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自由律俳句

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2022年12月の記事一覧

深刻な咳に変わった

深刻な咳に変わった

ついてこない犬の名を叫んでいる

雨の中革ジャンで走らない

テントにぶつかる2種類の雨音

探さずに出てくるのを待っている

ふくよかな人だと座れない

デジタル時計が僕の生まれた時刻を指す

鼻水が垂れているが垂らす他ない

紙袋に雨除けカバーが付かなかった

少年に着こなされた服たち

最近ミミズを見ていない

土産にもらったペンが書きやすい

落とした硬貨の行方を見ていた

この店唯一のア

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中味は空だが捨てられない

中味は空だが捨てられない

脳内マップで最寄りのトイレを捜索

よっこらしょせずに見始めた映画

内科の先生そっくりさんが大麻を

日本語と韓国語の類音に期待

喫煙可だった頃の名残

音姫みたいな気遣いだ

中身は空だが捨てられない

腰が低いでは済まない老人

会うのは二度目(見たのは五度目)

君の瞳の中でゆれた僕の瞳君はすごいなって

残り物の邪な気持ちと淡い期待で作った炒飯

悪夢を見たと嘘をついた

思い出深い駅

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夜を待てずに輝くもみの木

夜を待てずに輝くもみの木

夜を待てずに輝くもみの木

失点より痛かった失笑

先に待ってた人がいるバス停

地球儀の真ん中にはアメリカ大陸

ひいおじいちゃんがロシア人らしい

余計なことがゆっくりと口から出ていく

漢字から想像できるから掘り下げない

信頼できない鍵のせいで始められないトイレ

脳内に搭載された辞書が違う

ラジオネームに至る思考を辿る

飲み残しのビールを流す音

芸術的にすら見えた散乱ゴミ箱

空港

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