彼は私の中に生きている。いや、生きていてほしい。生きていてほしかった。

さっき、卵料理を作っていて、頭の隅から全体に覆うモヤのような話を思い出したので、投稿します。
暗い話かもしれません。
死についての話です。
不安定な方や苦手な方は、せっかくアクセスしていただいて嬉しい限りですが、この記事を閉じた方がよろしいと思います。
そして、この記事を読んでくれる方。
一生懸命に綴りますので、しばらくお付き合いください。

その昔。
私は頭も悪ければ根性も悪く、都合の良いように解釈しまくりの"嫌なやつ"でした。
無茶も無理もしていて、死ぬことなんて全く考えていませんでした。
なんなら、命は何個か持っている。とさえ思っていました。
そんな事を考えているとヘシ折られるのが世の常です。
22歳の冬に中高の馴染みが突然、前触れもなく他界しました。
紛れもない現実が私に押し寄せてきて。
「嘘やろ?嘘やん。いや、箱に入って寝てるだけやろ。ちょっと顔色悪いけど。」
葬儀の中、ずっと現実逃避をしていました。
しかし、葬儀は淡々と進み、私は馴染みと別れる事となりました。
その後、車を運転し、駐車場に止めた瞬間、馴染みとの思い出がフラッシュバックしてきました。
「意味わからん。無念すぎるやろ。同い年やぞ。若すぎるやろ。なんで相手は…うん。意味わからん。わからん!」
そのまま2時間くらい泣いていた気がします。

それから数年後の最近です。
知人づてに知った話で、学生時代にお世話になった方が少し前に他界していたそうです。
「は?」
スマートフォンに表示されている文字を読んで、理解はできても心の理解が進みません。
「いやいや、え、だってまだ若いやん。早くね?」
急いでググります。
心拍数が上がります。
その方は著名な方であり、私はすぐに現実と向かい合う事になりました。
「は?」

学生時代、その方からはデザインを学ばせていただきました。
そして、生き方も学ばせていただきました。
間違った事、ズレた事には毅然とした態度をとる人でした。
正直、うまく話せなかったけれど、とても尊敬していたし、好きでした。
真っ直ぐすぎて怖かったけど、作ってくれたカルボナーラがとても美味しかったのを覚えています。
沢山の話が聞けて私は幸せでした。
思い返せば、たくさんの思い出があります。
健康そうではない事は見て感じていたけれど、それでも。
それでも、早すぎました。
しばらく会えていなかったけれど、私の生き方に大きな影響を与えてくれた事は間違いありません。
私自身が思うから、きっと間違いないのです。

突然ですが
「人間は2度死ぬ。1度目は肉体的な死、2度目は忘れ去られた時だ。」
みたいな話を聞いた事があります。
人は2度死ぬ。というのは、例えであって詭弁だと思います。
それでも、それで少しでも心が軽くなるのならば、私の中に2人は"まだ"生きていると思いたいです。
本当の事は知っています。
馴染みも、その方も。
本当に生きていてほしかった。
好きな人達の死なんて知りたくなかった。
忘れたくない。
でも人間は忘れる生き物です。
私は記憶力が良い方ではありません。
それでも、せめて、忘れないでいたい。と、思うのです。
忘れたくない。という思いは忘れないでいようと思います。

私は。いや、私の中では。
"まだ"その方は生きていて。
部屋の整理をしていたら一緒に写った写真が出てきたりして。
その度に、ニヤリとしながらも頬には流れるものがあります。
まだしばらく、あなたの事を忘れたくありません。
しかし私も人間です。
それでも、熱心に教えてくれたカルボナーラを作る日には、きっとあなたを思い出すでしょう。
あの日食べたカルボナーラは今でも思い出せます。
正直、カルボナーラの味は忘れてしまったけれど、一生懸命にチーズを削るあなたの姿は覚えています。
もしかしたら、それでいいのかもしれません。

もし、私がそちらの方へ引越す事になった際には。
またカルボナーラを作ってください。
お好きだった煙草も、スプリンクラーが作動するくらい吸ってください。
ありがとうございました。
ご冥福をお祈りしております。
Nakasone

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