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今日会いに行きたい!気になる土偶#078神奈川県立歴史博物館

今日の主人公は、
特異な様態だと囁かれる
弥生時代に作られた「人面付土器」。

高さ12.2㎝、全体に赤色に彩色。
首から下と頭部の一部は欠け、
この顔部分だけが残っています。

もともとは並んでいる同時期の「人面付土器」
と同様に、土器の上に付いていたと思われます。

それにしても、あまりにも違う様相。

土偶
共に神奈川県の人面付土器
左:横浜市上台遺跡
右:横須賀市蛭畑ひるばたけ遺跡

土偶は縄文時代の初めから1万年以上に渡って作られましたが、弥生時代になるとその姿は突如見られなくなります。

僅かに「人面付土器、または土偶形容器、人形土器」と呼ばれるものが見られ、主に東海地方~関東地方にかけて作られました。

これらの多くは頭の上部が容器になっていて、容器内から「子供の骨」が見つかったものもあります。
このことから、骨を器などに入れて再び葬る「再葬」に関連するものだと考えられています。

「再葬」とは
遺体を土に埋めるなどして葬ったあと、暫くして骨を取り出し壺などに入れて再び葬るもので、縄文時代から弥生時代の東日本に多く見られます。

その顔だちは、かなりデフォルメされた表現。
体は土偶のようであったり、大きな土器の上部に顔がついたり、また短い腕がつくなど…形は様々ですが、顔の表情は同じグループの一員であるかのように似ています。

土偶が勢揃い
関東地方の土偶容器(人面付土器)のラインナップ
国立歴史民俗博物館

ところがこの顔はあまりにも写実的。
その表情から、弥生人の顔を模しているとも言われることも。

土偶の顔
火災で焼け落ちたと考えられる住居跡から出土

稲作が始まり金属が普及する弥生時代は、生産という同じ目標を持ち、価値観を共有する人々が増えたと思われます。

全国各地で出土する弥生土器は、縄文時代のそれと比べ、形や文様すべてにおいて個性が見出しにくい姿形。

そこにあっても、生死感や精神文化はそれぞれの独自性を保っていた…この「人面付土器」が表しているように思えます。

*タイトルは「土偶」ですが、
このようなカオがついた土器や、土製品なども紹介しています。

最後までお読みくださり有難うございました☆彡


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