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マンションの電気を考える(16)

 「BEV車」等の自動車を新車で購入した場合、補助金が出ることは広く知られていますが、(マンションを含む)自宅に充電設備を設置することに対しても補助金が出ることがあります。
 前回までに「BEV車」等の「充電設備」導入に対する国や地方自治体の補助金についてお話してきました。
 (ブログにする前に必要な)特に地方自治体の補助金を調べる(確認する)作業は、とても大変で・・・下調べにいつもの4倍くらいの時間が必要でしたが、「BEV車」に関連する補助金の概要は掴めたと思います。
 今回は、これまでのまとめ的なことをお話したいと思います。

過去の記事は、こちら
  
マンションの電気を考える(1)
  マンションの電気を考える(2)
  マンションの電気を考える(3)
  マンションの電気を考える(4)
  マンションの電気を考える(5)
  マンションの電気を考える(6)
  マンションの電気を考える(7)
  マンションの電気を考える(8)  脱線回パート1
  マンションの電気を考える(9)  脱線回パート2
  マンションの電気を考える(10) 脱線回パート3
  マンションの電気を考える(11) 脱線回パート4
  マンションの電気を考える(12)
  マンションの電気を考える(13)
  マンションの電気を考える(14)
  マンションの電気を考える(15)

戸建て住宅の場合

 私がもし・・・持ち家の戸建て住宅(ガレージ付)に住んでいて「BEV車」や「PHEV車」を購入するとします。
 その際の充電設備の理想は・・・「H2Vシステム(=ホーム ツー ビークル:家庭用電源から自動車に給電するだけでなく、車のバッテリーの電気を使って家の電気を賄うこともできるシステム)」だと思います。

 「H2Vシステム」とは、家庭用電気(交流200V)を「BEV車」用電気(直流355V)変換したり、その逆の変換ができる機能が付いている電気機器で・・・車両充電だけでなく、「BEV車」のバッテリーから家庭用電気として放電できます。

ニチコン EVパワー・ステーションのホームページより

「H2Vシステム」導入メリット(まとめ)
  ① 充電時間が半分(1時間に最大8kWの充電が可能)
  ② 自宅の光熱費削減の効果が期待できる(深夜電力等の利用)
  ③ 災害時等で停電があっても自宅に給電できる

 上記のメリット3つは、これまでお話してきたことなので、詳しい説明は割愛します。ただ、戸建て住宅に特化して・・・②の光熱費削減の根拠(イメージ)は、お話します。

 ②の根拠は、(ライフスタイルで大きく変わるとは思いますが)「BEV車」の充電を安い深夜電力(=昼間の半値のイメージ)を用いて行い、昼間電力の多くを「BEV車」のバッテリーで賄えれば光熱費が安くなるだろう・・・というイメージからです。
 更にイニシャルコスト(初期費用)は上乗せされますが、太陽光発電システムや(ガスで発電する)エネファーム等を組み合わせると最強だと思います。(ほぼ光熱費0円!みたいな環境も実現するかも)

 でも何より・・・③の災害に強い!が(私的には)もっとも魅力的です。

でも高いなあ・・・

 「H2Vシステム」導入すると、個人でも補助金は出ますが、自分で拠出する金額も高額になります。(最低でも数十万円は必要っぽい・・・)
 「BEV車」と同じですね。「BEV車」も補助金が出ますが、そもそもの車両本体価格が高いので一般的なガソリン車と較べると・・・懐から出ていく諭吉君(もうすぐ渋沢栄一になるらしいけど(笑))の枚数はハンパなく多くなるのは想像に難しくないです。

 そんな諭吉君がたくさん出ていく「BEV車」購入にプラスして「H2Vシステム」導入費も!となると、果たして賄えるかなあ・・・という気になるかも知れません。(太陽光発電システムも併せて導入となると・・・「BEV車」購入代金を含めて1千万以上の予算といったケースも多いでしょう)

「普通充電設備」なら・・・

 「普通充電設備」とは、200Vのコンセントを設置するだけの設備です。
 家庭用電気(交流200V)を「BEV車」内で直流355Vに変換して充電します。
 「普通充電設備」といっても・・・例えば、家の外壁に屋外用のコンセント取り付ける(増設する)だけの設備です。(下の写真の商品をAmazonで確認すると・・・販売価格は3,000円未満でした)
 これも各住戸の環境により違いますが・・・ブレーカー増設工事を含めても10万円位で済みそうな気がします。(根拠はありませんが・・・)

 ただし個人の場合は、補助金はないと考えて差支えないと思います。(国の補助金は対象外&地方自治体の補助金も・・・ほぼ期待できない)

パナソニック(Panasonic)の電設資材のホームページより

 「普通充電設備大体・・・1時間あたり20km走行くらいの電力を充電が可能ですが、「BEV車」のバッテリーから家庭用に給電することはできません。もっとも・・・非常時は「BEV車」に付いている100V用コンセント(容量は1200~1500Wかな?)から家まで延長コードで屋内に電気を引っ張ることができれば、(1回路分だけど)電気は使えます。

マンションなら・・・

 「戸建て住宅」と条件は、ほぼ同じです。「H2Vシステム」が理想的だけど・・・国や地方自治体の補助金を活用できたとしても・・・そのイニシャルコストはハンパないと思います。
 ただし、マンション管理組合が「普通充電設備」設置した場合は、国の補助金が使えるので、修繕積立金会計から多額の拠出をすることはないのでは?と思います。(やり方によっては・・・実質0円実現もあり得るかも?)

 たぶん・・・多くのマンションでは「BEV車」の充電設備としては「普通充電設備設置」を選択することになるのでは?と思います。

私が「H2Vシステム」に夢想した理由

 このシリーズでは、これまで「H2Vシステム」を導入して非常時でもマンションの照明は灯そう!・・・みたいなことを考えてきました。

 その理由は、うちのマンションの駐車場を全て「BEV車」用に対応するとなると(機械式駐車場が使えなくなり)駐車台数が1/3に減少する(=駐車場収入が1/3に減少する)ことになるからです。

 変更のために必要な工事(=機械式駐車場の撤去&充電設備の設置)に多額のお金を掛けて「BEV車」に対応にすることで・・・マンション住民用の駐車台数は減るし、それに伴って駐車場収入も減ります。
 いくら考えても「BEV車」の駐車場に変更するメリットが見つかりません。(脱炭素社会に向けて!という潮流は理解できますが、なんだかなあ・・・という感じです)

 だから・・・「H2Vシステム」を導入して、せめて非常時にマンションの照明が灯る!みたいな魅力(メリット)がないと・・・やってられない!というのが正直なところなのです。

うちのマンション・・・結果どうすべき?

 ここまで色々調べてきましたが・・・私なりの(今のところの)結論は、「H2Vシステム」設置を見送って「普通充電設備」設置を選択かな?
 具体的には・・・状況(ニーズ)を見ながら部分的に「BEV車」対応(=機械式駐車場の廃止)を進める。
 その間、国の補助金を使って「普通充電設備」を設置していく・・・みたいなイメージかな?(ただし複数年に渡って補助金申請できるかどうか?は、確認してません)

できれば・・・機械式駐車場を延命したい

 実は・・・うちのマンションは、2年前に臨時総会を開催し、1年前に機械式駐車場のオーバーホール工事(=モーターや制御盤等の電装系とチェーンやギア等の駆動系を一新する工事)を実施しました。
 その費用は、(駐車パレット等の塗装工事と含め)1千5百万円以上だったと記憶しています。
 個人的には少し軽率な決議だったなあ・・・と思いますが、皆で決めて実施したのだから、(少なくとも)あと20年位は、機械式駐車場をそのまま運用したいのですが・・・時代の流れはどうなるのかなあと思います。

 個人的には(機械式駐車場も延命できるし・・・)水素自動車が主役になって欲しいなあ・・・と思っていますが、今年度の国の予算をみると水素より電気に力が入っている感じです。

 「BEV車」が主役になったとしても、技術革新によって・・・「H2Vシステム」が安価になったり、(法規や充電規格の問題もありますが・・・)「BEV車」自体に「H2Vシステム」が組み込まれたり、既存の機械式駐車場に充電システムが組み込めるようになったり、ということが実現するかもしれません。そんな未来にも期待したいと思います。

 次回は、本シリーズ最終回として、「BEV車」の充電に使われた電気使用料の精算ルールを考えたいと思います。  (つづく


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