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コクゾウムシの驚きの使用法

突然ですが、皆さんはコクゾウムシをご存じですか。
お米などの穀物につく虫で、体長は僅か2.1~3.5mmと豆粒のように小さく、肉眼ではどのような形をしているのかわからないほどです。

私はずっと以前に、古いお米の中になんやらうごめいてるものを発見。
その虫こそコクゾウムシだったのですが、その時はあまりにも小さくどんな虫であるかわかりませんでした。

これがコクゾウムシです。

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穀象虫コクゾウムシは、鞘翅目コウチュウモク、オサゾウムシ科のゾウムシの一種。世界各地に生息するイネ科穀物の有名な害虫。体は赤褐色や暗褐色で、やや細長い。背面には細かく密な点刻がある。  Wikipediaより引用


日本には縄文時代後期の土器圧痕からの発見された例があり、既にこの時代から人間の身近な存在であったことがわかっています。
コメにつく害虫として知られていますが、縄文時代には主に貯蔵されたドングリやクリを食べていたことがわかっています。

縄文時代から害虫であったようですが、実はそれ以外の役割を持っていたことが数年前にわかりました。

それは2018年に発見された縄文土器にありました。
500匹ものコクゾウムシが北海道で出土した縄文時代の土器の中に練り込まれていたのです。

数が多いことから、今まで発見されたもののように土器を作る過程で偶然に混入したのではなく、縄文人が食物にしていたクリの豊作祈願などのために意図的に混ぜたと考えられるというのです。
つまり土偶などと同じように、祭祀の際の祈りの道具として使われた可能性もあるのです。

土器に練りこむ…この行為にはどんな意味があったのでしょうか。1万年以上も日本に存在しているコクゾウムシが、こんな使い方をされたことは他に例をみないことでしょう。


さて、これは縄文時代晩期の昆虫型土製品です。  
東京都大田区立郷土博物館では、「護符ごふ、まじない札として用いられた可能性が高いと考えられている」として展示されています。

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東京都大田区下沼部貝塚出土

これは、果たして何の昆虫でしょうか。
遺物として残りにくい昆虫類は、縄文時代にその存在があったかどうかあまりわかっていません。

よく見ると、細長い体形、細かい模様のある外殻、少し伸びた口が作られています。
ひょっとするとこれはコクゾウムシ⁉

写真で見るコクゾウムシとはちょっと違うような気もしますが、顕微鏡やルーペなどのない時代のこと、正確に認識するのは難しかったはずです。
護符ごふ、まじない札として用いられた…」という説明も手伝って、コクゾウムシであるように思えてきます。

もしコクゾウムシであったならば、土製品を作る、土器に練りこむなど、単なる害虫とは違う意味をこのコクゾウムシに見出したのかもしれません。


虫嫌いの私ですが、この昆虫型土製品のお陰で、久しぶりに昆虫図鑑をじっくりと見る機会をもらいました。
今度コクゾウムシに出会ったら(決して出会いたくはありませんが!)、再びこのコクゾウムシの意味を考えたいと思います。

最後まで読んでいただき有難うございました☆彡

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