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第15回 一番立地が陥る誤った方向性

立地は売上に関係がない!?

まず身近な例として飲食店について考えてみましょう。
飲食店の立地は売上に関係があるのでしょうか。あるラーメン店は都心から1時間以上かかる山中にあり、カーナビでもたどり着けないといわれるような秘境です。当然周辺にも殆ど人が住んでいませんが、この店には連日行列ができ、入店まで2時間待ちなどと人気の程が話題になり大繁盛しています。一方で郊外の駅にほど近く、周辺には住んでいる人も働いている人も大勢いる立地のラーメン店が閑散としている場合もあります。これは何故でしょうか。飲食店の場合は差別化の要素が少なく、看板メニューの味、雰囲気、価格、サービスと限られており、これらの要素の内、何かひとつでも突出していればわざわざ時間をかけて遠方でも来店する可能性がある一方で、これらの要素に魅力がなければ近くにあっても来店しません。
このように少ない要素で大きく差別化が図れる飲食店の場合、立地は売上を左右する大きな要素になりません。むしろ山奥にある事でそこまでの行程を楽しむというレジャー要素が付加価値になる場合すらあります。ところが同じ飲食店でも、沢山の似たようなメニューの味、雰囲気、価格、サービスの代表であるファミリーレストランのようなチェーン店同士になるとお客様がお店を選ぶ最も大きな要素は「近くて便利な場所」です。
お店の要素が同質化した時、売上に影響する最も大きなファクターは立地なのです。ではコンビニエンスストアの差別化の要素は何でしょうか。2500点以上のアイテム、売場面積、サービス等、お店のフォーマットが殆ど同じで全国に約56,000店もあるコンビニエンスストアがあらゆる業態の中で表面上は一番同質化しており、立地の優劣が最も大きな差別化の要素なのです。故に同じ商圏の競合店に打ち勝つ為には一番立地への出店が決め手となります。

一番立地とは何か

一番立地とは何か?おさらいをしましょう。まずターゲット商圏となる住宅群や事業所群から交通拠点(駅、ショッピングモール、テーマパーク等、人が集まる場所)を結ぶ人の動きに乗った場所が選定の大前提です。そして出来るだけ多くの流れが集まる場所周辺が出店可能ゾーンとなります。その出店可能ゾーン内で具体的な出店候補地をポイントとして落とし込みます。一番多く人の流れが獲れるポイントが一番立地、二番目に多くの人の流れが獲れるポイントが二番立地となります。必然的に交差点角地の優位性が高く、背後商圏からの出入りのない中地はポイントになりにくいです。さて、あなたのお店は一番立地にありますか?

コンビニエンスストアの差別化とは

もしあなたのお店が一番立地にある時、立地の優劣が大きなファクターならば将来は安泰、何も心配がないのでしょうか。先程コンビニエンスストアがあらゆる業態の中で表面上は一番同質化しており、立地の優劣が最も大きな差別化の要素であるというお話をしましたが、それはあくまでもデータ上での事。実際には差別化出来る大きなポイントが2つあります。1つ目は品揃えです。扱っているアイテム数はどのお店もほぼ同じですが、実際にお店で発注されているアイテムと数量はお店によってかなり差があります。ここで陥りやすい罠が一番立地のお店ほど売れる為、毎日一定数を発注、完売で良しとしている場合です。完売後の時間はずっと欠品です。欠品中に来店したお客様の期待には応えることが出来ていないことになります。2つ目は接客です。これにはクリンリネス等も含まれます。気持ちの良い接客、清潔な店内はオペレーションマニュアルに準じていれば良いだけではありません。丁寧なだけでなく、お客様の気持ちに寄り添う接客は必ずお店の固定客を増やします。ここで皆さんもお客様の立場で考えてみて下さい。もし一番立地のお店の品揃えが悪かったら、少しくらい遠くても品揃えが良く、いつ来店しても欲しい商品があるお店を選びませんか?これこそが差別化です。

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一番立地の優位性は地域に愛される品揃え、接客があってこそ

あなたのお店が競合店に対して差別化できるポイントは、同時に競合店から差別化されるポイントでもあります。もし現状に甘んじて多少の欠品や接客レベルの低下に目を瞑っているとしたら、その間に競合店はあなたのお店以上に品揃えや接客を充実させているかもしれません。今のお店の売上が本当にその立地のポテンシャルを最大限に引き出した結果なのか?いま一度、品揃え、接客、クリンリネス等について見直してみましょう。売上がそのまま立地の良否を説明しているわけではありません。本当はもっと売れるのかもしれません。これを見誤ると店舗の活性化も誤った方向に向かってしまいます。立地に合った店作りが出来た上で品揃え、接客が徹底できている限り、あなたのお店は永遠に繁栄する事ができます。一番立地の優位性は地域に愛される品揃え、接客があってこそなのです。

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