一度は見たい!5体の国宝土偶
国宝と聞くと、それだけで何だか恭しく感じられる…そう思う人も多いのではないでしょうか。
縄文時代の土偶で国宝に指定されているものは全部で5体。今日はその5体の土偶たちを紹介します。
5体のプロフィール
国宝に指定されているのは、『縄文の女神』『中空土偶』『合掌土偶』『縄文のビーナス』『仮面の女神』。知っているようで知らない国宝土偶の魅力に迫ってみましょう。
『縄文の女神』
スタイリッシュな立ち姿と洗練された文様は、「本当に縄文?」と思ってしまうほど。
他に類を見ない造形美に、縄文人の美意識の高さを感じます。
仮面を被っているような頭と表現のない顔は、より神秘性を高めているようです。
『中空土偶』
愛嬌のある丸顔で、愛称は「カックウ」。体の中は空洞になっていて、ガッチリとした肩幅と均整のとれたスタイルが際立ちます。
一般的に土偶の殆どが女性像と言われていますが、この土偶は男性とも女性とも言えないようです。
『合掌土偶』
祈りを捧げているような姿は、以前にラグビー選手のポーズに似ていると評判になったことがあります。
三角座りのような姿勢と女性器がはっきりと表現されていることから、出産の姿を表しているとも言われています。
『縄文のビーナス』
妊娠している女性のような体形と両手を広げたポーズを合わせた、芸術性の高い造形です。
粘土には雲母という鉱物が混ぜられ、輝く地肌を作り出しています。
『仮面の女神』
逆三角形の厳しい顔つきは、実は仮面。横から見ると、顔に仮面が付けられている表現が見られます。
お腹にあるグルグルした文様と丁寧に磨きあげられた肌、堂々としたポーズから、シャーマンの姿を表しているとも言われています。
土偶背比べ
縄文時代の土偶は人々の「祈りの道具」であると考えられています。
その大きさは小指の先ほどの小さいものから、現存する中で一番背の高い『縄文の女神』まで様々。
国宝土偶はどれも大型に分類されるものですが、それでも大きさにはかなり差がありますね。
それぞれの大きさから、その土偶の使い方も推測できるようです。
大きな土偶は大勢の人の前で祈りのシンボルとして、また小さな土偶は竪穴住居の中で少人数の祈りの像としてなど、それぞれの使い方や役割があったと考えられています。
出土場所
縄文時代の遺跡が多く見られるのは東日本。
土偶が出土するのは、大きな集落や墓があったと思われる遺跡です。
多くの人々が暮らす中で象徴的な役割を務め、人々の心を一つにする役割もあったと考えられるようです。
国宝土偶の出身地は、繁栄した遺跡が多い北の地域と中部地域に集中しています。これらの地域では多くの土偶が作られ、その頂点に立つのが国宝土偶と言えるようです。
作られた時期
縄文時代が最も栄えたのは今から約5000年前の縄文時代中期。
当時の中心地であった山梨・長野からは、土偶や縄文土器の文化が各地へともたらされたと考えられています。
その後今から約4000の年前の縄文時代後期になると、東北地方で大きく縄文文化が花開きました。
約15000年程続いたと言われる縄文時代で、土偶が多く作られたのは後半の時期に集中しているようです。
収蔵されている博物館
これらの国宝土偶は出土地にある博物館で常設展示されています。他の博物館での企画展へ出張することもあるので、訪問の際には必ずお確かめくださいね。
『縄文の女神』
『中空土偶』
『合掌土偶』
『仮面の女神』『縄文のビーナス』
※参考資料
土偶美術館 小川忠博・原田昌幸 平凡社
文化庁H.P
最後までお読みくださり有難うございました。
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