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言霊になれない言葉たち。

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#懺悔

煙草の煙に包まれた

何を見てもあなたを思い出す世界に
独り取り残された。
変わらず笑い声に包まれた世界に
音だけを失くした。

暗闇ではなくただの黒い夜に
途方に暮れて
あなたの声に似ている音に
ただ手を伸ばした。

何を見ても過去に重ねて
時間を止めて。
何をしても過去に重ねて
今から目を背けて。

あなたの居ない世界で
光を感じてしまう事が
ただ怖くて。
壊れた夜の隙間に逃げた。

あなたの居ない世界で
初めての

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生まれた嘘

生まれた嘘

初めて見たのは泣き顔。
ただ光に包まれた小さな生命。
抱き締めながら私は
自分の強さと弱さを知りました。

正しい事への怖さを
それを貫く脆さを
闇の中でしか光は射さない事を、
奪われた時間が囁いている。

最後に見たのは笑顔。
ただまっすぐ見つめる幼い生命。
抱き締めながら目を背ける私は
吐かれた純粋な嘘に憩おう。

涙だけでは癒せない傷。
死ぬ事でも戻せない時間。
概念ではない事実だけが転がる

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狂気と人形

突き飛ばされた駅のホーム
貴方の躊躇いで死なずに済んだ。
人混みに紛れた貴方の顔
忘れるはずもなかった。

他人の靴を履いた様な違和感が
私を包む電車の中。
他人の視線が捻れてぶつかり熱く
私は異物の様に焦げる。

駅のホームは今日も人に溢れて
私はいつもと同じ最前列で俯く。

私の知らない他人が
私の事を知っている。
貴方を知らないはずの私は
貴方をずっとさがしている。

いつもの風景なのに

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青い祈り

青い祈り

目が覚めれば独り切り。
朝の光が輪郭を滲ませていた。
昨日の残像を思い出すのは
夢から覚めた悪夢。
瞼の裏に色が継ぎ足されていく。

押さえつけながら始まる朝。

目を閉じても独り。
月の光が熱帯夜を運んでいた。
寝言で呟く祈りの言葉。
縋り付き引き摺る長い影に怯える。

それでも生きている私。

もうすぐ会えるから
待っていてねと笑う。
月の光は太陽だと知らずに。

月光の迷路

月光の迷路

約束を交わさずに済んだのは
せめてもの救いになった。
金曜日の夜は月が青かった事
思い出せたから救われた。

夜に降る雨にだけ濡れる花を見た。
悲しく無いのに涙する夜に重ねていた。

最後の言葉を呑み込んだのは
青い月が雨を呼ぶ事を知っていたから。
子供の泣く声が雨によく沁み込んで
地面に落ちる前に消える煙草の煙。

声のある方に振り返っても、独り。
いつかどこかで会えると確信しながら
言い聞かせ

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さよならの続き

さよならの続き

優しいだけの別れを贈ろう。
明日もなく未来も無い。
未練を殺して生きよう。

炎に包まれた別れの言葉。
灰を集めても風に散らそう。
乱れた髪で明日を生きよう。

地図に無い街

地図に無い街

いつも濡れた町
店が始まる前から降っていた。
傘を失くした人が歩いてる
歩きながら歌っていた。
咳込みながら酒を吐く。
歌いながら独り笑ってた。

いつも濡れた町
店が終わっても降っていた。
打たれながら雨を見上げてる
湿った煙りは臭いが濃い。
咥えたまま独り探していた。

今日も町には雨が降り
奥の席で夜を探していた。
あれから誰かが死んだと聞いた。
誰かが誰かと知らないが泣いた。

今日も誰か

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花宴

花宴

今日を見渡せば、まだ夜が始まらない。
激しく降ると言われた雨も、
まだ気配を感じはしない。

明日を諦めれば、遠雷に気が付かない。
潰されて弾けかける太陽が、
夜の前に激しく燃え上がる。

もう、会えない貴方を思う。
記憶にならない様に
思い出にならない様に。

青く浮かぶ月ならば、誰かが悪口を言う夜。
曖昧に浮かぶネオンの隙間からは
いつも灰色に揺れて見えた。

夜に凍るネオンを辿る。
何も思い

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祈りと雨。

祈りと雨。

笑顔の世界からあのコはやって来た。
花の匂いに紛れて少し汗の匂いがした。
溢れる光を受け止め目を瞑る様に笑う。
大袈裟に打つ手の平が更に笑顔を誘う。

修学旅行中に母が死ぬと言われて家を発つ。
全てのお寺に祈れば叶うと思い込む。
誰も知らない祈りの行方に雨を視る。

独り言の世界にあのコは迷い込む。
悲しい世界で目を開き確り笑う。
蒲公英の首を掴み風に乗せて息を吹く。
迷う先で更に風を受けて、笑う

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手の平の上の命。

伸ばせば届く小さな赤ん坊
限り無く小さくて弱い命がそこにある。

手の平を伸ばして繋ぐ
手の平を合わせて導ける

愛された事しか無い赤ん坊は
私の笑顔に安心していた。
笑顔を疑わない赤ん坊は
私の手の平に応えて、繋ぐ。

握りしめなくても導ける
添えるだけでも導ける。

限り無く小さな命に耳を塞いだ手の平。

消えたのは音だけで良かった。