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【書評】営業の神様

<本の概要>

「世界No1のセールスマン」としてギネスブックに認定されたジョー・ジラード氏による著書。ディーラで勤めていた彼は、15年で13,001台(1日平均6台)もの車を販売した正真正銘の化け物セールス。そんな「営業の神様」が自身の経験を元に、ビジネスマンとして成功するために守るべき13のルールを提言し、あるべきマインドや考え方について力説している。

<この本を読んだきっかけ>

自身の営業スタンスを見直したいと思ったため。人付き合いが苦手な私は学生時代「絶対営業だけはやりたくないし、自分にはできない」と思っていた。文系でベンチャーに就職した私は、案の定営業としてキャリアをスタートすることになったわけだが、行動力という長所を活かせるこの職種に案外適性があるのかなと感じ興味も持つようになった。しかし、まだまだ営業スキルは未熟だし今の戦闘力ではいつまでも上の立場には上がれない。そんな危機感もあり、自分を見つめ直す機会として本書を手にとった。

<ジョー・ジラード流「13のルール」とは>

筆者が提言した13のルールを、意訳してまとめると下記の通りだ。

1.適度に運動して健康な体を維持する

2.常にポジティブな姿勢を保つ

3.事前準備・計画を怠らない

4.勤務時間中は業務に100%集中する

5.相手が不快に感じる行動・言動は避ける

6.身なり・外見に気を配る

7.人の話をしっかり聞く(自分本位に話さない)

8.笑顔を分け与える

9.こまめに連絡する

10.嘘をつかずに誠実に対応する

11.どんな状況でも目標達成に集中する

12.自らが矢面に立って責任を取る

13.適度に休暇を取る

全て言われれば当たり前のことだ。しかし本書の帯にもデカデカとした文字で下記のような記載がある。

秘密などない。近道も奇策もない。私がこれから教えるのは自分の頭と才能で成功する方法だ。それ以外の方法があると思っているならすぐに忘れろ。そんなものは幻想だ。 

結局は頭で分かっているのと実践できるというのは違いますよということ。成功者になる画期的な裏技や斬新なアイデアがあるわけではない。また、一夜にして凡人が成功者になることもない。当たり前の努力を積み上げ、継続した先にこそ本当の成功者への道が開けるということが書かれている。

<本を読んでの気づき>

①「意識的に」ポジティブになることの重要性

筆者は13のルールの中で最も重要なのが「常にポジティブな姿勢を保つ」ことだと語っている。そして私が本書内で最も心を動かされたのがこの章だ。

本章では最初にモチベーションと姿勢という2つの概念を持ち出した上で、「成功するためにはモチベーションが何よりも重要だ」という世の定説に疑問を呈している。そうではなく「ポジティブな姿勢を貫くことことこそが最重要で、モチベーションはそこから自然に生まれてくる」というのが筆者の意見だ。

具体的には文中に下記のような文言がある。

身の回りで起きることは必ずしも自分でコントロールできない。(中略)誰かが自分にしてくれることだけをモチベーションのもとにしないで、自分で自分のためにすることを成功のモチベーションにするべきだ。 ※62〜63ページより
誰かにモチベーションをもらう必要などなかった。もうモチベーションなら十分だった。(中略)私はポジティブな姿勢を保つことに全力を注いだ。それはコントロールできると考えた。 ※64〜65ページより

つまり、コントールできないモチベーションに振り回されるのではなく、ポジティブな姿勢を保つことに全力を注げばモチベーションも結果的は維持できるということだ。この考えた方は目から鱗であった。

私もモチベーションにはだいぶブレのある人間だ。商談が上手くいったときや仲間から褒めてもらった時はヤル気に満ち溢れるが、逆に歯車が狂った時は一気にやる気もなくなってしまうことが散見される。そうではなく、プロとして「姿勢」をコントロールしにいくことが重要だと学ばせてもらった。

②「GIVEの精神」を思い出させてくれた

ルール8「笑顔を分け与える」も、自分の中で忘れかけていた大切なものを思い出させてくれた。本章では笑顔の重要性に関して下記のように語られている。

笑いかければ世界も笑ってくれる ※294ページより
相手のしかめ面にしかめ面で返したとことで何もならない。どちらも得しない。 ※297ページより

これは本当にその通りで、私も同じような経験を何度も繰り返してきた。笑顔で人に接することによって相手も気持ち良い対応を返してくれることも多いし、何より自分の気持ちが晴れやかになる。一方でしかめ面で対応すれば相手もそれ相応の対応で返ってくるし、そんな反応に苛立ちを覚えまたイライラするという悪循環に陥ってしまう。こんなことで精神をすり減らすのは、この上なく不毛な労力だろう。

学生時代インターンでお世話になった企業の社長から教わったことに「giveの精神」という言葉がある。見返りを求めずにまずは自ら率先して人に貢献しろということだ

人に笑顔も与えられない人間が「giveの精神」なんて言葉を語る資格がない。営業云々以前に、まずは一人の人間として初心に帰らればということを思い出させてくれた。

<読書後のto do>

①ネガティブな言葉を発しないようにする。嫌な気持ちになったとしても「言葉では」(たとえ嘘であっても)ポジティブな発言をするようにする。姿勢をコントロールするためにまずは言動から。ネガティブな発言をしてしまった場合は、その内容と回数をメモする。毎日の振り返りで今日1日のネガ/ポジについて内省する。

②来週中に、一緒に働く事業部のメンバー全員に何かしらの「give」をする。その結果はTwitterで投稿する。

③お店(いつも行くコンビニやカフェも含む)の店員さんに笑顔と「ありがとうございます」の御礼を必ずする。

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