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ミャンマーの美しい仏教建築と市場をめぐる旅

 子供の頃、ミャンマーゲームという謎の遊びがあった。

 まず全員で「ウ〜〜ミャンマー!」と言うのが始まりの合図で、n番目の人が「ミャンマー×n」と発話するのを順番に繰り返す。誰かが噛んだら、その人が負けとなる。

 「ミャンマー=なんか言いにくい国」という知識が精一杯だったあの頃。大人になった今、いつの間にかミャンマーへの憧れは募り、3泊5日のミャンマー旅行をした。忘れないうちに記録しておく。


なぜミャンマーに行こうと思ったのか

 ミャンマーの仏教建築を一目見たかった。

 Googleで「ミャンマー 観光」と画像検索するとだいたい金色。もちろん日本の仏教建築も美しいと思うが、感性が圧倒的に違うようだ。ぜひ生で見たい、そう思った。


ミャンマーってどんな国?

 正式名称はミャンマー連邦共和国(ビルマ語: ပြည်ထောင်စု သမ္မတ မြန်မာနိုင်ငံတော်)。最も栄えている都市は旧首都のヤンゴン。成田空港からANAの直航便を使うと7時間程でヤンゴン空港へ到着する。面積は日本の1.8倍、人口は約5000万人。

 国民の85%が仏教徒。日本では大乗仏教が親しまれているが、ミャンマーは上座部仏教。簡単に言うと、日本は「信じれば救われる」に対し、ミャンマーは「修行した者は救われる」という考え方が主流になっている。そのため、ミャンマーで仏教を信仰する者は、人生に一度は出家を経験するらしい。


ヤンゴンでの仏教建築

 ヤンゴン観光の定番、超デカい寝釈迦のチャウッターヂー・パヤー(ခြောက်ထပ်ကြီးရွှေသာလျောင်းဘုရားကြီး)

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 とても女性らしい顔つきで、日本ではあまり見ない雰囲気。どことなく美輪さんっぽい。

 室内の壁にはブッタにまつわるストーリーの絵に掲げられている。

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 ガイドさんが丁寧に解説してくれたが、「あ、これ、手塚治虫のブッダで読んだシーンだ……」という場面がチラホラ。大学生のときにブッダを全巻貸してくれたTさん、ありがとう。


 敷地内にある他の仏像は、後光の表現がかなりダイレクトだった。

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 黄金だけに止まらず、まさかピカピカ光るとは。

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 シュエダゴン・パゴダ(ရွှေတိဂုံစေတီတော် မြတ်ကြီး)ヤンゴン中心部にあり、ミャンマーで最も有名な寺院。一番の見所は中心にそびえ立つ黄金の仏塔。この仏塔を取り囲むように沢山の仏像や建物がある。

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 ため息が出るほど圧倒的な煌びやかさ。

 周囲ではあちこちで人々が祈りを捧げている。その様子を見ると我々も優しい気持ちになり、穏やかな美しい時間を過ごした。「すっかり遠いところまでやって来たんだなあ……」と旅情しみじみ。我々もガイドさんに教えてもらった現地式のお祈りを捧げた。

 1月といえども気温が日中は35度まで上がるヤンゴンだが、訪れた時間帯が夕刻ということもあり、床の石がひんやりとしているのも気持ちが良かった。(※ミャンマーの寺院では裸足になるのがマナー)


 仏塔の周囲にはたくさん仏像があった。こちらでは仏像と人がどっちがどっちか分からない状態に。

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 やはり後光が光る仏像もあった。そういうものなのか。

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いざ、聖地バガンへ

 ヤンゴンから国内線90分で行けるバガン(ပုဂံ)。40㎢のエリアに大小さまざまな仏塔や寺院が並んでいる。カンボジアのアンコール・ワット、インドネシアのボロブドゥール遺跡と並ぶ世界三大仏教遺跡のひとつで、2019年に世界遺産に登録されたばかり。

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 こちらはアーナンダ寺院(အာနန္ဒာစေတီ)。境内ではスピーカーから大音量でお経が鳴り響く(動画)。最初は歌かと思ったが、どうやら日本のお経とは発音が違うらしい。

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 ガッチリした体型のお坊さんたち。写真を撮影して良いか尋ねると、快くOKしてくれた。

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 室外まで鳴り響いているお経はこのDJブースから流れている。

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 こちらは、アーナンダ寺院と並んでバガンを代表する寺院シュエズィーゴォン・パヤー(ရွှေစည်းခုံစေတီ)

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 こちらは、経済か商売の神様...だった気がする。いたる所にお札がねじこまれている。

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 その他にも、ヤンゴンには回りきれないほどの寺院が点在している。仏塔の数は3000を超えるといわれている。これらの全てが信仰によって作られた建築物かと思うと気が遠くなる。なかには、名前すら付いていない仏塔や、管理者がいない仏塔もある。

 並べてみると、仏像によってサイズ感や表情など、特徴がバラバラなのがよく分かる。

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市場でディープアジアを歩く

 遺跡や寺院がメインの旅だったが、道中で寄り道した数々のマーケットもディープアジアむき出しでたいへん楽しかった。

 こちらはヤンゴンのボージョーアウンサン・マーケット(ဗိုလ်ချုပ်အောင်ဆန်းဈေး)。服・雑貨・宝石・土産物などが揃っている。生鮮食料品は少ない印象。

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 観光客慣れしている雰囲気もあったが、地元民にとっても絶好の買い物スポット。

 友人はロンジーという伝統衣装や宝石を買っていた。私もタナカという現地の人が顔に塗る伝統化粧品の石鹸や、おもむろに「Myanmar」というロゴが入ったTHEお土産なバッグを購入した。

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 ボージョーアウン・サンマーケットより南のエリアにはダウンタウンがある。ミャンマー人だけでなく、中国人やインド人をはじめとした外国人もお多く、たいへん賑わっている地域で、街歩きが最も楽しいエリアだった。

 中華街では買う人・売る人・運ぶ人が行き交う。肉や魚などナマモノから漂うむせかえるような臭いと飛び交う虫、これぞ東南アジアといわんばかりの熱気。

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 こんなに暑い国なのに外で肉を売っていて腐らないんだろうか……。


 こちらはとても辛そうな色のソーセージ。右側には怖い雰囲気の階段。

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 通りを変えると飲屋街に。串に刺さった肉を食べている人が多かった。

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 ストリートではどのあたりが“中華”街なのかあまり分からなかったりもしたが、進んでいくとちゃんと中国のお寺があった。

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 別の日には、中華街の近くにあるインド人街も通った。写真では伝わりにくいが、確かにインド系の顔立ちの人がよく歩いていた。

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 カオスな街並みながらも建物の色合いがパステルカラーなのが印象的。

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 窓の様子が一軒ずつ異なっており、生活感が色濃く出ている。

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 こちらは、バガンで訪れたニャウンウー市場(မဏိစည်သူဈေး)

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 ヤンゴンで訪れたマーケットと比べて、よりローカル度が強めな印象。普段嗅ぎ慣れないにおいもすごかった。

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 また、バガンでは、大きい寺院の前には市場があることが多かった。ヨーロッパで大きい教会の前でクリスマスマーケットをやっているのと同じノリかもしれない。

 こちらは濃厚な柄の毛布屋。この時期のミャンマーは日中こそ暑いが夜は冷え込む気候。

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 ガイドさんが曰く「首長族、写真OK!」。

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ミャンマーのご飯事情

 ミャンマーはインドやタイと面していることもあり、カレーが多い。スパイスより油の存在感が強いのがミャンマー料理の特徴。

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 味は美味しいと感じるものが多かったが、毎食前に六君子湯を飲んでいる胃弱な自分にとって、大量の油料理は身体が追いつかなかった。ご飯を残すことが失礼ではないか心配になり、ガイドさん(日本以外にも様々な外国人を案内しているらしい)に「日本人は胃腸が弱いので……すみません……」と自身の胃腸の軟弱さを国になすりつけて謝ったこともあったが、後々調べてみると、現地の生活でも食事を残すことが多いらしい。安心した。


 こちらはラペソーという、食べるお茶。

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 円中央のお茶っぱを回りのエビやナッツなどと和えて食べる。デザートやおつまみ感覚でつつくのがとても美味しかった。


 ちなみに、初日に友人がお腹を下し、帰国日には私がお腹を下した。そういうこともあるよね。ミャンマーは悪くない。


今勢いのあるミャンマー

 ミャンマーは2016年に民主化したばかりで、驚くべき速度で発展を遂げている。施策の一環として、日本人は観光目的なら2020年9月30日までビザ無しで入国できる(2020年1月23日現在の情報)ようになり、観光客も増加しているようだ。ANAから直航便も出ているし、かなり行きやすい。

 もちろん、インフラや医療面などまだ豊かとは言えない側面もあるが、それでも、民主化以前と比べると随分良くなってきているらしい。次に訪問する際は全く違う景色になっているかもしれない。素敵なミャンマーが、さらに豊かな国になっていくことを願う。


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