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くり

ぼくはどうやらくりらしい
まっくらんなかでさ
ぎゅってなってさ
いるんだけどさ
ちかごろ  こんなこえがするんだ

『そろそろだな』

『おおきくなったわね』

『わーい  くりひろい』

ってさ

きょうははやくからさわがしい

ばっさ   ばっさと
ゆれる  ゆれる

ぼくたちは  ゆれる  ゆれる
おちる  おちる

めのまえがぱっとあかるくなった
『おっきな くり』
そういって  ぼくをひろいあげたおとこのこ
かごにそっといれられた

ほかのくりたちも  かごにやってきた
ぼくのとなりのやつがはなしかけてきた

『ぼくたち  どこかにいくの?』
『さー  わかんないね』

だって  ぼくは ぼくのこと  なんにも  しらない
なんのために ここにいるのかだって
しりやしないんだ

ぼくたちはおとこのいえにやってきた
だいどころにはこばれると
ぼくはかたいふくをはがされた

そういえば  ぼくは  
 いがいがのふくまできてたのに
そのいがいががいたいっていってたのに

ぼくたちをどうするきなんだろう
ぼくも かんがえだしたね

ぼくはかたいからのしたにまだしぶっていう
ふくをきてた
それもぬがされた

しろいつぶたちといっしょにくらやみにいる
あつくなってきた
でもなんだかいいにおい

うつら  うつら  してたら  めのまえがあかるくなった

『うわー  おいしそう  くりごはん』と おとこのこ

ぼくはくりごはんになったらしい
『おいしい  おかわり』とおとこのこ

ぼくのなかまには  むしにくわれやつもいた
ここにくるまえ
そういって ひろわれなかったやつもいた

それはそれで 
むしにおいしっていってもらえたかな

『おいしい』わらいごえといっしょにきこえてくるこのことば
ここちよいことば
ぼくはぼくがうまれてきたいみをしった

#くり
#秋
#栗ご飯
#絵本ストーリー
#創作







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