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10月4日

昨日の夜からすっぽり霧に覆われているせいか空気は問題なさそう。アメリカのニュースは分刻みで混乱しすぎているので日本のテレビ番組を観ているとセーターを着ている人がいて違和感を感じたがもう秋だ。あの満月は中秋の名月だった。

以前働いていた職場はチャイナタウンにも近く、そして同僚も中国系アメリカ人が多かった。この時期になると必ず月餅(げっぺい)をもらった。日本でも食べたことがある月餅というお菓子。甘いけど日本で食べたものは美味しかった。

随分前になるが「どうぞムーンケーキ食べて」ともらった月餅を開けてびっくりした。まずとてつもなく大きい。サイズで言うと日本のおまんじゅうの6個分くらい。かじるわけにいかないのでナイフで切ると何か黄色いものが見える。果物ではない。塩漬けした卵黄がそのまま入っていた。これ私の知ってる月餅じゃない。見ているとみんな薄く切って分け合って食べていた。薄く切っても卵黄のインパクトが強すぎた。普段はおやつに飛びつく私の周りの日本人チームでは不評だった。だが毎年、この時期になると季節の風習なのだろう月餅が箱ごとやって来たこともあって日本人チームでは「私はいいからどうぞ」「いやいやどうぞどうぞ遠慮しないで」とまるでダチョウ倶楽部のような会話が繰り返された。自分はいらないからと黙って人のデスクに置いていく人もいた。

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頂き物で思い出したのが私は日本へ行く度に一応義母にもお土産を渡している。一度、義母はチョコレートなどあまり好まないことは知っていたので名古屋で『ゆかり』という有名な海老煎餅があるがそれの金色の缶のものを献上した。それから3年後に夫の兄が急病で亡くなり、お葬式の打ち合わせなどで夫の実家に行った時、義母が「これみんなで食べましょう」と金色の缶を出して来た。その頃は、夫が家族とは少し距離を置いていたのであまり会う機会もなかった。私はまだ義母のこともよくわかっていなかった頃。その金色の素敵な缶は私が3年前に義母に献上した『ゆかり』だったのだ。義母が「缶が美しくてスペシャルだからずっと取っておいたの」そう義母は気に入ったものは仕舞い込んでしまう癖がある。

「ちょ待てよ」と思いながら缶を開けるとフレッシュではない香りがした。『ゆかり』のホームページでも製造日より60日間と書いてあるように3年の月日が流れ、もう私の知っているあの美味しい『ゆかり』はそこにはなかった。それ以来、義母へのお土産は賞味期限が1週間以内に食べるものにして渡す際には「今日か明日に食べてくださいね」と目の前でパッケージも開けることにしている。そんなことを書いていたら『ゆかり』が食べたくなった。



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