ラガー箚記(38)リーグワン第12節のレビュー
もう13節が始まっていますが、12節のレビューを。交流戦が終わりカンファレンスAの戦いが熱いです。今節も、東芝ークボタ、サントリーー神戸の試合がビッグマッチでした。ここで負けてしまった、クボタ、神戸はそれぞれ厳しい状況に追い込まれてしまいました。。
クボタ 20ー22 東芝
70分まではクボタが持ち前のFWの強さ、そして復帰したフォーリーのタクト、ファンデンヒーファーのキック力で、東芝に試合をさせなかった。ところが、最後の10分だけ、完全に東芝が試合を支配した。そして、計ったように最後に逆転をして見せた。東芝からすれば、まさに、勝ちに不思議の勝ちあり、という感じ。
クボタは確実に復活してきているでしょう。役者が徐々に戻ってきた中でも、キッカー二人の復帰は、FWをしっかり前に出すことができていて、今日はFW戦では東芝を凌駕していた。ただ、そんな中で、点差を決定的に開けなかったのは、今季の東芝の自力ということになるのでしょう。
クボタは、自分たちがトップクラスの力であることを見せつけているけれど、この後のメンタルはどうだろう。今日のような試合をすれば、サントリー、神戸とも際どい試合になるのは間違いない。ただ、目標を見失うとどうだろう。。
東芝は、フリゼルの様子や徳永の様子が気になるところ。リーチと佐々木がいない中で踏ん張っている三列がこれ以上いなくなると、かなり厳しくなるのでは。。
神戸 27ー36 サントリー
サントリーが攻守で首を上回った。特に神戸の強烈なランナーたちを、ディフェンスの局面でしっかりと抑え、後半の20分過ぎまでは有効な攻撃をさせなかったのは見事。組織としての成熟度合いを感じる。また、攻撃に回った時の決定力もさすが。神戸はアタックで、セカンドプランがなかったのが残念。
神戸はポゼッションアタックをしっかりゲイン前で止められ、接点でも執拗に絡まれ、有効な連続攻撃ができなかった。サントリーも、ゴールまでは神戸の分厚いディフェンスに跳ね返され続けたものの、決め切る力は神戸より上だった。
ただ、勝負のアヤは後半30分のガットランドの痛恨のタッチキックのミスでしょう。8点差。ゴールキック絶好調だったガットランドなら、あそこはPGを狙うべきだったはず。残り10分で5点差になっていたら、サントリーは、前節の悪夢がよぎったはずだし、会場は神戸ムードに放ったはず。
神戸は、最後は個人の力で3本取ったけれど、チームとしてデザインした攻撃は、サントリーに通用しなかった。一段上のレベルの組織力を持つチームに対しては、一歩劣るところを感じます。その点で、今日はサントリーが順当勝ち。神戸はボーナスポイントを与えなかったのがせめてもの救いでしょう。
埼玉 53ー12 相模原
埼玉が隙のない試合展開で圧勝。相模原はディフェンス頑張ったけれど、いかんせんマイボール持って攻める機会が少なかった。特に後半はほとんどなかったのでは。埼玉に対して、スクラム、ラインアウトで負けてしまっては苦しい。。
埼玉は一人一人が確実に小さなゲインをしていて、時に強いタックルを食らっても、決して慌てないでしっかり繋いでいく。慌てて変にオフロードしたり、無理なパスをしてアタックを終えてしまうことが極めて少ない。まるで練習のよう。
トヨタ 47ー30 近鉄
お互いのアタックの力がよく見えた試合。見応えのある得点シーンが続きましたが、双方ともに守勢に回ったときに反則が続き、ずるずるとトライにまでいってしまうことばかり。ゴールラインを背にしたディフェンスも締まりがなくて、少し上位との差を感じる試合内容。
近鉄はクーパーを中心としたアタックが、試合を通してしっかり機能していて、後半はポゼッションアタックは結構防がれたけれど、いずれにしても攻めれば得点の匂いは十分にした。近鉄は、やっぱりディフェンスですね。試合の中で一定しない感がある。
トヨタは、自分たちの強みが活かせていない試合。アタック力もいいのだけど、やはり、強力なFWで相手のFWを粉砕して、試合をさせないようなゲームをしないと。こんな試合内容では、上位に勝ち切れるとは思えない。もう一度原点に戻って、自分たちの強みがなんなのか、しっかり見つめてほしい。
静岡 43ー12 三重
前半と後半で別の試合のよう。前半は、静岡が完全に試合を支配した。ボールポゼッションをしながら強度のあるアタックを継続し、ホンダにほとんどアタック機会を渡さなかった。ホンダも粘るのだけど、ターンオーバーした後の動きに統一感がなくて、逆に切り返されてピンチにも。静岡はプリンホールがアタックを牽引。
しかし、後半は一転。スクラムをメンバー変えて、ハーフも変えて流れを変えたホンダが一気に2トライ取るも、その後は静岡が、伊藤を入れてきたスクラムで圧倒。これはホンダには厳しかった。。伊藤が元気に30分やられるのは、相手にはしんどいかも。。後半の中盤以降は、静岡が切り返した。
ホンダはアタックは見どころあるのだけど、例えば15フェーズ繰り返して取り切る、というような力は感じない。フェーズ重ねていくと、逆に相手にプレッシャーかけられ、ターンオーバーの危機感を感じるくらい。「アタックにおける辛抱」という点が今後の課題では。
静岡のSO奥村は素晴らしかった。家村、グリーン不在の中、しっかり試合を作ったし、ランナーとしても存在感を見せた。FBが本職だとは思うのだけど、SO,FB両方こなせるプレーヤーとしての立ち位置を示せるように見える。
ホンダは前半がどうして、全くマイボールを持てなかったのか。ここをしっかり振り返る必要があると思う。後半を見れば、決してチーム力が大きく劣るわけではないわけで、ならば、逆に、チームとしての入り方の問題で、そこは逆に問題。
リコー 12ー31 横浜
横浜がよくリコーのアタックを凌いだ一戦。ルーカス、マッガーンあたりの動きを完全に封じたことと、モールディフェンスを粘ったところが、得点差になった。横浜はモール以外のアタックで決して上回ったとは思えないけれど、よくディフェンスで凌いだ。
リコーは前節で躍動したルーカスが、今日は完全に出所を封じられた。簡単な話で、アタックの際にアウトサイドがさっさと被せて仕舞えば、ルーカスまで回らない。今日はそこに対して、ではどうする、という案が全く見られなかった。
横浜はモールからのアタックの確実さがあり、モールでのディフェンスが粘り強かったけれど、アタックは、「これはらしい」というのは1本だけかな、と。いいアタックは見せているのだけれど、今日は繋がり切れるような雰囲気ではなかった。ただただ、今日は順当、というところ。
横浜は、埼玉との試合以外をしっかり勝ち切れば、3位、4位になれる可能性は高そうだけれど、この程度の試合内容では・・・と感じる。
サントリーが大一番を制したことで、ベスト4にかなり近づきました。東芝も勝ち星を拾い、かなりベスト4を確たるものにしています。
残る椅子を、横浜と神戸が争いますが、神戸は、まだ東芝、クボタ、静岡を残しますからね。。横浜は、負けそうなのは埼玉だけ。かなり横浜が優勢に見えます。神戸は次節の東芝戦が、剣ヶ峰、ですね!
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