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今日会いに行きたい!気になる土偶 #097伊勢堂岱縄文館

縄文時代の人形ひとがたと言えば土偶ですが、それと同時に岩で作った 岩偶がんぐうも作られていました。

今から約3000年前の縄文時代晩期

「笑う 岩偶がんぐう

微笑んでいるようなユニークな表情の高さ7cmの 岩偶がんぐうです。
素材は比較的柔らかい石である凝灰岩ぎょうかいがんで、体はなく顔だけが作られました。

伊勢堂岱縄文館

祭祀が行われたと思われる場所から、祈りの道具とされる土偶や土器などと一緒に見つかりました。
このことからも、 岩偶がんぐうは土偶と同じ意味を持つものと考えられるようですが、全国的にもその数は圧倒的に少なく、ここ東北でも幾つか見られる程度です。

では同じ意味を持つと思われる 岩偶がんぐうと土偶が、同時に作られたのはどうしてなのでしょうか?

縄文時代の祈りの道具には、土偶や 岩偶がんぐうをはじめ、特別な形・装飾を施した土器(釣手つりて土器や顔面把手付がんめんとってつき土器など)、またクルミ形やきのこ形などの土製品等、実に様々なものがあります。それらの多くは土で作られた焼き物です。

それ以外に全国的によく見られるのが岩でできた「石棒せきぼう」です。
石棒せきぼう」は男性器を模した形状から、主に子孫繁栄の祈りの道具と考えられ、大小様々な大きさがあり、装飾が施されているものもあります。

しばしば大きな祭祀をした跡と思われる場所から、天空に向かい直立の状態で見つかることから、祭祀などのシンボル的な役割があったと考えられています。

橿原考古学研究所附属博物館

硬い岩で作る「石棒せきぼう」は、体力のある男性が作ったのではないか?と考えられています
その理由としては、金属の道具が無かったこの時代に、岩を切り出し削り、形を作ることは、だれもが容易にできることではないからです。

一方、縄文土器や土で出来た焼き物は、世界の民俗学から主に女性が作っていたと考えられています。

岩偶の後ろ姿

岩偶がんぐうは土偶と同じ人形ひとがたでありながら異素材、それもより労力を要する材料で作られました。「石棒せきぼう」のようにやはり男性が作ったと考えられるのかもしれません。

強固な素材であることから、ともすれば割れてしまう土偶を補完するような役割があったのでしょうか。

あるいは土偶よりも力強さを感じることから、土偶を使う祭祀とは違う、何か別の意味を持つ祭祀で使ったとも考えられるのかもしれません。

それにしても、誰もを和ませてくれるような良~い笑顔です。


*タイトルは「土偶」ですが、土製品や石製品も紹介しています。

*参考資料
土偶美術館 小川忠博/原田昌幸 平凡社

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