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さらさらと、世界は美しい


ひそやかな黎明。
柔らかな朝の光。
さらさらと落ちる砂時計を見つめる。

目覚めたという、
今ここにいる「私」に起こるささやかな奇跡をひとつ数えて、
今日という一日が始まる。

人ひとりの人生の持ち時間は、およそ100年。
さらさらと時は流れて。
50年を超えたら、ようやく折り返しだ。

昇る朝日を見つめながら
瞬く間に人生の半ばを過ぎた。
さらさら、さらさらと。
下に落ちていく砂が多くなってゆくのだ。

残された時間を手のひらに置いて。
自分自身に問いかける。

「───残された時間、あなたは、何がしたい?」

柔らかな魂の目が拓かれて。
私は、この星にある
ありとあらゆる美しいものを見つめて生きていきたい。
ひとも、ものも、ものごとも。

そして、さまざまな役割という名の荷物を降ろして、すっとひとりで立っていたい。

まっさらなひとりの私。
私が私であれたら、それでいいのだ。

人生という名の一度きりの舞台。
主人公は、私であるから。

世界はカオスで、光と闇に満ちたもの。
争いも、憎しみも、悲しみも、痛みも、もちろん、存在するだろう。
けれど、美しいものを見出そうとするまなざしがあれば。

いつだって、世界は美しい。
さらさらと、世界は美しい。

この空も海もひとひらの風も。

道端に咲く一輪の花も。

子どもたちの笑顔も。

交わすことばのきらめきも。

私たちの日々の営みすべてが。

世界は美しい。

そう信じて
美しさを見出す目を決して手放さずに
私は、生きていきたい。

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