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今日会いに行きたい!気になる土偶#036東京都埋蔵文化財センター

先日、来月有効期限の切れるパスポートの切り替え申請に行ってきました。
パンデミックが起こる直前に台湾旅行へ出かけてから早3年、以後全く使うことなく10年の期限を迎えます。
時間とお金と体力があればいつでも行けると思っていた海外旅行、当たり前が特別の事であると気づいた期間でもありました。

今の社会にまだまだ不安を覚えている私、当然何のプランもありませんが、取り合えず更新をしておこう…と事務作業のごとく手続きに向いました。

パスポート申請を待つ列に並ぶと、私の前には二人の年配のご婦人、同級生の仲良しのお友達のようです。
どうやら初めてのパスポートの申請らしく、申請書類をお互い見せ合いながら楽しそうなお喋りが続きます。

「あなたは早生まれでいいわね。昭和21年生まれだもの」
「ルーブル楽しみね」

お二人は76歳か77歳で、5月に予定している初めての海外旅行ではパリに行かれるようです。

「来年は南国がいいわね」
「ハワイとか」

早くも次の計画を立て始めています。
その様子がとにかく楽しそう。遠足の前日のように。

聞き耳を立ててるうちに、何だか明るい兆しを感じ始めました。
行きたい場所が次々と浮かんできます。
いつの間にか先ほどまでの〝取り敢えず更新〟の文字が消えていきました。


そうそう、楽しんで!
と後押ししてくれているような土偶がここにいます。

「多摩ニュータウン遺跡 No 300遺跡」とスッキリと切りの良い番号の遺跡から出土した縄文中期の土偶です。

因みに「多摩ニュータウン遺跡」は東京都南西部の4つの市にまたがる広大なニュータウン開発事業区域内の遺跡の総称です。それぞれは名称ではなく、No1~ No964遺跡と表されています。

東京都埋蔵文化財センター

何かを叫んでいるような、元気のある土偶に見えますね。
体や手足はなく、今は顔だけになっていますが、その顔はとてもシンプルに作られています。
顔の形、目、口はどれもラフに作られ、鼻は少し盛りあがらせてから2つの穴。

いつも初めて見る土偶には、〝どういう系統の土偶〟とか〝○○土偶に似ている〟などと見ていくのですが、この顔を見た限りでは何とも言い難い…というところです。

「多摩ニュータウン遺跡」からはおよそ100体の土偶が出土しています。それらの多くは両手を左右に伸ばし、僅かな足の表現があり、すっと直立し、頭部が小さく、顔の表現が無いものが多い、という特徴を持っています。

同じ遺跡群から出土したにもかかわらず、「今日の土偶」とは随分異なっているように思えます。

この遺跡は縄文草創期から1万年以上続いたとされてます。
そのとてつもない長い道のりには数えきれない出来事があり、その時々に人々の営みがあったことを想像すると、私たちが知り得た〝縄文〟はほんの僅かなものに過ぎないのかもしれません。

そう考えると、「型にはまらない造形」があることがむしろ普通にも感じられてきます。

パスポートの切り替え申請は、今年3月からインターネットで出来るようになるそうです。
〝あともう少し期限が遅かったら、足を運ばずに済んだのに〟っとの思いもあって向かったパスポートセンターでしたが、帰りにはこんにも明るい気分に♪

日々様々なことが起こり、常識が変わっていく、
数千年前の時代も、同じようであったと想像しています。

最後までお読みいただき有難うございました☆彡


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