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30DaySongChallenge #7

2020.5.18 DAY7
A song to drive to

サヨナラバス / ゆず

この曲はわたしにとって夜行バスのテーマソングだ。
(広義で車ということで許してほしい)

中学1年で初めて乗って以来10年間、夜行バスはいつも好きな人へ会いに行くための乗り物だった。

高速を流れるヘッドライトを眺めながらサービスエリアでコーヒーを飲んだり、明け方カーテンに潜り込んで街が起き始めるのを見下ろしたりする非日常感が、「好きな人に会いに行く」という事実の特別さを加速させる気がしていた。


さて、サヨナラバスを聴くのは文字の通り、復路に着くバスの中だった。

見送る側の曲なのに、なぜかバスが走り出した初めの一曲はこの曲と決めていた。

例の如くカーテンに潜り込み、首都高を横目に束の間の思い出を反芻する。

サヨナラバスは 君を乗せて 静かに走り出す
手を振る君が 少しずつ遠くへ行ってしまう
立ち尽くす街並み 一人ぼっちには慣れてるのに
どうして泪が止まらないんだろう

曲がこの歌詞に差し掛かるあたりで、いつも泣かないようにあくびで寂しさを誤魔化していた。

そしていつか絶対東京で暮らすんだ、と明け方の草津で、梅田で決意するのだった。


いま。
夜行バスにはほとんど乗らなくなった。

バスタ新宿を通ると、もうあの頃の好きな人への熱量はなくなっているのにあの頃の目的地にちゃんと自分が住んでいることが不意に不思議に感じる。





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