ですが、髪の毛をセットする余裕もなく、落武者のように髪を靡かせながらも、しっかりゴールを決めました。
さよならPGで24−26でドコモの逆転勝ち。

ペレナラの明るさ、コミュニケーション、そして、何より僕は、最後のシーンでの「チームメイトへの絶対的な信頼」に強く心打たれました。チームを変えるプレイヤーですね。

今後のドコモに注目です。何しろここは、マピンピもいますので。

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