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「恋」

ある日、電車に揺られて、ぼーっと日比谷線の窓から見える景色を、眺めていたら、あの人に出会った。毎日楽しくて、恋なんて縁がないと思っていたのに、全てあの人に出会ったことで、世界はその色を一変した。
苦しくて泣いて眠れば、次の日には、嬉しくて、そんな風に私の世界は、薔薇が一本一本色づいてゆくように、恋と言うものを知った。
「近々、花火大会があるらしいよ。」彼は言った。
私は、もう花火とほしぞらが、全てが、見えてしまった。

日比谷線の窓から見える景色は、綺麗で、予感と美しい未来の光と涙で溢れた。日が、とても優しかった。
彼のことを考えて帰るのが、日課だった。電車を降りた。

ある日、彼は居なくなった。誰も行方を知らなかった。鮮やかに、彼は消えた。

いつか、電車で、彼を見かけた。彼も立って揺られていた。
私は、電車を降りた。

それが、この恋の……

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