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作品名:「へびとかえる」とアートの楽しみ

先日初めて訪れた美術館でのこと。
最初に私を迎えてくれたのは、
スクラップ素材の塊を表したようなオブジェ〝無題〟。
ただでさえ苦手意識がある現代アート、
さらに〝無題〟となると私はもうお手上状態になってしまいます。


美術品で〝無題〟とあるのは、歴史的作品や製作者が亡くなっていて作品名が分からない場合と、製作者が敢えてタイトルをつけずに〝鑑賞する人に考えて欲しい〟という意図を持った場合にあるようです。
今回はもちろん後者ですが、〝自由に自分なり鑑賞することを許されている〟ような、〝鑑賞する力を試されている〟ような…どちらにしても〝無題〟を鑑賞するのは結構難しい思ってしまいます。


ところが博物館などで縄文土器や土偶を見ていると、なぜか自由に楽しんであれこれと想像する私がいます。
縄文土器や土偶にある○○土器や○○土偶などは、形式上の分類や愛称などで作品名ではないので〝無題〟と同じと言えます。
自由に見る側が色々想像する…そう思うと現代アートの〝無題〟と殆ど変わりがないかもしれませんね。


縄文時代には土器や土偶などの他に、「線刻画」というものが作られました。

これは縄文時代前期の約6000年前に作られた、土器に線を刻んだ「線刻画土器」と言われるものです。
これだけ見ていると何だかわかりませんが、展示の説明を見てみると…

千葉県西の台遺跡 / 飛ノ台史跡公園博物館


動物を描いた土器 - へびとかえる -
博物館で付けられた作品名?と共に「線刻画」の説明図がありました。

へびとかえるの物語が描かれているようですね。
これは当時の動物画?風景画?と見てよいのでしょうか。それともここには何か深い意味が込められているのでしょうか?


「線刻画土器」は弥生時代にも見られます。
こちらの弥生土器の線刻画(複製)は当時の風俗画と言えそうです。

奈良県立橿原考古学研究所附属博物館

説明を見ると…
鳥装のシャーマン〝くちばしを取り付けたかぶりものを頭につけたシャーマンが台地を踏みしめて立ち、神の言葉を伝えている〟とあります。
左から女性、男性、シャーマンの胸にはシカの絵と、当時の祭祀の様子を描いたようです。


『かえるとへび』は縄文時代を映し、『鳥装のシャーマン』は弥生時代を映し、そこに生きる人々の心を表現しているアートです。
その時代の生活を想像し、どんな人が作ったのか、どんな思いで作ったのか…などと思いながら作品を見ることは楽しみであり、何よりも当時を知る手がかりになります。

そう考えると現代アートも、現代の社会を映し出し現代の人々の心を表すアートですね。
小難しく考えるよりは見て(聞いて、体感して)感じて楽しんで、100年後、1000年後の人々にも〝昔のアート〟として楽しんでもらい、今の社会を知ってもらう…こんなアイテムとして伝えていけたら素晴らしいですね。


遥か昔しを夢見る夢子さんの私、苦手は苦手のままかもしれないけれど、それでももいいかな?と、明日も美術館へと向かいます。

最後までお読みくださり有難うございました☆彡

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