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【セントラル編】2020 NPBユニフォーム変更まとめ

 今回は逆襲に燃えるセ・リーグ編です。前置きが長いことでおなじみTJのnoteとしては破格と言えるさくさくイントロですね。それではさっそくどうぞ。

前回記事はこちら

巨人

 球団史上3度目となる4年連続のV逸から、昨季5年ぶりの王座に返り咲いた球界の盟主。メインデザインは変更なしで、サプライヤーがアンダーアーマーに代わり、"GIANTS"のロゴが花文字に戻ってから早6年目のシーズンとなる。原辰徳政権のトレードマークとも言えるカクカクロゴを懐かしむ声も多くあるが、個人的にはやはり早稲田の流れも汲む花文字書体にアイデンティティを感じる。

 アディダス時代から続く企画デザイン採用デー「橙魂」ユニフォームは今季も継続。カラーリングがメインではなかなか映えづらいオレンジに限定されており、ややネタ切れに苦しんでいる感もあるが、今季は袖とキャップにプリントで迷彩っぽい柄を織り込み、ネタ被りを回避。ベースデザインが秀逸なチームなだけに、ここらで思い切ってメインカラーを青や赤に変更する企画も面白いのではないだろうか。先発の柱だった山口俊が抜け、FA戦線もまさかの不調に終わった巨人だが、世界一軍団からサメを輸入するなど、その補強に余念はない。たぶん。稲妻柄のファン公募ユニフォームなど、遊んだデザインのはしりでもある老舗球団の逆襲に期待したい。

DeNA

 昨季は2位でフィニッシュしながらCSで阪神に敗れ去ったDeNA。キャプテン筒香のMLB挑戦でいよいよ真価が問われるラミレス政権5年目は、ビジターユニフォームを新調して迎える。

新ユニフォームは2:50~。

 「より青く」のコンセプト通り、使用するカラー自体は変わらないながらも、シャドーストライプ気味にプリントされていた水色とのシマシマ模様もよりはっきり浮き上がる形に変更したことで、より青色が強調されるようなデザインに。下から上に向かって放射状に広がる形に変更されたこともあり、ゴツい野球選手の身体をより大きく見せることも期待される一作となった。

 ただ一方で、気になるのは文字、背番号のカラーリング。青白の地色の上から白文字を被せるスタイルは前のビジターユニフォームを引き継いでおり、特に白部分が広くなる背ネームはかなり読みづらい配色になっている。背ネーム自体が中継映像を意識したものであるため、寄りの画角で見えるサイズなら特に問題ないとはいえ、やはり手が込み過ぎている感は否めない。DeNA譲渡以降、TBSベイスターズ時代のグレー地×白ストライプのビジターユニフォームのような上品な完成度のデザインにはまだ出会えていないと言わざるを得ない。

 まあそれもまた一興。大方のユニフォームデザインに対する評価を決めるのはチームの強さである。ラミレス監督の下、「勝ったからカッコイイ」ユニフォームの集大成を見せつける一年にすることができるだろうか。

阪神

 2019-'20のオフで最も大きな反響を呼んだユニフォームはこれと言って間違いないだろう。ファンフェスタで発表された(事前に間違って公開されてたとか、そういうのはしらない)タイガースの新ビジターユニフォームである。

 地色には2008年、'09年に千葉ロッテが採用して以来となる、昇華プリントを使用したグラデーションカラーを採用。具体的にはグレーから白に溶けていくカラーで、伝統のピンストライプも意識しただろうか、縦の表面研磨加工ライクなデザインのおかげで青みがかったようにも見える。

 そういう時代と言えばその通りであるが、さすがにレギュラーユニフォームとしては遊び過ぎた感じがある。一方で、うるさく見えるのはグラデーションよりむしろラインや胸文字に採用された黄色のせいなのではというところも否定できない。ここがグレー、あるいは白の縁取りであれば、もう少し落ち着いた印象になったのではないだろうか。また、キャップは昨年の黄色×白縁取りから黒×黄色縁取りへと変わったが、こちらも遠めだとちょっと見にくい。黒部分が銀糸であればまだ見やすかったのでは。

 ともあれ、界隈でまことしやかに囁かれる(筆者と綱島さんが囁いている)タイガースの「黄色弱体化説」は、黄色のユニフォームをもってしか克服できない。球団史上初の外国人8人体制を敷く今季の覇権奪回で、球団85周年の節目に華を添えることができるか。

 ウル虎の夏ユニフォームはまあ毎年こんな感じですよね。今年はラケットラインが消え、単色だった地の黄色がザクザクした模様付に。ビジターユニフォームも併せて、ナウなヤング受けを狙ったデザインに走っているのだろうか。巨人の橙魂ユニフォームのように色を前面に押し出した企画ではないので、ぼちぼち他の色に行ってみるのもいいだろう。Tigersの胸文字書体をいじってみても面白い。

広島

 リーグ4連覇を逃した緒方孝市が退任、江夏豊に続く「先発100勝100セーブ」の達成者である佐々岡真司新監督を迎えて戦う今季もメインデザインには変更なし。今のところ企画ユニフォームの発表もない。個人的には毎回割と直前に発表される印象なので、今回もそのパターンとみられる。メインはマツダ広島の開場と同時に導入、一度もデザイン変更のないユニフォームで、ソフトバンクのヘルメットのマイナーチェンジ、および千葉ロッテのホーム用ストライプの広告が付いたり消えたりを変更と認めるならば、ついにNPB現役最年長の座を手にすることになる。

 赤と言えば広島、広島と言えば赤のカラーイメージは今後も揺るぐことはないだろう。王道デザインのメインユニフォームに奇抜なサードユニフォームを採用するスタイルは一貫しており、今季の企画にも注目が集まる。広島グリーンズ意識か(たぶん違う)一度飛び道具的にグリーンを採用したこともあったが、ぼちぼち「赤くないカープ」なんかやってみても面白いのではないだろうか。

 何度でもしつこく言うが、グレーのビジターがあるとすごくいいと思う。

中日

 こちらもメインには変更なし。CDキャップと筆記体ドラゴンズの折衷デザインで与田政権2年目のシーズンに挑む。

 好評なのは先ごろデザインが発表された企画「昇竜」ユニフォーム。ドラゴンズブルーと白のツートンカラーで構成されたメインに対し、キャップにD一文字のこちらはいわゆるドジャースカラー、胸番号に赤を差すデザインを採用。背番号・胸文字の裏に竜の模様が透けるという昇華プリントならではアイデアも斬新で、縫い付けのメインに対してかなり派手に遊んだコンセプトもバランスがとれていてすばらしい。肝心の胸文字・背番号が若干見づらい可能性はあるが、星野仙一政権時代を意識したという与田監督のコメント通り、オールドファンも納得の逸品に仕上がった。

 身売りもなく、チーム名もほぼ「ドラゴンズ」で一貫されているチームだが、赤青半々のカラーが印象的な星野現役時代や先述のドジャース型時代、落合博満氏が選手時代から好んで監督就任時に復活させたと言われるCDマーク時代、そして重たい紺色と赤の差し色でオリジナルなドジャース型を創り上げたジョイナス時代と、年代によって好みに多様性が出やすい球団と言えよう。なかなか全世代に気を配るのは大変である。

 迎えたオリンピックイヤー、無色透明なところに着地した与田政権のツートンカラーユニフォームで強竜復活を果たせるか。

ヤクルト

 最後にヤクルト。2年間指揮を執った小川監督が退任、野村スワローズ黄金期を支えたクローザー・高津臣吾監督が新監督の座に就いたが、メインのユニフォームは変更なし。もともとキャップのYSマークやストライプのホームユニフォームが過去のデザインへのリスペクトをかき集めたものと言ってよく、わざわざ変更してくれる理由もなかったと言ったところか。グリーンを採用したビジターユニフォームとカラーテーマが大きく異なる点が独特と言えば独特である。

 そんなスワローズのオルタネートは毎年恒例のTOKYO 燕パワーユニフォームCREWユニフォーム。第三のカラーから一躍メインカラー面を始めた(失礼)グリーンを前面に押し出す燕パワーは、ビジターユニフォームに採用された時点でちょっとコンセプト衝突を起こしている感もある。むしろ胸文字の"TOKYO"を本質とした企画で、巨人と張り合うパッケージにフォーカスしていると見るべきか。

 一方のCREWユニフォームはホームのメインカラーである紺と赤の組み合わせ。企画のコンセプトがそれぞれハッキリしていて、オールドファンにも若いファンにも受け入れられやすい企画バランスと言って差し支えないだろう。故障する直前のPC画面のような流れ星模様も、野球選手が着るだけでオシャレに見えるからユニフォームとは不思議なものである。胸文字、背番号は白on紺+赤縁取りで非常に見やすい。

まとめ

 全体的に昇華プリントを活かした、境界線の曖昧なデザインの採用が目立つ。同じカラフルなユニフォームでも、カッティングを入れてパーツごとに異なるカラーを入れていた2000年代以降とは異なるトレンドである。阪神のように、これを従来の縫い付けと組み合わせて採用する球団も現れており、日本のユニフォーム界に新たな風が吹くことを予感させるここまでの発表であった。

 また、気になるのはカラーユニフォームの胸文字、背番号の可読性。白・グレー以外の地色や派手な柄をベースに取り込むのは結構だが、そちらにフォーカスしすぎて肝心のチーム名や選手名の判読が難しいというデザインが散見される。特に机上のデザインでは見落とされがちなポイントで、細部にこだわりすぎて出来上がってみると見えない、ということもままある。中継では選手のアップも映り、選手の判別のための情報も十二分に提供される今だからこそ、いざグラウンドを訪れた時に選手をしっかり判別できるようなデザインに注力することも大切なのではないだろうか。

 今回は以上です。2回にわたる長文にお付き合い頂き、ありがとうございました!おまけもあるよ。

#NPB #プロ野球 #ユニフォーム #uniformers

おまけ

今日のおんがく

 今回もエルドレッドの曲を。別に広島ファンじゃないですが、人気ありますよね。ユニフォームで言うとパドレスの迷彩ユニフォームぐらいゴチャゴチャ感のあるくるりのサウンドに不意に差し込まれるライトスタンドのトランペットが魅力的。




貨幣の雨に打たれたい