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今日会いに行きたい!気になる土偶#069岩手県立博物館

凄い存在感!
等身大の人間の顔とほぼ同じ大きさです。

出土したのは、高さ23㎝のこの頭部だけ。
本来は、身長120㎝位の巨大な土偶であったと
考えられています。

縄文時代後期 / 岩手県萪内しだない遺跡
岩手県立博物館

岩手県盛岡市で見つかった、
今から約3000年前の「大型土偶頭部おおがたどぐうとうぶ」です。

顔の半分以上の縄文(縄の文様)は、
「頭髪」や「入れ墨」を表しているようです。
取ってつけたような大きな鼻、
細かい穴があいた楕円形の口。

この土偶の顔は、「組み合わせ仮面」を
つけている姿だと推測されています。

「組み合わせ仮面」とは
鼻や口、耳のパーツだけを土で作り、それらを
布や皮などに取り付けて顔を被ったとされ、
土面(土で出来た仮面)の一種と考えられる
ようです。岩手県内の他の遺跡からは、その
鼻、口、耳のパーツが出土しています。

横から見ると、さらにインパクト抜群です。
実に「写実的」!
人間そっくりの頭部であることがわかります。

頭には5つの穴があり、
装飾のために羽毛を刺したと考えられています。

同じような穴が顎にも並び、羽や草などで髯を
表していたのかもしれません。

この姿から、珍しい「男性土偶」の可能性も
考えられています。

そしてその顔は、
目を閉じ、静かに眠っている姿のようですが…
実は「死者の表情」と推測されています。

仮面(または土面)は、この時代の東北地方を
中心にいくつかが見つかっていて、それらの中
には喜怒哀楽の表現が見られるものもあります。
「祭祀の際のトランス状態のシャーマンの表情」
などと考えられています。

ところがこれは「死者の表情」。
喜怒哀楽のある仮面とはまた違った意味が
あるのかもしれません。

この土偶が出土した萪内しだない遺跡は、
ダムの建設で「湖底に水没」してしまいました。
遺跡からは、土器や土製品、竪穴住居跡や墓、
そして縄文人の足跡などが見つかり、
大きなムラが営まれていた様子が伺えます。

「トーテムポール状木製品」もその一つ。
クリの木材に顔のようなものが彫られています。
何のために作られ、どのように使われたかは、
分かっていません。

トーテムポール状木製品(複製)

魔よけ、あるいは墓標として、
または、北アメリカのインディアンの
トーテムポールのように、家系や伝説、
物語を伝える役割もあったのでしょうか。

謎多き「死者の表情の土偶」
「トーテムポール状木製品」。
遺物のあったムラは今はダムの底。

もはや迷宮入り…してしまったのでしょうか。

最後までお読みくださり有難うございました☆彡

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