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【パシフィック編】2020 NPBユニフォーム変更まとめ

 おはようございます。今回は開幕前スペシャルということで、今季からデザイン変更・限定ユニフォームの発表があった球団の意匠を解説していきたいと思います(2月13日現在)。マガジンが全然更新されないのは完全にわたしの怠惰によるものです。歴史モノは調べ学習がたいへんなんすわ。申し訳ないですが、まあ気長に、気長にお待ち下さい。

 それでは参りましょう。まずはパ・リーグ編。例によって長いので、ご自身の贔屓球団だけでも見て行って下さい。

西武

 メインデザインには変更なし。まあ連覇したユニフォームなのでそう簡単には変えないでしょうね。優勝した翌年に大幅なカラー変更に踏み切った歴史をお持ちの球団でもありますが。

 で、その大胆な変更前に永く使用されていた「ライオンズブルー」を前面に打ち出して採用されたのが、70周年記念ユニフォーム。西武ライオンズ黄金期を支えた筆記体Lionsの復活は実に17年ぶり。技術的にはロングパンツを前提にした足元の水たまり(筆者命名)プリントが新時代を感じさせる。ショートパンツも裾にこのカラーが差されているんだろうか。青フェンスの球場で使用するとそこにこすりつけたみたいになっちゃうね。

 当時は時の流れに押し流されかけていた西鉄ライオンズの影、それを取り戻したライオンズブルーからレジェンドブルーへのカラー変更。今度はそれによって失われはじめていた(?)ライオンズブルーへのリスペクトを形に。「西武と言えばライオンズブルー」のオールドファンだけでなく、当時プレーしていた選手たちにとっても嬉しいデザインと言えよう。

 西鉄復刻ユニフォームで「オレたちの帰る場所ができた」と話したのは故豊田泰光氏であるが、今度は「あいつらの帰る場所ができた」と微笑んでいるのだろうか。そんな2020年のライオンズを支えるラストピースは14年ぶりの復帰となった松坂大輔。さあ、できすぎた舞台で再び蘇るか

ソフトバンク

 日本シリーズ3連覇の常勝軍団。バレンティンの補強で更に厚みを増したかどうかは議論の余地があるが、メインユニフォームの基本デザインには変更なし。黒一色だったキャップのツバが黄色に変更された2006年から数えて15年目に突入するNPBでも有数の長寿ユニフォームである
と思ったあなたはまだまだ(なにが)。そのツバのカラー変更の際も黒一色が変更されず、うっかりキャップとのデザイン違い状態が続いているヘルメットがマイナーチェンジされているのだ。

 筆者がホークスで一番好きな選手、中村晃の目が眩しい下の画像が掲載された記事を見てほしい。ちがうTポイントはどうでもいい、問題はヘルメットの艶だ。そう、ホークスはダイエー時代から続いた黒光りヘルメットを廃止。重厚感のある艶消しのヘルメットを採用したのである。

 特に黒はパッと見の印象がかなり変わるので意外と目立つ変更かもしれない。

 名物鷹の祭典ユニフォームも現時点では発表なし。チームカラーの黄色にこだわらない柔軟なカラーリングが人気を博し、全部集めると戦隊ヒーローが完成するとも揶揄されるが、限定ユニフォームの方向性としては極めて正しいベクトルだと思う。オリックスとの「関西クラシック」シリーズも現在復刻するユニフォームを選定中とのこと。ホークスのオルタネートユニフォームは信頼できる。

楽天

 今オフはFAで鈴木大地、自由契約のロメロ、新外国人シャギワ、そして涌井秀章のトレードと大胆な大型補強を次々に敢行。いよいよ7年ぶりのリーグ優勝を射程圏内に入れた楽天はユニフォームサプライヤーがマジェスティックからミズノに変更された。旧デザインのセパレートラインなどゴチャゴチャした装飾が取れて一気にシンプル化された昨季のユニフォームは好感度が高かっただけに、再度の変更を不安視する声も多く上がった。

 そんな我々の不安は杞憂に終わった。蓋を開けてみると、ホーム・ビジターともにデザインにはほとんど変更なし。変更はサプライヤーが代わったことによる微妙な仕様の変化のみにとどまり、胸をなでおろした
人はまだまだ(だれ)。開幕前ということでメディアへの露出は少ないが、今季はこのマイナーチェンジがユニフォーム全体の印象を大きく変える。そう筆者はにらんでいる。

 注目されたいポイントは2つ。背番号の書体ヘルメットだ。まず背番号の書体だが、恐らく前の書体がミズノに存在しなかったのだろう、極めてシンプルな角文字に変更された。「いや、前の書体もそんな特徴なかっただろ」という声が筆者自身の中からも上がってくるが、マジェスティック社のあの角文字はコーナーで微妙に切り込みが入っていたり、クリムゾンレッドに白のシンプルなカラーリングを補うかのような太目の文字が使用されていたりと、絶妙な仕掛けが施された書体だったのである。

 マガジンでも触れるつもりでいるが、楽天のユニフォームは背番号が命。クセのある書体が再び失われたダメージは個人的にかなり大きいとみている。新しいミズノの書体はよく言えばシンプル、悪く言えばシンプルすぎて印象に残りにくい。でもまあ伝わらないからいいか。

 もう一つはヘルメット。こちらは派手なカラーリングに目を惹かれたファンも多いだろう。艶消しヘルメットのブームに抗うかのごとく、クリムゾンレッドの色がより深く輝くカラーになっている。筆者は一目見た瞬間から気になっていたのだが、日本放送協会がそこに答えを提供してくれた。

 当初はミズノに変更されたことによるカラーの違いかと見ていたのだが、どうやら地元東北の伝統技術を用いたものらしい。1年だけ艶消しのヘルメットを採用したり、味の出るチームカラーをなんとなく持て余していた感のあったイーグルスのヘルメットだが、これでしばらくデザインも落ち着くのではないだろうか。

 あとは企画ユニフォーム。楽天のオルタネートユニフォームは毎年本当にクオリティが高い。こちらもソフトバンクと同じく、チームカラーにとらわれない自由なカラーリングを駆使して色々なデザインを見せてくれる。今回のTOHOKUBLUEのようにストライプを採用することもままあり、どれもレギュラーユニフォームに採用しても違和感のない重厚な造りが売りになっている。個人的に去年使用していたグレーユニはそのままビジターに持って行っても問題ないデザインだと思っている。

ロッテ

 楽天と並ぶ今オフの主役は千葉ロッテ。鈴木大地の流出は痛かったが、その楽天から美馬学、ソフトバンクから福田秀平をそれぞれFAで獲得。吹き荒れるZOZOマリンの強風はそのままパリーグ台風の目となるか。

 そんなロッテはビジターユニフォームを変更。黒地に白の反転ストライプは主張しすぎないのが特徴。併せて白のカッティングが入っていた部分は一色に変更され、ビジターユニフォームにのみ差し色として採用されていた赤は完全に廃止となったため、全体的に落ち着いた印象のデザインとなった。

 ホーム用で見慣れているマリーンズのストライプだが、実はビジターでの採用は千葉移転後でみると初。前身球団を含めても、ロッテオリオンズどころか大毎オリオンズ時代の1960年が最後で、実に60年ぶりとなるビジターストライプの採用である。ちなみにこの時のストライプもグレー地に白の反転ストライプ。これは偶然か、はたまた作為なのか。

 気になるポイントは胸文字と背番号。いずれも中が黒、実質白縁だけで文字を表現する形になっているが、ストライプが入っていることを考えてもちょっと見づらい感は否めない。せめて黒字が縫い付けならまだ認識しやすいだろうが、昇華プリントとなるとちょっと厳しいのではないだろうか。昨年のマリンフェスタもそうだが、地色のデザインにこだわりすぎて文字の可読性がお留守になる傾向がある点も、来オフ以降のFA市場で補ってくれるとありがたい。

 また、MLBに倣ったニックネーム背ネームを採用する「マリンフェスタ」は今年も開催が発表された。昨年の花柄に比べるとかなりシンプルな造りで、背ネームの可読性もかなり高い。ネームのユーモアが売りの企画だけに、このポイントは重要である。この水色も落ち着いたカラーだが、今季はそういうコンセプトで行くつもりなのだろうか。

日本ハム

 メインユニフォームは変更なし。筆者にとっては未だに札幌移転当初のデザインが印象深いチームだが、青色を加えたホーム用、ビジター地色史(?)にハーベストゴールドという新たな扉を切り開いたビジター用の組み合わせで構成された現行ユニフォームも10年目。オレンジ×黄色のやわらかデザイン(1982-'92)、東京ファイターズ最後のユニフォームとなったストライプ('93-2003)が立ちはだかる球団史上最長寿ユニフォームの座もいよいよ視界に入ってきた。

 そんな現行デザインのホーム用について、左右非対称カッティングのベースを維持したまま、北海道にゆかりのあるカラーを次々に採用して注目を集めているのが"WE LOVE HOKKAIDO"シリーズ。過去にはラベンダーの淡い紫、北海道新幹線のグリーン×パープルなど、鮮やかながらもコンセプトがはっきりした魅力的なカラーを採用してきたこの企画。今回目を付けたのはズバリ「ホワイト」である。パーツごとにカラーを変えるためのカッティングをあえて無視して同系色を3色ぶつける、文字通り異色の采配に、アイヌの民族伝統の文様を取り込んだこのデザインは、カラー自体よりもプリントの模様で遊ぶ昨今のトレンドとも合致している。同じ北海道では近年躍進を続けるJリーグの北海道コンサドーレ札幌が、縦縞の黒色部分を北海道の市町村名(しかも漢字)で表現するクレイジーなデザインを採用したことがあったが、そこへの対抗意識も存在するのだろうか(たぶんない)。

オリックス

 淡々と最下位のオリックスは、キャップの文字がBsからBに変更された昨年に続き、2年連続でメインユニフォームをマイナーチェンジ。ホーム・ビジター紺のソックスにゴールドのラインが入った。

 デザイン自体はそう大きく取り上げるほどの話でもないが、ソックスに加工が入るというのはちょっと注目ポイント。ロングパンツが導入されてからは意味をなさなくなり、一色ソックスが圧倒的多数派となったNPBでは久々のソックスライン加工。今季サプライヤーが一括でナイキに変更されたMLBにもいくつかこうしたムーブが見られている。トレンドを後追いするとされてきたオリックスだが、特にメインコンセプトを大きく変更した2011年以降は着実に流行の最先端を追いかける球団となりつつある

 また、恒例となったサードユニフォームは大胆な上下濃紺のユニフォームを採用。昨年好評だった「夏の陣」での黒ユニフォームを踏まえたデザインで、こちらで使用された水牛のプライマリーマークがワンポイントで入る大昇格を見せた。

 濃色に白ストライプのデザインは千葉ロッテのビジター用とモロ被りしているが、こちらの方がストライプが太い分クラシックな印象を与える。パンツも濃紺、ストライプの復活で阪急時代の黒ユニフォームを想起させるという声も上がり、オールドファンに対する意識もなんとなく感じさせる。牛さんがワンポイントに入ってバファローズ要素が強くなった分阪急要素でバランスを…という意図もあるのだろうか。バファローズなのにバファローズ要素を強く出せないのは合併球団に今なお残る葛藤である。合併して16年目のシーズン。20年前の在籍選手なのに現役より存在感が強い男、イチローもついにその現役生活にピリオドを打った今シーズンこそ悲願の覇権奪回を達成するか。

 今回はここまで。セリーグ編の方で全体の総括もさらっとやります。まだ飽きてない方は引き続きお付き合い下さい。おまけもあるよ。

セリーグ編はこちら

#NPB #プロ野球 #ユニフォーム #デザイン #uniformers

おまけ

今日のおんがく

 一応野球に関係のある音楽をということでユニコーンの『55』を。奥田民生の弾き語りセルフカバーver.です。55はもちろんエルドレッド。ぼくがプロ野球選手になったらチャンスでこの曲をバックに打席に立ちたいところです。


貨幣の雨に打たれたい