頼まれて外国で即位した国王2選
新年度になりました。
このタイミングで、PTAや自治会の役員を引き受けたなんて方もいらっしゃるのではないでしょうか。
中には、「どうしてもと頼まれて…」なんて場合もあるかもしれませんね。
今回は、19〜20世紀のヨーロッパで 頼まれて仕方なく(?)王様になった人達のお話です。
①ゲオルギオス1世(ギリシャ国王)
1863年3月末のデンマーク。
当時海軍士官学校に通っていたヴィルヘルムは、お弁当のサンドイッチを食べようとした際包み紙に使われていた新聞に目を留めます。
何とそこには、自分がギリシャ国王に内定したという見出しが。
彼は思わずこう言ったそうです。
「聞いてないぞ」
◇
当時のギリシャは、列強各国の介入を経て オスマン帝国から独立をしたばかりでした。
英露から
「キミ達も我々を見習って国王を置きたまへ」
ということで、初めドイツの名家から王を迎えたものの、上手くいかずクーデターで失脚。
何とかして新しい国王を立てなければ…とイギリスが目をつけたのが、デンマーク王族のヴィルヘルムでした。
・当時の欧州におけるパワーバランスを考慮して あまり強い国から王様を出してはいけなかった、
・ヴィルヘルムのお姉ちゃんがイギリス王室に嫁入りしてイギリスとデンマークが親密になった
あたりが、小国デンマークの王族に白羽の矢が立った理由のようです。
衝撃の新聞記事から遡ること数週間前、姉の結婚式でイギリスを訪れていたヴィルヘルム。
この時 宿泊先のホテルで英国首相と
「ギリシャ国王になりたくないかね」
「それは良いですね(学校の試験サボれるし)、ハハハ」
というやり取りをした所、イギリス・ギリシャ間で(勝手に)話が進んだようです。
同年6月、デンマークの宮殿で式典が行われ、ヴィルヘルムはゲオルギオス1世としてギリシャ国王に即位したのでした。
(ヴィルヘルムの全名はクリスチャン・ヴィルヘルム・フェルディナント・アドルフ・ゲオルクだったので、ここからゲオルクを取ったと考えられます。ゲオルギオスはゲオルクのギリシャ語読み)
②ホーコン7世(ノルウェー国王)
ノルウェー王室の歴史は 近隣のスウェーデンやデンマークと比べてそこまで長くありません。
9〜14世紀にはノルウェー独自の国王が存在した時もあったのですが、のちに隣国スウェーデンやデンマークに連合王国という形で支配される期間が長く続いていました。
そんなノルウェーが久々に独立を果たしたのが1905年。
スウェーデンとの連合を解消した形でした。
では新しくノルウェー王を立てましょうという話になるも、これがなかなか決まらない。
最終的に、デンマーク王太子の次男であるカールが選ばれました。
・妻が大国イギリス国王の娘である
・一人息子がいるので後継も安泰
・ノルウェー語とデンマーク語って似てるし丁度いいよね!
あたりが選出理由のようです。
カールは非常に民主的な性格で、
「まずは本当に私で良いのか、ノルウェーの皆さんの意見を聞きましょう」
と提案。
最終的におよそ8割のノルウェー国民の賛同を経て、名前をノルウェー風に改めホーコン7世として即位したのでした。
ちなみにこのホーコン7世は、①ゲオルギオス1世の甥にあたります。
◇◇◇
このように、諸外国の王様を頼まれがちだったデンマーク。
小国の割にイギリスやロシアといった強い国と親密で、かつ王家に男子が沢山いたという点が、当時の王制が不安定な欧州情勢とマッチしていたのでしょうね。
お読み頂き、ありがとうございました!
#新生活をたのしく
見出し画像: pixabay
参考
インターネットアーカイブ
《 The Life of King George of Greece 》
by Captain Walter Christmas
・YouTube
Scandinavian Royalty
《 A Royal Family, Episode 5: Shaky Thrones(Documentary) 》
・Wikipedia
《 Haakon VII 》
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?