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人生のスパイス〜僕をここまで運んでくれた乗り物たち〜

※これはモータースポーツによって人生を狂わされた男の物語である。


A long time ago, in a japan far, far away… 

デデデデーン♪デーン♪デデデデーン
デー♪デデデデーン♪デー♪デデデデーン…


きっと世の中の大半の人々にとって、乗り物はただの移動手段としての認識だろう。 

でも、僕は違う。いや、違うと思わざるを得なくなったんだ。 

あの日、僕の人生は変わってしまった。 

僕がまだ小学生の頃、父はスズキのコブラというバイクに乗っていた。
バイクというものに格好良さと憧れを感じていた僕は初めて父の後ろに乗せてもらい、家の周辺をぐるっと回ってもらった。 

なんだこの感じ…。身体に伝わる振動、身体中に風を感じる…車とは違うスタイリッシュなカーブの曲がり方…
父の暖かい背中にしがみつく僕は恐怖感とは異なるものでゾクゾクと身体を震わせていた。 

乗りたい。
僕もこれを自分で動かしたい。 

気づいた時にはこの脳内になっていた。 

それから幾年が経ち、僕が通っていた高校では在学中の二輪免許取得が許可されていなかったため、社会人一年目、即座に中型二輪免許取得をした。 

そのとき選んだバイクはカワサキXR250B「バリオス2」だ。 

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父が乗っていたコブラもネイキッドという種類のバイクだったため、僕も同じスタイルのバイクに乗りたいとバリオス2を選んだ。
エンジンの唸り声、マフラーの甲高いシャウト、まるでF1カーの様なサウンドで僕の全身の細胞を震わせる。 

最高だ。 

これを求めていたんだ。 

バリオス2が持っている特性を常に全身で感じながら様々な人と出逢い、様々な道を走った。 

バイクというスパイスを人生に組み込んだ社会人一年目、それと同時に僕は新たなスパイスに毒され始めていた。 

それは車だ。 

入社した会社が自動車の解体·部品のリサイクルをする会社であったため、常に様々な車を目にし、少なからず、車好きの先輩社員がいた。 

当時僕は親に借りていたekワゴンに乗って通勤していたが、社員駐車場に止まっている、俗に言うスポーツカーに心踊らされていた。 

格好いい… 

マフラーからブォンブォンと聞こえる度にドーパミンが身体の隅々まで行き渡った。 

何度か隣に乗せてもらえることがあり、「ドリフト」という車の競技も体感させてもらった。 

なんだこれ…楽しい… 

親から借りていたekワゴンも便利で乗り心地も悪くなく、不便はそんなに感じていなかったがスポーツカーに乗りたくて仕方なくなっていた僕はひたすらに親にスポーツカーを買いたいとせがんでいた。 

社会人二年目、気づいたらスズキCS22S「アルトワークス」を納車してしまっていた。 

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知っている方にはこの車の渋さを分かって頂けると思うが、この車は旧車と呼べるくらいの古いスポーツタイプの軽自動車だ。
操作したくてたまらなかった初めてのマニュアルの車。そしてスポーツタイプ。
白黒ツートンで揃えた外装に、最初から施されていたカスタム、体感スピードがとんでもない化け物だった…
このマシンで味わった雪上ドリフト、略して雪ドリ。これは通常の道路では味わえない楽しさがある。
そして、雪が降った一般道でのもしものスリップ時に活かせる技術を身体に学習させることが出来る面白いアクティビティだ。
初めてのサーキットではグリップ走行という競技でこのアルトワークスと共に駆け抜けた。
初めて故に周りの人ほど速くは走れず、車の性能を最大限に引き出すことは出来なかったが、一般道では感じれないスピード域に心が踊った。 

そして、社会人三年目。
また新たなスパイスが猛威を振るった。 

日産「S14シルビア」との出逢いである。 

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知り合いのショップで当時働いていたバイク仲間の先輩がシルビアを降りるということで電撃的に購入を決めた。 

滑らかなスポーツクーペの曲線美。
運転姿勢の高揚感。
軽自動車とは明らかに違う圧倒的パワー。
スポーツ走行性能ガッツリのエンジンと足回り。 

追い求めていた本物の「THEスポーツカー」 

勿論このマシンも既にカスタムされたものである。
納車前はドリフトの爪痕で所々外装がへこんでいたり割れていたりと一般的に言うにはボロい外見をしていたが、社外品のエアロで統一し、色もスズキのクロスビーの純正色にあるガンメタリックに全塗装した自分好みの状態に作り上げてもらった。
そこはせめて日産純正R32のガンメタだろうとツッコミたくもなるとは思うが、あくまで他人と被ることが好ましくなかった僕的には個人的に好きなガンメタカラーの中でも他の人が選ばなそうなガンメタを選んだのだ。 

おや?アルトワークスは?と疑問に感じただろう。 

安心して欲しい。手離してはいない。 

社外エアロを組んだシルビアは雪による外装の破損を懸念して、暖かいシーズン用のマシン、アルトワークスは4WDということもあり冬シーズン用のマシンとしてオールシーズン楽しめる車二台持ち+バイク一台での生活をしていた。 

手持ちの乗り物全てが最近の乗り物ではないため、修理が必要になる所も常々出てきては治しの日々を送り、モータースポーツの面白さに魂が染まっていった。 

そんな毎日を繰り返していく中で、アルトワークスの劣化が著しく目に見えてきてしまった。
手持ちのマシンの中でも最高齢者であるアルトワークスは錆によるフロアや各所の穴の拡大やタービンの寿命でのパワー不足等、手に入りづらいパーツでの修理、他にも様々な要因があるが冬季マシンの乗り換えを決意した。 

次なるスパイスはスズキHE21S「ラパンSS」。 

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勿論マニュアル四駆ターボの冬季バンバン仕様である。
しかし、納車前、ラパンがショップに到着してすぐに問題が発生した。
外装はその年代のラパンにしては綺麗な方だったが、走行距離が軽自動車の割に過走行であったためエンジンが一発死んでいたのだ。本来三気筒エンジンである筈のこのマシンをこのまま二気筒エンジンで乗るのは流石にキツいため、自身の勤めている会社にてスズキのKeiのエンジンとミッションを探し、購入して載せ替えてもらった。
何故ラパンにKeiの心臓移植を?違う車なのに…
と、思われるだろうが、その二台のエンジンミッションはほぼ同じ造りであるためそのまま載せ変えることが出来る。また、Keiのミッションは造りが少し異なるため走行性能が変わる。 

心臓移植を施したラパンは後に会社で購入した中古パーツを組み、少しは楽しめる仕様となった。 

ラパンを納車したその翌年、恐れていた事態が著しく発生した。 

バリオス2の不調である。
ここ数年、バリオスあるあるの吹け上がりの不調が発生してはいたがなんとか乗れてはいた。
だが走行中、いきなりいくらアクセルを回しても吹けなくなってしまい、ショップで原因を探るも明確な結果が出なかった。 

沢山の思い出が詰まったバリオス2であったが、この度の不調と自身の新たなステップアップのために乗り換えを決意した。 

ちゃっかり大型二輪免許を取得していた僕はここでまた新たなスパイスを導入した。 

カワサキ「ZX-10R」である。 

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通称ニンジャと呼ばれるそのバイクは、バリオス2と共に歩んでいた中で段階を踏んだ先に将来的にはSSと呼ばれるスポーツバイクに乗りたいと想像していた中でドンピシャのマシンだった。 

フルカウルと呼ばれるそのボディーは黒と金で統一されたカラー、2010年式のZX-10Rは近場で乗ってるユーザーを見かけないデザイン、そして排気量250ccのバリオス2との明らかなパワーの差と吹け上がりレスポンスの良さ、流石1000ccの大型バイクは勝手が違う。
初めての大型SSマシンの姿勢のキツさや規制が無いモデルである為、パワーがありすぎるが故の恐怖心が生まれたが、乗っていく上でそれらは少しずつ解消されていった。


現在社会人七年目になるが、今まで出逢ってきた乗り物は全て、僕の人生に最高に良い刺激を与えたスパイスである。 

移動手段としての考えも否定するわけではない。乗り物というのはとても便利な移動手段であることは勿論承知している。 

膨大な文章になってしまっているが、正直まだまだ語れる事は沢山ある。が、流石に読んで下さる皆さんの事を思うとこれ以上書けないし、現状でも上手くまとめられずズラズラとここまで書いてしまったことを深く反省しているしていますごめんなさい本当にごめんなさい。 

乗り物の便利さ、楽しさ、それぞれいろんな人が様々な価値観で楽しめる現代に生まれ、体感できることを心の底から嬉しく思います。 

僕の様なぶっ飛び具合までとは言わずとも、皆さんも自分に刺激を与えるスパイスを与えてみてはいかがでしょう。 

最後まで目を通して頂いた皆様、心より感謝申し上げると共に拍手をお送りいたします。 

それでは。

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