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【映画感想】打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?(ドラマ版)

あらすじ

小学生の典道と祐介は仲の良い友達で、2人とも同級生のなずなの事が好きだった。しかしなずなの両親が離婚し、彼女が母親に引き取られて2学期から転校することになっているとは、2人には知るよしもなかった。親に反発したなずなは、プールで競争する典道と祐介を見て、勝った方と駆け落ちしようとひそかに賭けをする。勝ったのは祐介か?典道か?
引用:打ち上げ花火、下から見るか横から見るか?Wikipediaより

登場人物

島田典道
主人公。

及川なずな
かわいい。

安曇祐介
典道の友達。


感想

この映画を見て最初に思った感想は『羨ましい』だった。
私の人生にこんな場面は無かった。放課後に花火を見に行く友人もいなかったし、親しい女の子もいなかった。小学生の頃は花火なんかに興味を持たないのがかっこいいと思っていた。

この映画の感想として『羨ましい』は、果たして正しいのだろうか。映画の感想に正しいも間違いも無いという意見もあるだろうが、少なくともこれで映画について深く理解できていると言えるのか?


この映画は主人公の典道の過去の回想なのではないかと思った。
まず、全体にフィルム風のエフェクトがかかっている。これによって、映像にある種の古臭さのようなものが現れる効果がある。これを見た時に私は、なんとなくノスタルジックな気持ちになった。こんな青春は過ごしていないが、それでも小学生の頃の暑い夏を思い出させる何かがある。
これがリアルタイムの物語、つまり典道が今まさに体験していることであれば、このような効果をつける必要はない。よって、これは典道の回想であるという結論に至った。

しかし、この映画のもう一つの特徴として、登場人物の目線からのカットがある。当初はこれも映画が回想であるとする理由の一つだった。要するに典道の視点からの映像が多いのは、典道自身の記憶によるものであるからとする考察をした。
これには問題があり、この映画には他の人物からの視点もいくつか存在する。プールでの競争に勝った祐介の視点が特に印象的であった。この映画が回想であるとするならば、このように他人の視点のカットが入っている理由が説明できない。

そのため典道の回想であるとする考えは間違っていると思われる。


少年たちの思春期の恋心により描かれる心情描写が素晴らしかった。好きな女の子に正直な気持ちを伝えられないもどかしさと、子供の力ではどうしようもない理不尽な別れの悲しさとやるせなさが伝わってくる作品だった。
なずなと典道の家出のシーンは、観客としてなずなの引っ越しのことを知っている分、(このまま誰も追って来れない遠くまで行ければ良いのに……)と少し悲しくなってしまった。
プールでの別れのシーンは言わずもがな、望遠レンズでピントをぼやけさせる演出は見事だった。

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