ショート 悪夢「絞首刑」
コツン、コツンと階段を上っている。下っているのでなく、上っている。階段の材はなんだろうか。石でも木材でもなく、コンクリートでもない。ただ足音は堅く冷たい。階段の幅は1メートルはあるが、その端に手すりなど無く、その両脇の向こうはひたすらに真っ暗だ。底は見えず、落ちれば助からないことだけが分かる。
私の首には首吊りで使われるような縄の輪がかかっている。そして、この階段はどこかのタイミングで足場が消えるように抜け落ち、絞首台のように首にかけられた縄が落下の自重で私の首の骨を折っ