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8話 いったんゼロになる。

移住の準備をし始めて、3ヶ月経過し、候補となっていた場所は定まっていたはずが、一歩その先に踏み出せないでいた。これは「勇気」の問題か、踏み止めている「抵抗」の問題か。
わたしは、直感にしたがった行動ができる方で、今まで大事な選択をする際には他人にどう思われようが、自分の決断を実行に移してきたという自負がある。だから、単に「勇気」の問題ではなさそうに思えた。では、何か無意識での抵抗が働いているのかもしれない。そう思い、自分の恐怖の正体だと思うものに、向き合うことをしてみた。結果、ずいぶん気持ちが晴れて、こころにひっかかっていた重しは取れたように感じたが、一歩踏み出そうかという決断には至ることはできなかった。

もう一度、あらためて考えてみると、自分の本当に望むこと(無意識も含む)と意識に浮かび上がってきた望むことにわずかなズレがあることがわかってきた。

例えば、自然に囲まれた暮らしをしたい。という思い。

細分化していくと、家族で古民家に住むのはいいが、一人で住むには災害などのリスクがこわい。水回りも綺麗な方がいい。そんなに広くなくていい。でも、家庭菜園はしたい。窓から緑が見えればいい。カフェが近くにないと、こころが落ち着く場所を確保できない気がしていやだ。パン屋さんも近くにあってほしい。

ひとこと、「自然に囲まれた暮らし」とはいっても、そこに自分のこだわりや優先順位があって、妥協できるところと、大事にしたいところがあることがわかった。

ただ、これをやりすぎると、思考が判断基準の主導権を握り始める。

直感や感覚が主導権を持つとすると、条件などはどうでもよくなる。恋愛を例にあげると、たった一つ、心惹かれてどうしようもないポイントがあれば、他の欠点に思えていたことすら素敵に思えたり、その人の存在すべて、完璧に思えるもの。
100パーセント全部好き!みたいな。

友達に最近の自分の近況を報告した時に、100パーセントで選んでほしいと言われたが、わたしもできることなら、「こころで決めたい」と思う。
でも、そのこころの羅針盤がどこに向いているかわからない状態では、どっちの方向にいけばいいか決断できないだろう。だから、細分化する時には、自分のこころとひとつひとつ話し合いながら、ていねいにやっていく必要がありそうだ。

ということで、いったんゼロに戻ってしまった。
遠回りして焦りも生まれそうなものの、今はいくらか晴れやかな気持ちでいる。

#エッセイ #ノンフィクション #移住 #移住準備 #移住計画

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