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タオルケットは穏やかな 1周目の感想

わたしたちへ
イントロでアルバムver.になっていると分かりちょっとドキリ。良くも悪くも。ギターの最初の音が外れたようになっているのは気のせい?ともかくドキッとしてしまった。ドラムの力強さ、スパッスパッという感じ。わ〜たし〜の"わ"の不安定さもこの曲らしさ。やっぱ大好きですこの曲。
追伸(2.11) インタビューでこの曲だけドラムが照沼さんじゃないと知った。Hikariさん。

やさしいギター
まじ?!こんなのやる?からのギターリフでカネコアヤノらしさ。ダークなテイスト。昔使っていた鉄琴のような音も入ってる。絶妙なバランス。ベースにグルーヴ感出ているのが珍しい気がする。ドラムが変わったことも関係するのかな。

季節の果物
出だし最高、ギターのエフェクトがカッティングと相性いいね。やっぱりベースの音質変わってない?粒っぽい。寄り添う音楽から突っ走る音楽に変わってる!布と皮膚に感じた縦にスキップしたくなるようなアレが進化している。ジブリのテーマソングのような、楽しさに内包された根源的なかなしさ(?)普遍と異端、日常と非日常の究極の一致。

眠れない
これを待っていた!!CM発表の時から!やっぱりカネコアヤノの生活が超明るいフェーズに入ったんちゃう?早いテンポでうきうき、ほんでこのサビのキャッチーさよ。歌詞に世界は残しつつモデルチェンジしている。

予感
先行リリースで擦り切れるほど聴いたこの曲も通しで聴くと若干クールダウンというか、テンポも落ちてアルバムを落ち着かせている。でも大サビ前の、「羽はないよ〜」からの力づくさは今回のアルバムのコンセプトな気もする。力強く、ねじ伏せる。いまだに聴いていて鳥肌が立つ。

気分
これも10曲アルバムの真ん中、従来のカネコアヤノらしさが前面に出た寄り添う音楽。サビの静寂さと歌詞の普遍性に泣いてしまう。本当に泣いてしまう。気分が上がったり下がったりする人たちにそういうもんなんだよと語る。解決ではなく、前進でもなくて、肯定。必要なものの全て。アウトロには「全て語り尽くした、あとは聴け」という気概が感じられる、泣けます

月明かり
エレクトーン?ギターはアルペジオ。暗いな。けど音が多くて大きくて不安にはならない。これもバランスがすごい。暗くなりすぎない、どこかにのぞみすら感じられる。付き合いたてのカップルの甘いハグよりも家族や久々に再会した長年の友人たちのような力強いハグを思わせる。大サビ前、「ah~」の後ろでなっているミュートトランペットのようなの何これ。ジャズテイストやん、ドラムがジャズってるやん。スウィングしてる。ギターも暴れ始めた、セッションや。ライブでは長尺でやりそうやな。アウトロはアルペジオに戻って来つつノイズのようなものを偶発的に鳴らしている。この曲全体を交互に行き来した不安と安心は夜目が覚めて目に刺さる月明かりのよう。

こんな日に限って
歌入り、神曲の予感。J-POPテイストな運び方。2回目の「わたしが揺れると」からの爆発のようなリードギター。間奏でクールダウン、重奏的なコーラスが効果的。そっから爆発、マラカスのような弾ける音は突っ走る。アウトロに入るベースラインは巧みでやさしい。

タオルケットは穏やかな
天体観測みたいなギター。カネコアヤノっぽいドラムビート。これは今のカネコアヤノとこれまでのカネコアヤノの違いが一番顕著に出る曲な予感。テイストが似ているだけに。伸びる母音がカネコアヤノの真骨頂、あー届く届く。媚びない姿勢で自分に向けて歌っているから、他人に届く。テンポは早いなやっぱり。ライブだとちょっと走って雰囲気も変わるんだろうな、もっと力強いバイブスに。オーディエンスに見られていたカネコアヤノが、見せるカネコアヤノに変わった気がする。全曲に言えることだけどアウトロの潔さが素晴らしい。全てきちんとピリオドで終わらせる感じ。

もしも
始まりはこれからの活動に続く、新たな何かを予感させる。ビートを使い、電子的なギターサウンド。聴いたことのない音作り。ベースとギターが同じような旋律で動く。ハイハットが入って来た。歌詞には「変わる・変わらない」が入って来て彼女のエッセンスを感じる。様々な逡巡があってそれでも生み出し続ける姿勢が透けて見える。作品全体を通しても歌詞を見ても。不安はあるけどもうそこに引っ張られて落っこちることは無いんだな、と思わされる。「覚悟」という言葉も出て来た。以前のカネコアヤノのどことなく不安げな印象を完全に払拭するアルバム。

まとめ
「力強く・ねじふせる」が全体を貫くテーマだと感じた。ドラムが変わったためか全体的なリズム体の音に力強さが加わり、音としての作風は変わった。そのことは表題作「タオルケットは穏やかな」に顕著だ。寄り添う音楽から聴くものの手を掴んで突っ走っていく音楽へ。ただ、「眠れない」や「予感」、「気分」のようにこれまでのカネコアヤノらしく聴き手の生活に丁寧に寄り添うような楽曲もある。だけどそこには以前のような不安とのやりくりではなく、ありのままの自分で立ち向かう姿勢が歌われていた。がメロディから感じた初回の印象!

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