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【本のこと】枯れた心とピラミッド

最近のお話

こんにちは。あっという間に3月に突入してしまいました。雨だったり薄ら寒かったりする日が多くて、気が滅入ります。温かい飲み物と暖房とお風呂がまだ必要なようです。
※でも我が家はプロパンガス。お風呂を入れるとガス代が跳ね上がって痛い目を見るので要注意です。

2月も引き続き転職活動をしていました。その中で、すごくショックなことがありました。

私には持病があるのですが、そのことを開示して働く「オープン就労」を希望しているという話をしたところ、ある人から「それじゃあ200社受けてもダメかもしれません。障害者手帳を取って障害者雇用を目指したらどうですか?」と言われてしまいました。

言葉の最初から最後まで、全てがショックでした。持病があっても働くことを諦めたくないだけなのに。障害者手帳を取ることを、逃げのように言わないでほしい。苦しんでいる人達への敬意に欠ける。そんなので何が「多様性」「一億総活躍社会」だ。思い返すと色々な感情が煮えたぎります。

その言葉を受けて意気消沈した私は、主治医に苦しい気持ちを吐露しました。すると、普段は物静かな主治医が、「病気を理解してくれる会社はたくさんあります」と仰ったのです。涙が出そうでした。そして「大丈夫だよ」と誰かに言ってほしかったのだと気付きました。

今は気持ちを落ち着け、改めてオープン就労を目指して動いています。良い報告が出来たらいいなと思います。頑張りますね。

「珠玉」とはこのことか

2月は、前半から中盤にかけて読書熱が燃えさかり、27冊(漫画を含む)の本を読了しました。今回は、その中で最もときめいた作品、大白小蟹さん『うみべのストーブ 大白小蟹短編集』(リイド社)をご紹介します。

「ストーブ!?」ってなること間違いなし。

こちらは、期待の新鋭として注目されている大白小蟹(おおしろこがに)さんの初単行本で、宝島社の『このマンガがすごい!2024』オンナ編で1位を獲得した作品です。

私がこの本を知ったのは、いつも参考にしている読書アカウントの方の投稿でした。その投稿を見た時は「へ~こんな漫画があるんだ」くらいだったのですが、その後、色々な方がこの作品を推されていて、どんどん気になっていきました(恋のようですね)。

タイトルに「短編集」とある通り、ここには7つの短編が収録されています。その中でも私が特に好きで、読み返す度に泣いてしまうのが『海の底』という作品です。

あらすじを説明するだけでネタバレしちゃう危険性があるので多くは語れませんが、特に印象的だった言葉が、このnoteのタイトルにもした「枯れた心」と「ピラミッド」。「昔は好きだったことが今はできていない自分に悲しくなってしまう」そんな経験をしたことがある方には、まるで雪が降り積もるように響いてくる1篇です。

忘れてしまっているかもしれない自分の気持ちに、この作品を通して触れてみませんか?

さよならの代わりに

『海の底』から、大好きな一文を引用して終わりにしたいと思います。

悔しい 書かなくても幸せで居られるのが

168ページ

今日が、1つでも多くの嬉しいことがある1日になりますように。

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