第8回 売上予測の意義
見出し画像

第8回 売上予測の意義

いい店つくろうドットコム

売上予測の目的

なぜ売上予測を行うのか、その目的は大きく分けて二つあります。一つ目は開店初年度(又は定められた期間)に一定水準の日販のお店を出す(開店時に売上不振店を作らない)為であり、二つ目はフランチャイザーとジーの投資回収、損益シミュレーションを行う為です。
実は売上予測は誰が何を目的にするかによって作り方が大きく異なります。一番簡単なのは一つ目の売上予測で精度も比較的高くなる可能性があります。開店初年度の日販を当てる為にはデータベースとして開店して1年を経過したお店の立地データと日販データがあれば売上予測モデルの作成が可能です。このモデルを使うことで売れるお店を出店できて良かった、と開店当初は安心することが出来るかもしれません。しかし開店初年度の日販に目標を定めた売上予測は大きなリスクをはらんでいるのです。2つの出店例で考えてみましょう。

競合が無店で三番立地への出店

ロードサイドへの出店の例で考えてみましょう。ある幹線道路でなんらかの理由により、たまたま競合店が一番立地の角地に出店しておらず、その周辺の中地で大きくて入りやすい駐車場を確保し、店舗やサインポールがよく見えるお店であれば、現時点では売れるお店になります。このようなお店が売上予測モデルのデータベースに入っている為、同じように新規出店時に周辺に競合が無店で駐車場要素がしっかりと確保できているお店であれば売上予測では高い日販が算出されます。
しかしこのようなお店は一番立地に競合が出店した途端、大きな影響を受け日販が下がります。競合の出店は何年後になるかわかりません。5年後かもしれません。ひょっとすると既に水面下で交渉が進んでおり来年かもしれません。このような環境変化は開店初年度に目標を定めた売上予測で説明することは不可能です。故に高日販の予測で安心していても急に損益が悪化し、短期閉店となる可能性もあるのです。

スライド1

競合に囲まれた一番立地への出店

次に駅にほど近い住宅密集地への出店を例に考えてみましょう。駅に向かう人の流れの中心となる角地の一番立地は誰もが出店したいと願っていた場所でしたが難攻不落の地主さんの為、他の競合店はその角地から外れた場所に次々と出店します。しかしその地主さんとの10年越しの交渉が実りようやく出店出来る事になりました。このような場合、開店当初の日販は自店の周りを囲んだ競合店の影響で思った程上がりません。このようなお店が売上予測モデルのデータベースに入っていると、同じような一番立地にようやく出店できる場合でも、売上予測が低く算出されしまうので高額家賃に見合わず投資回収できないと判断され、出店を断念せざるを得ない可能性があります。しかしこの一番立地への出店は時間をかけてでも地域一番店になるチャンスであり、これを断念することは永遠の機会損失を生むことになります。

スライド2

売上予測は当ててはいけない

なかなかショッキングな書き方になってしまいますが、開店初年度の日販をターゲットとした売上予測モデルで出店可否の判断するリスクはおわかりいただけたかと思います。その上で立地の優劣、競合店の改廃、新しい道路の開通による車の流れの変化や住宅の増減、工場や事業所の閉鎖等の環境変化、景気動向、本部の商品政策やサービス、そしてオーナーの経営能力等、様々な要素が時系列で複雑に変化する中で開店から契約満了までの期間を年度毎に当てる売上予測モデルを作ることは不可能です。これらを解決する為には売上予測モデルの相関係数を上げることよりも過去の短期閉店事例を不振店要素、地域一番店の事例を優良店要素として予測モデルにロジックとして反映させる事が重要です。そして一定の予測精度を保った上で、投資を回収し利益を上げ続けられるかという二つ目の目的に主眼を置いた売上予測モデルとして、環境変化への耐性の弱い店は低く、強い店は高く評価をします。
具体的には不振店要素の強い立地では予測日販を低く算出する事で閉店リスクを回避し、優良店要素の強い立地では予測日販を高めに算出することで機会損失リスクを回避します。契約、出店にあたっては予測結果が何万円かではなく、この場所でどのような顧客をターゲットにどのようなコンセプトで出店するのだ、という出店戦略を本部とオーナーが共有し納得することが望まれます。もし仮に今流行のAIが売上予測を作るようになったらどうなるでしょう。店舗開発担当者は合理的な理由は説明出来ないが「売上予測が出ているから大丈夫です」としか言えなくなります。どのような考え方で出店するのか?というロジックを人の手から離す事はあってはならないと思います。それはフランチャイザーとフランチャイジーの中長期の経営リスクの回避ではなく、店舗開発部門と出店審査部門の目先のリスクの回避にしかならないからです。売上予測モデルのロジックは各社それぞれの経営の根幹なのです。

フランチャイズ契約の要点と概説における売上予測

フランチャイズチェーン協会に所属するするフランチャイザーは、加盟者に出店を希望する特定場所の売上・収益予測について具体的数字は提示していません。その理由がおわかりいただけたでしょうか。開示することを目的とした途端、売上予測を当てる事が最も重要となり、本来の目的である契約期間を通じ利益を出し続ける店を出店するという経営戦略と相反する事になりかねないのです。

noteアイコン(文末)

note1137バナー

URバナー


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
いい店つくろうドットコム
コンビニエンスストアをはじめ様々な商業店舗の商圏分析と立地診断のプロフェッショナルです。 あらゆるお店の立地に関するお困りごとにお応えします。お気軽にご相談ください。