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王家の宝石 | ノルウェー王室のサークルティアラ


今回も国名が沢山出てきますが、ノルウェーの話に初挑戦したくて書いた記事です!

概要

現ノルウェー国王の孫娘にして王位継承順位2位のイングリッド・アレクサンドラが、18歳の誕生日の祝宴で身につけたティアラ。

ダイヤモンドが連なったサークル型のパーツを繋げてティアラにしたもの。
ところどころ配置されているボタン型のパールは、後から追加されたと言われている。

名称

BOUCHERON CIRCLE TIARA

起源

スウェーデンの王族が1900年のパリ万博で購入

宝飾メーカー

ブシュロン
BOUCHERON

歴史

①インゲボー(スウェーデン王女)

Hoffote Rahmn, Malmö, 1914 (at bottom on the picture) • Public domain
Wikimedia Commons

デンマーク王太子の娘。
時のスウェーデン王の三男に嫁ぎ、3女1男をもうけました。

夫から贈られたサークルティアラを生涯大切にし、亡くなる数週間前にも着けていました。

左から2番目がティアラを着けたインゲボー。
この写真が撮影された数週間後に亡くなったそう。
Bildet er kun til redaksjonell bruk, ikke for salg.  
De kongelige samlinger


②インゲボーの娘たち

家族仲が良かったインゲボー一家いっか
娘たちは皆外国の王室に嫁ぎますが、国境を越えてティアラの貸し借りをしていました。

インゲボーと娘たち。
Municipal Archives of Trondheim • CC BY 2.0
Wikimedia Commons


今回のサークルティアラは、デンマーク王室に嫁いだ長女マルガレータと、ノルウェー王室に嫁いだ次女マッタが着用した歴史があります。

∟②-1.マルガレータ(デンマーク王女)

Photographed by Jaeger • Public domain
Wikimedia Commons


①インゲボーの長女。時のデンマーク国王の孫に嫁ぎました。
国王の末っ子の家系という 王位継承ラインからは離れた立ち位置でしたが、エリザベス2世の戴冠式に出席するなど王族としてのつとめをよく果たしました。

前列中央がティアラを着けたマルガレータ。
Nationalmuseet
Public domain


∟②-2.マッタ(ノルウェー王太子妃)

Johannes Jaeger • Public domain
Wikimedia Commons

①インゲボーの次女。ノルウェー王太子に嫁ぎました。
明るく活動的な性格で、国民から国母として慕われました。

夫が国王に即位する前に亡くなった為
王妃の称号が付く事はありませんでした
左端がティアラを着けたマッタ。
Bildet er kun til redaksjonell bruk, ikke for salg.
Foto: De kongelige samlinger


③ラグンヒル(ノルウェー王女)

The Royal Court • CC BY-SA 4.0
Wikimedia Commons

②-2・マッタの第一子。当時のノルウェーは男子にしか王位継承権が無かった為、国王である父の後継者となることはありませんでした。

国王の護衛官と恋に落ち貴賤結婚をしますが、父王はじめ周囲からは反対の声が大きかったようです。
王族としての権利を失い、夫と共にブラジルへ渡り そこで生涯を終えました。


④イングリッド・アレクサンドラ

The Royal Court
For editorial use only, not for sale

さてこのティアラ、2001年に行われたノルウェー王太子の結婚式で ③ラグンヒルが着用して以来姿を見せることはありませんでした。

ラグンヒルは2012年に亡くなり、このティアラは彼女の子供たちに受け継がれていたのです。

貴賤結婚をしたラグンヒルやその子供たちに王族としての権利はありませんから、ティアラが再び日の目を見ることは難しいと考えられていたのではないでしょうか。



ところが事態は急転。
ラグンヒルの子供たちが、ティアラを彼女の又姪まためい(甥の子)にあたるイングリッド・アレクサンドラに贈ったのです。


そして2022年、イングリッド・アレクサンドラ18歳の誕生日に、ティアラは再びその輝きを見せることになりました。

Bildet er kun til redaksjonell bruk,
ikke for salg.
Foto: Ida Bjørvik, Det kongelige hoff




ところで先程 "ノルウェーは男子にしか王位継承権が無かった"と述べたのですが、1990年に憲法が改正され 最長子相続制(性別によらず長子が王位を継承する制度)が採用されました。

それに伴い、2004年に王太子の第一子として生まれたイングリッド・アレクサンドラ王女が将来女王に即位する見込みです。

今年19歳とまだまだ若い王女ですから、今後ティアラが活躍する機会が増えるかもしれませんね。

3世代が揃った写真。(2022.1.21撮影)
左より: ハーラル5世、ホーコン王太子、
イングリッド・アレクサンドラ王女

Bildet er kun til redaksjonell bruk, ikke for salg.
Foto: Kimm Saatvedt, Det kongelige hoff



初めてノルウェーの話題にチャレンジしました。
スカンジナビアの中で唯一訪れたことがない国なのですが、今回の記事作成をきっかけに もっと色々知りたくなりました。

今はノルウェーの歴史映画を観ています。
2周目なのですが、逐次一時停止してメモを取りながら見ているのでなかなか進みません(汗)。

③ラグンヒルの祖父が主人公の話です。(誰ですかスキャットマン・ジョンぽいと仰る方は)↓

本日もご覧くださり、ありがとうございました!


参考⠀

・THE COURT JEWELLER
PRINCESS INGEBORG’S BOUCHERON CIRCLE TIARA

・Wikipedia
ラグンヒル (ノルウェー王女)
ノルウェー王位継承順位


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